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継続した利益追求やコスト削減、業務効率化を実現するアウトソーシングのすすめ。賢いアウトソーシング活用の秘訣を知る

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アウトソーシングとは

アウトソーシングとは、企業が担う業務(仕事)を外部の専門業者に外部委託することを指すビジネス用語です。
一般的にアウトソーシングされてきた業務例として、

○事務・経理処理の補助的業務
○荷物の梱包・配送業務
○店舗運営管理

などが挙げられます。

近年では、人事や法務といった高度な専門知識を有するコーポレート部門の業務(仕事)を委託するケースや、変化も大きく専門知識も必要なIT関係の業務でもアウトソーシングされるケースが増えてきました。

これまでは自社のノウハウは他社に流出しないよう自社社員の育成と業務の引き継ぎでまかなわれてきましたが、昨今ベンチャー企業の増加でそうしたノウハウのない会社が外部と契約し人材育成を含めたアウトソーシングを行うというケースもあります。また、主流となっているM&Aやジョイントベンチャー、業界内の事業提携も広義的にアウトソーシングを位置づけることができます。

アウトソーシングの市場規模と必要な背景

経済産業省が発表している資料では、アウトソーシングの1種であるBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の国内市場規模が、2009年の1兆4936億から2015年には1兆6000億まで増加していると指摘されています。

アウトソーシング市場の増加の原因は、若年労働者人口の減少です。少子高齢化に伴い、日本の労働人口が減少しているのはみなさんご存じの通りです。経済産業省の発表した「第4次産業革命への対応の方向性」では、雇用人員判断を示すD.I(過剰-不足)が、2013年以降はマイナス(人材不足)に転じており、2016年には大企業・中小企業、製造業・非製造業、全規模産業全てにおいて、マイナス(人材不足)を記録しています。

これらの状況が何を表しているのか。

社員として人材を確保しようにも、募集が集まらなかったり経験が不足している人材しか集まらないようになるという問題を企業は抱えています。アウトソーシングはそうした人手不足の補完戦略として、プロを契約で招いて業務を行ってもらったり、更に進んで自社の既存人材の育成を行ってもらうなど、コストをかけずに成果を出すための重要な経営戦略と位置付ける企業が増えていることも考えられます。

【参考】経済産業省 平成26年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(2)国内BPO市場の規模
【参考】経済産業省 第4次産業革命への対応の方向性

アウトソーシングに向いている職種、業種

まずアウトソーシングに向いているとされる職種や業種についてご紹介していきます。
アウトソーシングを行うケースには大きく分けて3つあると筆者は考えます。

①自社でノウハウを蓄積できないような専門性の高い業務をプロに外部委託するケース
②自社社員を社内の重要業務に当たらせるために補佐的な業務を外部委託するケース
③事業展開を広げたり業務の効率化を図るために、外部委託するケース

これら3つのケースの具体例をみていきましょう。

高度な専門技術をアウトソーシングするケース

人事・法務・会計・情報システム関連の業務をプロ(例えば税理士や会計士、弁護士などの士業や人事経験の長いプロ人材)に委託する場合が想定されます。

補佐的業務をアウトソーシングするケース

事務・受付業務(総務・経理)などで派遣社員さんなどに委託するようなケースが想定されるのではないでしょうか。また、大きな店舗やイベント会場などでの運営スタッフの業務も主催者側の指示に従って補佐的業務をするので、ここに当たると言えます。

事業展開を広げる・業務効率化のためアウトソーシングするケース

いわゆるフランチャイズ契約や販売代行契約などで店舗運営を他社人材に委託するケースが考えられます。また、業務の効率化という点でアウトソーシングする例としては、物流業務や資材調達業務を自社で抱え込まず他社に委託し購入する形をとることもあります。

類似業務から見るアウトソーシング

ここでは、アウトソーシングと類似の業務との違いを示すことでアウトソーシングの特徴を明確にしていきましょう。

アウトソーシングとBPOの違い

アウトソーシングは、自社の強みや基幹部分を担う業務(仕事)を自社の従業員が担当し、その他の業務(仕事)は専門業者に外部委託することが形態をとります。しかし、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は本来のアウトソーシングよりも委託業務範囲が広く、基幹部分の業務(仕事)も含む全ての業務(仕事)を外部委託することを可能にした新しいアウトソーシングの形態です。

アウトソーシングとシェアードサービスの違い

シェアードサービスとは、M&Aや分社化によって増えたグループ企業のコーポレート機能(人事部、総務部、法務部、データセンターなど)を一箇所に集約し、コストの削減及び業務(仕事)の効率化・品質向上を図る経営手法を指すビジネス用語です。

先述したBPOを含むアウトソーシングでは外部人材に業務委託するのに対し、シェアードサービスはグループ企業内で業務を集約するので内部の人間が業務を行うというところが大きく異なります。

アウトソーシングと派遣の違い

いわゆる派遣と呼ばれる人材派遣とは「派遣元となる派遣業者に登録している者を、派遣先となる事業所へ派遣して、かつ派遣先の指示命令のもとで労働サービスを提供する雇用形態」のこと。

それに対して業務請負(アウトソーシング)とは「請負契約(当事者の一方(請負元)が相手方に対し仕事の完成を約し、他方(請負先)がこの仕事の完成に対する報酬を支払うことを約することを内容とする契約)に基づき、製造、営業など業務を一括して請け負う形態」。

派遣は雇用契約なので労働に対して対価が支払われますが、アウトソーシングは業務請負契約なので、成果物に対して対価が支払われます。極論すれば、派遣は成果がでなくても賃金が発生し、アウトソーシングは成果がなければいくら働いても対価を支払わなくてもいいということです。

アウトソーシングのメリット

アウトソーシングのメリットは大きく3点あります。

1)コスト削減

自社で人材を雇用し、育てて即戦力とするには大きなコストと時間がかかります。アウトソーシングすることで、そうしたコストを削減することができます。また、アウトソーシングが繁忙期のみでいいのなら、それ以外の時期に余剰人材(コスト)がでることもありません。

2)スピーディーな競争力向上

特に専門性の高い業務や変化の激しいITなどの専門業務において、自社既存人材でその情報を学び続けるのにはかなりの労力が必要です。その点、アウトソーシングをすればその分野に明るく即戦力のある人材が業務に当たってくれるので、スピーディーな競争力の向上が期待されます。

3)品質、アウトプットの質の向上

日本の多くの企業では、プロであるよりジェネラリストであることが求められる風潮が強かったため専門業務についてはそのプロには敵いづらいという弊害があります。その点、その分野の専門性のある組織や人材にアウトソーシングすることで、商品やサービスといったアウトプットの質の向上が見込まれます。

適材適所で、アウトソーシングを活用していけば上記のようなメリットを得ることができます。そのような賢いアウトソーシングにするには、どんなコツがあるでしょうか?次の章で考えていきます。

賢いアウトソーシング活用の成功秘訣

どんなにメリットが多いからといっても、単にアウトソーシングを使って自社スタッフが楽をできておしまい、ではアウトソーシングをしっかり活用できたとは言い難いですね。
そこで、アウトソーシングを賢く活用していくための秘訣を3つご紹介していきます。

1)社内ノウハウが蓄積できる仕組みを考える

せっかくプロにアウトソーシングをしても、そのプロでしか出来ない業務になってしまってはずっとアウトソーシングし続けなければなりません。
結果的にコストアップとならないよう、アウトソーシングをした個人や組織と良い関係作りをし、必要なノウハウは自社で蓄積できるように仕組みを整えましょう。
例えば委託先に自社社員の教育を依頼し、自社社員が得てほしいスキル、そのレベルなどを委託先と共有し定期的にチェックするといった、フローを作るのも効果的です。

2)ガバナンスの弱体化対策を行う

外部人材が業務に関与することで企業内の統制がとれなくなったり、企業としての一体感が醸成されなくなる、いわゆるガバナンスの弱体化が起こるリスクがあります。ガバナンスの弱体化は業務を行う上での責任感やモラルの低下を招くこともあります。委託業務の目的や内容の明確化を行って進捗管理を定点で行うことが対策として考えられます。

3)情報漏洩のリスク対策を行う

アウトソーシングをするということは自社スタッフ以外の人間が自社の情報を使って仕事をするということです。当然リスクのひとつとして情報漏洩の問題があると認識しておく必要があります。
アウトソーシング先への規制やルール創りはもちろんのこと、それをチェックするフローと定期的なフローの見直しが求められます。また、セキュリティなどの必要環境を整備することも効果的です。

アウトソーシングの導入方法

最後に、具体的にアウトソーシングを導入するにはどのような方法をとると良いかご紹介していきます。
具体的な導入手順は下記の5つの工程に分けられます。

1)現状の業務棚卸

現在自社内で行っている業務内容を分解し、どんなタスクがあるのかを棚卸しましょう。

2)工数の可視化

棚卸したタスクを更に分解していきます。作業レベルを掘り下げ、工数を可視化することが大切です。

3)アウトソースできるかできないかの分別

工数を可視化できたら、それらをアウトソースできるか、またはアウトソースするべきか検討し、分別します。

4)アウトソースできる業務で守りたいものの定義(QCDどれをどのぐらいの品質で守りたいか)

アウトソーシングする業務が明確になったらQDCの視点からアウトソーシングしてもらう上での納品レベルを定義しておきましょう。QDCは、「Quality(品質)」「 Cost(費用)」「Delivery(引渡)」の頭文字をとったもので、主に製造業から使われ始めた製品の納品状態をチェックするポイントです。ひとつひとつポイントを確認しておくと、
「Quality(品質)」
納品してもらう業務の品質、レベルについてです。人材育成までしてほしい、ですとか、作る資料においても社内向けか外部向けかでそのレベルは大きく異なるはずです。
「 Cost(費用)」
どのくらいのコストをかけるのか?アウトソーシングする業務とその対価として支払う費用のバランスがとれているか?
「Delivery(引渡)」
依頼した期日までに納品されるか?適時、適所への納品がたもたれるのか?
と言うものが挙げられます。これらをはっきりさせておくことでアウトソーシングする際の指示が明確になります。

5)アウトソースできない業務の理由を明確化

最後にアウトソーシング出来なかった業務の理由をはっきりさせておきましょう。これを行っておくことで、アウトソーシング業務を増やすことになった場合、上記のような選択プロセスの短縮が可能です。

導入手順に必要な作業は、業務棚卸や工数の可視化、アウトソースできない業務の理由を明確にするなど少し骨の折れることもあります。しかし、こうした作業を行った後にうまく依頼先を選べばその業務の周りに起こる課題から的確に抽出し体制や施策を一緒に考えてくれるプロ人材を配置することも可能です。社内の人間だけでで考えるとなかなか進まないということもあるので、アウトソーシングという形を検討し、ぜひ一度外部のプロ人材を導入を始めてみることをお勧めします。

(企画・構成 松澤 唯/ライター 渡部梓)

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この記事を書いた人

azusa watanabe
渡部 梓

大学卒業後アパレルメーカーで販売、ディストリビューター(在庫管理、換金計画策定等)、店舗支援を担当する。結婚退職後、転居し地方公務員へ。個人住民税課税業務に従事。第一子育休中に再転居により公務員を辞し、無職での保活と子連れの再就職活動を経験する。その後アパレルメーカーでのディストリビューター業務の傍らCARRY ME経由でライティング活動を開始。現在は某企業の社内広報業務を行いながらCARRY MEにてライティング関係の業務委託案件を請け負うパラレルキャリア実践者。プライベートでは二児の母。