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【2022年最新】フリーランスは労働基準法の適用外?フリーランスの社会保障・法的保護について社労士がわかりやすく解説!

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フリーランスの社会保障や法的保護は?労働基準法について知ろう

2021年現在、個人の立場で働く「フリーランス」は、民間の調査(ランサーズ 『フリーランス実態調査 2021』)によれば1,600万人を超えるといわれています。

これは、副業元年と言われた2018年と比較しても500万人以上増加しているそうです。

また同調査によればフリーランスの経済規模は2021年には28兆円に上るということ。こちらも2018年からは約8兆円増加しているということです。

コロナ禍で在宅勤務等が増え、通勤時間等が減ったことなどで余剰時間が生まれ、新たな働き方を模索した方が増えたことなどが影響しているものと考えられます。

このようにフリーランスの存在感はますます増してきている一方、いまだフリーランスの方への労働法規制や社会保障が十分ではないという現状があります。

企業で雇用される社員が当然に保障される権利の数々が、フリーランスには適用されない例は多くあります。例えば雇用保険の失業手当、厚生年金は代表例ですが、実際にフリーランスで働いている方は、社会保障は薄いな……と日々実感しているところではないでしょうか。

ただこのような流れも改善の兆しが見られ始めています。

今回はこのフリーランスと労働基準法との関係について解説していきます!

そもそもフリーランスは労働基準法が適用されるの?

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そもそもフリーランスには労働基準法をはじめとした労働法が適用されるのでしょうか?

答えはNOです。

というのも労働基準法は「労働者」に適用される法律であり、労働基準法ではこの労働者の定義を「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」としています。

ざっくりいえば、労働基準法は企業に「雇用されている」方、つまり雇用契約を締結して働いている方が適用されることになります。

一方でフリーランスは雇用契約を締結して企業から指揮命令を受けて働いているのではなく業務委託契約のもと特段の拘束性等はなく、発注者から依頼された業務を遂行するといった働き方です。

◆雇用契約とは?
一方(労働者)が労働に従事し、相手方(使用者)がこれに対してその報酬を与えることを約束することを内容とする契約をいいます。
雇用契約の対象となる「労働者」にあたる場合は、労働基準法や労働契約法上の保護を受けます。

◆業務委託契約とは?
業務の発注者(委託者)が、受注者である相手方(受託者)に対して業務を委託し、受注者は発注者から委託された業務を遂行し、対価(報酬)を受け取ることを内容とする契約をいいます。
業務委託契約の対象となる場合には、労働基準法や労働契約法上の保護は受けることはできません。

雇用契約で働く労働者と業務委託契約で働くフリーランスにはこのように労働基準法をはじめとした労働法が適用されるか否かで、大きな違いがあります。

フリーランスも労働基準法が適用されるケースもある!

近年、積極的にフリーランスを活用する企業が増加しています。企業にとって、労働法制が適用されず、社会保険料もかからず、特段給与計算等も不要であるためです。

しかし、労働法制が適用されないというのは、あくまでも「フリーランスとして会社から指揮命令等を受けず、拘束性もないといった実態」が確保されている場合に限ります。

労働者とフリーランス・業務委託には下記のような違いがあります。

名目上、フリーランスとして業務委託契約を結んでいても、実態は勤務時間や勤務場所が拘束されていたり指揮命令されていたりすれば「偽装請負」とみなされます。企業には、社会保険に加入させる義務や未払い賃金の支払い義務が生まれます。

フリーランスで働く皆さんは、ご自身の働き方が今一度雇用契約に基づく労働者のようになっていないか確認したいところです。

フリーランスにもセーフティーネット拡大の動きが


このようにセーフティーネットが弱いフリーランスではありますが、冒頭で述べたようにフリーランスの存在感が増してきている現在、いよいよ政府としてもフリーランスの保護を進める方針が打ち出されてきています。

政府は、2021年3月に、内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省の連名で「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」を策定しました。

このガイドラインの中では、フリーランスとして働く人を保護するため、仕事を発注する企業が正当な理由がなく報酬を著しく低く設定したり、報酬の支払いを遅らせたり一方的に仕事を取り消したりすることが、独占禁止法上の優越的な地位の乱用にあたると明記されています。

コロナ禍でフリーランスの収入源が減っている中、一方的に業務をキャンセルされるなどのトラブルが相次いでいることを受け、政府は新法の成立を目指しています。2022年中には法案が提出されると見られ、フリーランスの法的保護の充実が期待されます。

また、厚生労働省はフリーランスのセーフティーネットの拡充のため、これまで労働者のみが対象であった労災保険について対象を広げています。

そもそも労災保険とは労働者が仕事中にけがをしたり病気になったりした際に治療費や休業補償を給付するもので、企業が保険料を負担する制度です。2021年9月からこの労災保険について、いわゆる自転車配達員やITフリーランスの特別加入が認められることになりました。

フリーランスの中でも多いIT業界のフリーランスの方は、任意でこの労災保険に加入することで、業務中のケガや病気が、労災保険による給付の対象となります。(但し、保険料は個人負担になります。)

フリーランスへの法的保護の動きや労働基準法での対応について今後も注目!

いかがでしたでしょうか。

フリーランスには原則労働基準法などの労働法は適用されないということを述べてきましたが、一方でこれまで保護が十分でなかったフリーランスについて、政府が保護を具体的に検討する方針を進めていることは、フリーランスとして働く方にとってはとても心強いことです。

今後もこの保護の流れは大きく動くことが予想されるため、フリーランスで働く方は、ぜひ注目してニュースを見ていただくと良いかと思います。

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この記事を書いた人

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寺島 有紀

寺島戦略社会保険労務士事務所 所長 社会保険労務士。
一橋大学商学部 卒業。
新卒で楽天株式会社に入社後、社内規程策定、国内・海外子会社等へのローカライズ・適用などの内部統制業務や社内コンプライアンス教育等に従事。在職中に社会保険労務士国家試験に合格後、社会保険労務士事務所に勤務し、ベンチャー・中小企業から一部上場企業まで国内労働法改正対応や海外進出企業の労務アドバイザリー等に従事。
現在は、社会保険労務士としてベンチャー企業のIPO労務コンプライアンス対応から企業の海外進出労務体制構築等、国内・海外両面から幅広く人事労務コンサルティングを行っている。
2020年9月15日、「IPOをめざす起業のしかた・経営のポイント いちばん最初に読む本」(アニモ出版)が発売。 2020年7月3日に「Q&Aでわかる テレワークの労務・法務・情報セキュリティ」発売。第1章労務パートを執筆。 2019年4月に、「これだけは知っておきたい! スタートアップ・ベンチャー企業の労務管理――初めての従業員雇用からIPO準備期の労務コンプライアンスまで この一冊でやさしく理解できる!」を上梓。

寺島戦略社会保険労務士事務所HP: https://www.terashima-sr.com/