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職業の男女平等を実現するには?ジェンダーギャップ指数から見る男女格差の現状と課題

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日本の男女平等度は、世界の先進国の中で最低レベルであることをご存じでしょうか。日本は、世界各国の男女格差の現状を調査したランキングで長年順位がふるいません。低迷する順位は、男女の収入格差、女性リーダーの不在という日本の現状を映しています。

男女平等の実現には何が鍵になるのでしょうか。ジェンダーギャップ指数の調査結果から、特に男女平等が進んでいない政治・経済分野の課題をひも解き、今後日本に求められるポイントを解説します。

男女格差の度合いを映すジェンダーギャップ指数とは?

日本の男女平等はどのくらい進んでいるのでしょう。ジェンダーギャップ指数を見ると、男女平等の度合いを数値で確認することができます。

ジェンダーギャップ指数とは、世界経済フォーラムが各国の男女格差の現状を数値化したものです。指数は「政治参加」「経済」「教育」「健康」の4つの観点を採点した総合点で、調査結果はランキング形式で毎年発表されます。国の発展度などは考慮されていません。

2022年ジェンダーギャップ指数発表。日本の順位は?

2022年に発表された主な国の順位は図表の通りです。日本の順位は146カ国中116位で、G7諸国で最下位。女の子が18歳未満で結婚する児童婚率が高いモザンビーク(34位)やバングラデシュ(71位)、市民への軍事弾圧、アウン・サン・スー・チー氏の拘束が続くミャンマー(106位)よりも順位は下でした。

2021年の120位からは改善が見られました。しかし、2006年の調査開始以来、日本はG7最下位の座を脱却できたことはありません。

2022年「ジェンダーギャップ指数ランキング」主な国と日本の順位
【1位】アイスランド(0.908)
【2位】フィンランド(0.860)
【3位】ノルウェー(0.845)
【4位】ニュージランド(0.841)
【5位】スウェーデン(0.822)
【10位】ドイツ(0.801)
【15位】フランス(0.791)
【22位】イギリス(0.780)
【25位】カナダ(0.772)
【27位】アメリカ(0.769)
【63位】イタリア(0.720)
【115位】ブルキファナソ(0.659)
【116位】日本(0.650)
【117位】モルディブ(0.648)
※カッコ内は指数。0に近いほど男女不平等

日本が低い順位にとどまっている主な理由は、経済と政治の分野のスコアが著しく低いためです。「政治参加」「経済」「教育」「健康」の分野別順位を見ると、「教育」では1位、「健康」は63位なのに対し、「政治参加」「経済」はそれぞれ139位、121位と出遅れています。

政治分野の男女格差

「政治参加」は、国会議員・閣僚の女性割合、女性首相の有無が評価項目となっており、政界の女性進出が進んでいないことが低評価につながりました。スコアは1に近づくほど男女平等であるとされ、0に近いほど男女不平等であると表現されます。

【政治】:0.061(139位)
女性議員の割合:0.107
女性閣僚の割合:0.111
過去50年間の女性首相の在任期間:0.000

日本の女性議員の割合は、参議院では3割以下、衆議院では1割にも達していません。両院ともに選挙での候補者・当選者の女性比率は上昇傾向にありますが、2025年までに国が目標とする女性候補者比率35%の実現には至っていません。

経済分野の男女格差

「経済」は、収入の格差、女性管理職の割合の項目で特に評価が低く、順位を押し下げる要因となっています。

【経済】:0.564(121位)
女性の労働参加率:0.750
同一労働の賃金格差:0.642
所得格差:0.566
議員、高官、管理職の女性割合:0.152

日本の男性と女性の賃金・収入には3割ほどの開きがあります。2021年の国のデータによれば、男性一般労働者を100とした場合の女性一般労働者の給与水準は75.2。2005年からの15年間で女性の給与水準は10ポイントほど改善されていますが、男性並みの給与水準になるまでにはまだ時間がかかると考えられます。

企業における役員・管理職の割合は圧倒的に男性が占めています。常用労働者が100人以上いる企業で、役職を持つ女性の割合を調査した2020年のデータでは、課長級は11.5%、部長級は8.5%。階級が上がるほど女性の比率は下がる傾向です。さらに、上場企業の役員に占める女性は6.2%とさらに低下します。

職業の男女平等を阻む社会的背景

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日本が世界男女平等ランキングで長年遅れをとっている背景には、日本社会の構造的な問題が隠れています。

女性の多くが非正規の職業を選択することで男女格差に

ジェンダーギャップ指数の調査で指摘された男女の賃金格差や女性の管理職不足は、多くの女性が賃金の低い非正規雇用で働いていることが一因になっていると考えられます。

内閣府の男女共同参画白書によると、非正規雇用の男性は21.8%であるのに対し、非正規雇用の女性の割合は53.6%(2021年)。実に女性の半数以上が非正規雇用を選択しています。非正規社員の賃金は正社員の7割程度にとどまることから、男女間の収入差が生まれているのです。


内閣府 選択する未来2.0 中間報告 より

なぜこれほどまでに女性の非正規率は高いのでしょうか。総務省の調査では、女性が非正規雇用を選ぶ理由について「自分の都合のよい時間に働きたいから」「家事・育児・介護等と両立しやすいから」という声が多く上がりました。ワークライフバランスを求めて女性が非正規雇用の働き方を選択していることがうかがえます。

女性がライフイベントに合わせて働き方を変えていることはデータを見ても明らかです。グラフが示すように女性の正規雇用率は20代後半以降低下します。一方で全体の就業率は横ばいであることから、非正規雇用率が上昇していると考えられます。

多くの女性は、結婚・出産期を迎える20代後半に正規雇用から非正規雇用、あるいは退職を選んでいるのです。

性別役割分業が職業の男女平等を阻む

逆に言えば、結婚・出産した女性には正規雇用で働き続けられない理由があると言えるでしょう。
女性が正規雇用から離脱する一因は、家事労働の負担が挙げられます。男性の家事・育児時間は女性に比べるととても短いものです。

例えば東京都が調査を行ったところ、都内の子育て世代の家事・育児時間は、週全体平均で女性が8時間54分だったのに対し、男性は3時間34分でした。女性は男性のおよそ3倍の時間を家事・育児に費やしているのです。


「東京都の子育て世帯の家事・育児関連時間男女比較」
東京都生活文化局 令和3年度男性の家事・育児参画状況実態調査 報告書 より

「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という昔ながらの意識は徐々に薄れつつありますが、依然として性別役割分業は常態化しています。

こうした家事負担の偏りは、企業で働く女性だけでなく、政治を志す女性の意欲も奪っています。

立候補を断念した人を調査した内閣府の調査によれば、断念理由には「立候補に係る資金の不足」に次いで「仕事や家庭生活のため、選挙運動とその準備にかける時間がない」が挙げられました。特に女性は男性に比べ「当選した場合、家庭生活との両立が難しい」と答えた割合が高くなっています。

結婚・出産を経ても女性が活躍するためのキャリアアップ法はこちら

「メンバーシップ型」雇用も職業の男女平等を阻害する要因

メンバーシップ型と呼ばれる日本固有の雇用システムも、女性のキャリアアップを阻んできました。メンバーシップ型とは、スキルや成果ではなく働いた時間や勤務年数によって社員を評価し、年功序列で給与や昇進を決定する仕組みです。ジェネラリストを育成するためにジョブローテーションを繰り返し、会社都合で転勤や異動を命じられることもあります。

そのため、産休・育休、時短勤務等で働き方のペースを落とすことは出世コースからの離脱につながります。終身雇用を想定したメンバーシップ型から脱落することを恐れて男性は育休を取れず、仕事と家庭を両立できない女性は離職や非正規雇用を選ばざるを得ないのです。

終身雇用制度はすでに崩壊?新しい時代のキャリア戦略を知るならこちら

国は有効な男女格差是正策を打ち出せていない

国は、男女共同参画基本法の制定以降、基本計画を策定しさまざまな取り組みを行ってきました。2022年度は政府の経済政策運営方針の重点に「女性の経済的自立」を掲げ、「女性版骨太の方針2022」を策定。一定の企業に対し、男女の賃金格差の開示を新たに義務づけるなどとしています。

男性の育休取得推奨を義務化する「産後パパ育休制度」が2022年10月からスタートすることもふまえ、男性の家庭・地域参加を支援する取り組みも手厚く設けられました。

しかし、ジェンダーギャップ指数の推移からもわかるように、これまでの政府施策はスピード感や実効性に欠けると言わざるをえません。たとえば2003年、国は指導的地位の女性を2020年までに30%へ引き上げると宣言しましたが、15年以上たった今でも実現にはほど遠い状況です。達成期限は2030年に先送りしました。

国は今後どれだけ本気で男女平等に取り組めるかが問われています。

職業の男女平等を実現するために私たちができること

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日本の男女平等実現はまだ道半ばです。社会構造を抜本的に変革しなければ、ジェンダーギャップ指数の改善は困難でしょう。
では、男女格差が潜む社会の中で私たちはどのように生き方やキャリアに向き合い、行動するべきなのでしょうか。

アンコンシャス・バイアスに気付く

男女格差の解消には、性別役割分業意識の払拭が求められます。性別役割分業意識には、人々が持つ性別に対する無意識の思いこみ(アンコンシャス・バイアス)が関わっています。アンコンシャス・バイアスとは、人が知らず知らずのうちに抱いている偏見や思いこみです。

たとえば、育休や産休に復帰したばかりの女性に「責任ある仕事は負担になるだろう」と本人の希望とは関係なく簡単な仕事を任せることはバイアスの一例です。こうしたバイアスは、女性の昇進・出世を阻むマミートラックの一因になります。
反対に、働く人自身が「どうせ無理だ」「発言をしても無意味だ」と仕事や家庭への不満に沈黙することもバイアスの一つです。

20代〜60代の男女を対象にした内閣府の調査によれば、回答者の7割以上は何らかのアンコンシャスバイアスを持っていました。
「女性には女性らしい感性があるものだ」「男性は仕事をして家計を支えるべきだ」というバイアスを持っている割合は男女ともに50%近くに上ります。また、バイアスは異性に対してだけでなく、自分に対しても「男性(女性だから)こうあるべきだ」という思い込みがあることもわかりました。

自らのバイアスに向き合い気付くことができれば、性別役割分業を回避し個人を尊重する行動とは何かを考える一歩になります。

働き方・生き方の選択肢を狭めない


日本の働き方は少しずつ多様化しています。一つの会社に勤める会社員だけでなく、業務委託など時間や場所の制約のない新しい働き方も定着しつつあります。
従来の正規雇用と非正規雇用の二者択一ではなく、働き方の選択肢を狭めないことで、男性も女性も柔軟なキャリア形成ができるようになるでしょう。

著者自身も多くの女性のように出産を機に20代後半で正社員コースを外れました。「いつかはまた正社員に」と漠然と思っていましたが、新型コロナウイルス感染症の流行に遭い、就活も保育園探しもままならない状況に。一方でリモートワークが急速に浸透したことで、自宅での業務委託という道が開けました。

コロナ前までは組織に属さず自宅で仕事をして独立するなど夢にも思っていませんでした。社会も働き方も変わりつつある時代の中では、想定にない選択肢を得られることもあるのです。

キャリーミーのプロ人材になることも、多様な働き方の選択肢の一つになるでしょう。プロ人材は、業務委託で柔軟に仕事内容や働く場所・時間を選択し、仕事の成果で評価を得ることができる働き方です。能力やスキルがあれば、性別関係なく活躍できるチャンスを得ることができます。

たとえば、キャリーミーには下記のようにさまざまなキャリアを歩むプロ人材がいます。

・お子さんの保育園が決まる前からキャリーミーを活用し、現在子育てをしながら、週1出社や、MTGベースで出社などのPR案件を複数担当している女性
・2人の未就学児のお子さんを育てながら、育休中にキャリーミーで複数の案件を獲得し、パラレルキャリアを実践中の女性
・夫婦で起業し、Webマーケターのプロとしてキャリーミー経由で複数の案件でも活躍する30代の男性
・大学在学中に第一子出産し、現在4人の子供を育てながら、マーケティングや新規事業を担当するキャリーミーのCMO

男女格差の現状や課題を1人ひとりが自分ごととしてとらえることも大切です。個人の問題意識が高まれば、男女格差の矛盾を訴える世論はさらに高まり、国や企業の取り組みを後押しすることにつながります。誰もが自分らしい生き方を実現できる未来を考え続けましょう。

<参考文献>
世界経済フォーラム Global Gender Gap Report 2022
内閣府男女共同参画局 男女共同参画の最近の動き
内閣府男女共同参画局 男女共同参画白書 令和4年版
内閣府男女共同参画局 男女共同参画白書 令和3年版
内閣府男女共同参画局 男女共同参画白書 令和元年版
厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査
内閣府政策統括官 日本経済2021-2022
東京都生活文化局 令和3年度男性の家事・育児参画状況実態調査 報告書
内閣府男女共同参画局 「共同参画」2021年6月号
内閣府男女共同参画局 「共同参画」2021年10月号
Yahoo! JAPAN 女性の賃金なぜ低い?日本の現実
日経ビジネス「「誰もが階段を上る」キャリアが女性の社会進出を拒んでいる」
内閣府男女共同参画局 男女共同参画基本計画
すべての女性が輝く社会づくり本部男女共同参画推進本部 女性活躍・男女共同参画の重点方針 2022(女性版骨太の方針 2022)
厚生労働省 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内
内閣府男女共同参画局 第5次男女共同参画基本計画
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この記事を書いた人

mitsumori
西岡 日花李

1987年生まれ。神奈川県出身。大学在学中から取材執筆活動・テレビ番組制作を開始。大学院でジャーナリズムを専攻後、ミニコミ紙に入社し、社会・文化など幅広いジャンルのニュース・インタビュー記事を執筆する。現在は家事子育てとの両立のため、フリーとして活動。東北の地方都市で生活しながらも、リモートをフル活用しライティング業を継続中。

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