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管理職は本当に残業代がつかない?労働基準法上の管理監督者を社労士が解説

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本当にあなたは「管理職」?残業代がつかない労働基準法上の管理監督者性とは

「管理職には残業手当も休日出勤手当も必要ない」「管理職は36協定も関係ない」。このような話は皆さんどこかで聞いたことがあるかもしれません。

これらが正しいかどうかは、自社の管理職が「労働基準法に定める管理監督者」に合致しているかどうかで決まります。

たとえ会社内で管理職としての地位にある労働者でも、労働基準法上の「管理監督者」に当てはまらない場合があります。例えば、会社では「店長」を管理職と位置づけていても、実際に労働基準法上の管理監督者に係る判断基準からみて、十分な権限もなく相応の待遇等も与えられていないと判断される場合には「店長」は「管理監督者」には当たりません。

管理監督者でないということになれば、労働時間管理や時間外労働手当および休日労働手当の支払いが必要になりますし、時間外労働や休日労働自体も36協定に定める範囲内で行う必要があります。管理監督者の範囲が適正化されていないことは、会社の存続を揺るがす重大なコンプライアンス違反につながります。

今回は、広くとらえられがちな「管理監督者」の範囲をわかりやすく解説します!

労働基準法に定める管理監督者の定義とは?

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「管理監督者」は労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいい、労働基準法で定められた労働時間、休憩、休日の制限を受けません。

「管理監督者」に当てはまるかどうかは、役職名ではなく、その職務内容、責任と権限、勤務態様等の実態によって判断します。

厚生労働省の「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」によると、具体的な判断基準については以下の通りです。

判断基準1:
労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を有していること

労働条件の決定その他労務管理について、経営者と一体的な立場にあり、労働時間等の規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を有していなければ、管理監督者とは言えません。

判断基準2:
労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な責任と権限を有していること

労働条件の決定その他労務管理について、経営者と一体的な立場にあるというためには、経営者から重要な責任と権限を委ねられている必要があります。「課長」「リーダー」といった肩書があっても、自らの裁量で行使できる権限が少なく、多くの事項について上司に決裁を仰ぐ必要があったり、上司の命令を部下に伝達するに過ぎないような者は、管理監督者とは言えません。

判断基準3:
現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないようなものであること

管理監督者は、時を選ばず経営上の判断や対応が要請され、労務管理においても一般労働者と異なる立場にある必要があります。労働時間について厳格な管理をされているような場合は、管理監督者とは言えません。

判断基準4:
賃金等について、その地位にふさわしい待遇がなされていること

管理監督者は、その職務の重要性から、定期給与、賞与、その他の待遇において、一般労働者と比較して相応の待遇がなされていなければなりません。

企業内で管理職とされていても、上記の判断基準に基づき総合的に判断した結果、労働基準法上の「管理監督者」に該当しない場合は、労働基準法で定める労働時間等の規制を受け、時間外割増賃金や休日割増賃金の支払が必要となります。

管理監督者であっても著しい残業などの過重労働はNG

労働基準法上に定める管理監督者であっても、労働基準法によって保護される労働者ということに変わりはなく、使用者には管理監督者安全配慮義務が生じます。

そのため健康を害するような過重労働があってはなりませんし、日中より心身への負担が重いとされている深夜労働については、管理監督者であっても25%割増の深夜労働手当を支払う義務があります。もちろん、年次有給休暇についても一般労働者と同様に与える必要があります。

2019年4月1日に施行された改正労働安全衛生法では、新たに従業員の労働時間の「客観的な把握」が使用者の義務として明記されていますが、こちらについては一般従業員だけでなく管理監督者も対象です。労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置として、管理監督者を含めた従業員の始終業時刻の確認・記録を、客観的な記録をもとに実施する必要があります。

また、母体保護法で規定している産前産後休業(産前6か月の請求による休業および産後8週間の法律上当然の休業)および妊娠中の軽易な業務への転換は、管理監督者であっても対象であることにも注意が必要です。

労働基準法上の管理監督者にあてはまる管理職になっているか見直しを

個々のケースで管理監督者に当てはまるかどうかについては、これまでいくつもの裁判例があります。そのため冒頭にも述べたとおり、管理監督者の範囲を適正に取り扱うことはコンプライアンス遵守の観点から非常に重要です。特に上場を考えている企業などは管理監督者性が非常に重要な論点となります。上記判断基準に照らして、自社の管理職の範囲には問題がないかを一度点検してみてください。

また、管理職として従事している方も、自分が管理監督者に該当するのか今一度確認してみると良いでしょう。

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この記事を書いた人

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寺島 有紀

寺島戦略社会保険労務士事務所 所長 社会保険労務士。
一橋大学商学部 卒業。
新卒で楽天株式会社に入社後、社内規程策定、国内・海外子会社等へのローカライズ・適用などの内部統制業務や社内コンプライアンス教育等に従事。在職中に社会保険労務士国家試験に合格後、社会保険労務士事務所に勤務し、ベンチャー・中小企業から一部上場企業まで国内労働法改正対応や海外進出企業の労務アドバイザリー等に従事。
現在は、社会保険労務士としてベンチャー企業のIPO労務コンプライアンス対応から企業の海外進出労務体制構築等、国内・海外両面から幅広く人事労務コンサルティングを行っている。
2020年7月3日に「Q&Aでわかる テレワークの労務・法務・情報セキュリティ」が発売。第1章労務パートを執筆。 2019年4月に、「これだけは知っておきたい! スタートアップ・ベンチャー企業の労務管理――初めての従業員雇用からIPO準備期の労務コンプライアンスまで この一冊でやさしく理解できる!」を上梓。

寺島戦略社会保険労務士事務所HP: https://www.terashima-sr.com/