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ダブルワークが住民税でバレる理由と注意点は?元税務課の公務員が解説!

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ダブルワークは住民税の天引時に会社にバレやすい!

ダブルワークや副業を行う際、本業である会社にバレたくないという人もいらっしゃるでしょう。

ダブルワークや副業は“住民税の納付書発行のタイミング”でばれやすいと言われています。
これには、住民税の納付方法が関係しています。

そこで、個人住民税の担当をしたこともある元公務員の筆者の経験を踏まえ、住民税の納付でダブルワークがばれてしまう理由とその対策についてご紹介します。

ダブルワークが住民税の納付でバレる理由:企業には住民税納付を給与天引きで行う義務があるから

地方税法上、原則として企業は従業員の住民税は給与天引きをしなくてはいけません。

地方税法第 41 条、第 321 条の 4 及び第 328 条の 5 第 1 項の規定により、 所得税の源泉徴収義務がある事業主は、区市町村から特別徴収義務者に指定されます。給料日の間隔が一月を超える、又は給与から住民税額が引ききれないなどの特別な理由がない限り、普通徴収(※)は認められません。
※普通徴収
主として事業所得がある方などが区市町村から送付される納税通知によって納める方法。
参考:東京都主税局 

そこで、企業は従業員の住民税を毎月給与天引きして自治体へ納付するために、従業員個人の住民税額を知る必要があります。

この際に同期入社などの給与水準が変わらない人に比べて
・給与収入が複数ある、または事業所得で利益が出ているため、住民税が多すぎる
・事業所得で損失が出たことで、所得が少なくなり住民税が少なすぎる

ようなケースにおいてダブルワークが疑われ、バレてしまうのです。

ダブルワークが住民税の納付でバレる理由:従業員個人の所得状況の通知が個人情報保護をされないまま企業に送付されている可能性がある

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自治体は、給与天引きをする企業あてに従業員個人の所得状況などを記載した通知書を送付しています。この通知書が支払通知ハガキなどにあるような圧着の仕様になっておらず、だれでも内容が確認できるような仕様になっている自治体もあります。

実は私も以前住んだ自治体の納付書(勤務していた自治体とは別の自治体です)が、所得や控除の内訳の書かれた明細書が圧着せずに、誰でも確認できるような状態で給与担当者から渡され驚いたことがありました。

このような形で企業側に個人の所得が把握されてしまうケースもあるのです。

最近では、マイナンバーを使って個人の所得などの情報が企業に流出しているのではないかという憶測が、マイナンバー導入時に流れたこともありました。

しかし、企業側が従業員のマイナンバーを使って、税務署や自治体にダブルワークや副業に対する情報公開を依頼したとしても、それが許可される可能性はかなり低いです。
正当な理由がない限り個人情報の開示はしないと徹底されているはずだからです。

マイナンバーを必要以上に怖がるよりも、SNSでの投稿内容、本業での勤務態度や勤怠の乱れと言ったことからばれてしまうケースもあるようなので、そういった自己管理の配慮の方が効果があがるでしょう。

ダブルワークの所得はどう住民税で計算されるの?


所得税と個人住民税の税額の出し方は、

【(全所得金額ー所得控除金額)×税率】

で計算されています。(その他、特別な控除もありますが、ここではその説明は省きます。)

そして、税金が天引き可能な給与受け取り先があるときは原則そこから税額の全額を天引きする処理を行なっています。ただし、複数の所得がある場合は主給与以外の所得に対する税額分のみを切り出して直接納付(普通徴収)する方法もあります。

ダブルワークで確定申告が必要な人とは?

では、ダブルワークを行なっている人で、確定申告が必要なのはどんな人でしょうか?

1月から12月までの1年間でのダブルワークでの所得が20万円を超える場合は、必ず確定申告が必要です。また、同期間での給与収入が2,000万円を超えている方なども確定申告が必要です。(国税庁HPより)

ダブルワークがバレるのが嫌だからと確定申告を行わないと、税務調査の対象となることがあります。
また、各企業や事業所にも誰にいくら支払いをしたのか報告する義務があるので、所得状況は税務署に通知されていると理解する方がいいでしょう。

また、所得が20万円以上あるかないかに関わらず、雇用されている企業が複数ある場合は、年末調整をしていない所得は税金を払い過ぎている可能性があります。

計算してみて還付される税金がある場合、確定申告を提出することで払い過ぎている所得税の還付が受けられます。計算が面倒な場合は国税庁のHPで確定申告作成ページがありますので、そこで全ての所得状況を入力するだけで還付額等を全て計算することができます。

ダブルワークでも年末調整だけでいい人とは?

逆にダブルワークをしていても年末調整だけでいいのは、主給与以外の所得が20万円に満たない方です。

所得とは、収入のことでも口座の振込額でもありません。業務委託などの事業所得の方は、収入から必要経費を差し引いた額が所得になります。

給与収入の方は経費計算が難しいという観点から国が給与収入に応じた所得額を決定しています。ご自身の給与所得額は、源泉徴収票の「所得金額」の欄に記載されています。

複数の給与収入を合算すると、所得金額が源泉徴収票の所得額を単に足しただけではなく、それよりも金額が上がったりする可能性もあります。

また、上記のように、主給与以外の所得が20万円を超えなくても年末調整をしていない給与収入がある場合などは確定申告によって所得税の還付を受けられることがありますので、確認しておくといいでしょう。

ダブルワーク分の住民税を会社に分からなくさせる方法は?

確定申告でダブルワーク分(主給与以外の所得)を直接納付すると希望を出すことができる!

ダブルワークが住民税をきっかけにして会社にバレないようにするには、ダブルワーク分の所得の住民税を自分で支払える状態にすることが必要です。

ダブルワーク分の所得(=主給与以外の所得)にかかる住民税を給与天引きで支払わないようにするためには、確定申告時に「主給与以外の所得を普通徴収で支払う」とチェックを入れます。これで主給与以外の所得を直接納付するよう、居住地の自治体に要望を出すことができます。

ダブルワークの住民税を直接納付できるか自治体に問い合わせをしておくことも必要

しかし、これだけでは不安という方もいるでしょう。

確定申告は国税(所得税)の申告です。所得税の申告を住民税にも流用しているだけなので、直接住民税を課税する自治体とやり取りをしていないからです。

その場合、住民票のある自治体(=住民税を支払う自治体)の税務課などへ相談に行くのもお勧めです。しかし、確定申告データが自治体まで通知されていない状態で相談に行ってもスムーズに対応されない可能性もあります。

確定申告が始まってから、住民税の課税計算が終わるまでの2月から4月頃までのタイミングで相談を行うと比較的スムーズに話ができる可能性があります。もちろん、それ以前でも記録に残すなどの対応を取ってくれる自治体もあると思います。対応方法は自治体によって様々なので、まずは問合せを行ってみましょう。

元住民税担当が見たダブルワークのこんな事例!

住民税担当にダブルワーク分が普通徴収になるか確認の電話が!

これは私が以前聞いたことのある事例ですが、ダブルワークの給与状況がバレないようにしたいというご相談のお電話をお受けしたというものがあります。
こういった場合、おそらく多くの自治体では「税金の納付方法の変更の問合せ」ということで承るので、問合せがあったこと、納付方法のチェックを特に注意するように履歴を残します。ですがあくまでも自治体の職員は「課税」「納税」に関する仕事をしているので、納付方法については最大限注意はしますがバレるかどうかについては100%の保障はできませんという旨をお伝えするはずです。

住民税の納付方法を変更しても、SNSや勤怠状況など総合的に判断してダブルワークがバレることも十分ありますので、対策の一つであるという認識が必要です。

また、問合せをする自治体を間違えてらっしゃる方もたまに見受けられます。
住民税は、その年の1月1日に住民票のあった自治体で課税されると決められています。例えば、今年の5月以降に通知される住民税は今年1月1日に住民票があった自治体になります。去年中に引っ越した人やこれから引っ越しを控えている人は注意しましょう。

住民税の納付方法を事前確認する自治体もある!

実際に、給与が1か所ではない方や複数の所得を持っている方に対して納付方法に問題がないか納付書発行前にチェックするという業務がある自治体もあるでしょう。(これは、自治体側で判断・確認を行うもので、納税者の方一人ひとりにお電話等で事前連絡・相談をしているというものではありません。確定申告でダブルワーク分を直接納付したいとチェックをされた方の事務処理に、ミスがないか確認する作業ととらえていただくと良いかと思います。)

しかし、この対応をしているかどうかは自治体によってかなり異なると思います。住民数が多すぎてチェックできない場合があったり、先ほどご紹介した通り、天引きする企業担当者が個人の所得が確認できるような状態で通知書を発行している場合もあります。

こうしたことも予想されますので、給与天引きの納付書の記載方法や様式、また、そもそも主給与以外の所得を個人が直接納付できるのかなど、不明点は必ず自治体の担当課(多くは税務課です)に確認してみましょう。

ダブルワークが住民税の納付時にバレてしまう要因とその対策についてご紹介してきました。
住民税以外にもSNSや本業の勤怠などで会社にバレるケースも多いので注意が必要です。
また、政府は働き方改革の流れで、副業・兼業を推進しており、一律禁止としている企業は検討が必要との方向となっています。もし会社にバレてしまったとしても、そうした社会の流れから適切に説明をして必要に応じて認めてもらうといった交渉も必要になってくるでしょう。

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この記事を書いた人

azusa watanabe
渡部 梓

大学卒業後アパレルメーカーで販売、ディストリビューター(在庫管理、換金計画策定等)、店舗支援を担当する。結婚退職後、転居し地方公務員へ。個人住民税課税業務に従事。第一子育休中に再転居により公務員を辞し、無職での保活と子連れの再就職活動を経験する。その後アパレルメーカーでのディストリビューター業務の傍らCARRY ME経由でライティング活動を開始。現在は某企業の社内広報業務を行いながらCARRY MEにてライティング関係の業務委託案件を請け負うパラレルキャリア実践者。プライベートでは二児の母。