確定申告シーズン到来! 個人事業主の経費 節税に役立つ経費7選!
個人事業主は「経費」を適切に処理して節税を!
個人事業主やフリーランスで仕事をするにあたって、「経費」は必ずチェックしなくてはならないポイントです。
給与所得者は、「給与所得控除」という形で収入に応じて決められています。それ以上経費がかかった場合も、上限を超えて控除することができません。(参考:国税庁HP 給与所得控除)
一方、個人事業主であれば、「経費」項目を適切に処理さえすれば、控除金額の上限は定められおらず、結果的に大きな節税につながります。
年明けには確定申告も迫っているので、ここで個人事業主が「経費」として申請できる代表的なものをご紹介します。ぜひ、今年の確定申告にお役立てください!
そもそも、個人事業主の「経費」とは何か?
個人事業主になったら「経費」をしっかり把握しよう、などと経費のことは話題に上るものの、
そもそも個人事業主の経費はどのようなものを指すのでしょうか?申告先であり、調査をしている国税庁のホームページでは、次のように説明されています。
事業所得、不動産所得及び雑所得の金額を計算する上で、必要経費に算入できる金額は、次の金額です。
(1) 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
(2) その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
簡単に言えば、「事業を行う上でかかった経費」ということになります。
ただし事業を行うと言っても、個人事業主はプライベートと仕事の境目があいまいになることもしばしばです。
その点について同じく国税庁ホームページでは次のように説明が加えられています。
個人の業務においては一つの支出が家事上と業務上の両方にかかわりがある費用(家事関連費といいます。)となるものがあります。
(例)交際費、接待費、地代、家賃、水道光熱費
この家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます。
つまり、プライベートでの使用分と事業分との経費を分けて、事業分のみを申告してくださいということになります。
事業所得を決定する際の「経費」の考え方として
①申告する年(1月1日~12月31日)の事業を行うにあたってかかった経費であること
②プライベートと事業分は分けたうえで、事業分の費用のみを経費として計上すること
の2点が絶対に守らなくてはならない大きなポイントとなります。
これを無視して、事業収入と経費のバランスが明らかにとれていない申告になっていると、税務調査の対象になることも考えられます。ルールを守って、事業所得の経費を計上しましょう!
個人事業主の「経費」代表例7選!
では実際に個人事業主が「経費」として計上できる代表例を7つ取り上げます。
1. 通信費
対象例:電話代、携帯料金、プロバイダ料金、書類の郵送費、切手代
注意点・コメント
プライベートと仕事で同じ携帯やプロバイダを使用している場合は、先述の通り事業で使用した分のみ、経費として計上することができます。事業按分(事業で使用した費用の割合)を決める場合には、使用時間を目安にすると良いでしょう。仕事とプライベートでちょうど同じ程度使用していて、月額1万円かかっている場合は、事業按分50%で「5千円」を経費として計上することができます。
2.旅費交通費
対象例:電車・バス・新幹線等の公共交通機関の代金、宿泊費用
注意点・コメント
打ち合わせや取材・営業など、事業を行う上で交通機関を使用したり宿泊した際の費用を経費として計上します。
例えば、取材のついでに延泊して友人に会った場合、取材に行くまでの往復交通機関は経費計上できますが、宿泊費は(取材のみであれば宿泊しなくても帰ってこられる場合)経費計上はできません。また、電車やバスでは領収書をもらうのが難しいと思いますので、
出金伝票にメモをするなどして対応しましょう。
3.消耗品費
対象例:文房具、事務用品、名刺
注意点・コメント
金額として10万円未満、耐用年数1年未満のものを事業で使用した際に計上する費用です。似たような勘定科目に「雑費」がありますが、雑費は少額で使用頻度の低く、消耗品ではないものとされ、基本的には使わない勘定科目という認識でいるといいと思います。雑費は引っ越し費用やごみ処理費用、証明書の手数料などに使われることが多いです。
4.減価償却費
対象例:車、家具、家電(高額なもの)…耐用年数表に記載のあるもの
注意点・コメント
個人事業主でもパソコンやカメラ等の高額な仕事道具を購入したり、事業によっては家具や車などをそろえることもあるでしょう。そのような、「高額で長期間使用するもの」を購入した時に何年かかけて経費を按分して計上する経費が減価償却費です。
「何年かかけて」というのは、「法定耐用年数」が国税庁で公表されており、それに基づいて各項目ごとに計算し処理していくためです。また、取得価格が10万円以上20万円未満の場合は「一括償却資産」として3年間、同じ金額を按分することで計上するという方法もあります。
5.租税公課
対象例:個人事業税、固定資産税、不動産取得税、自動車税、登録免許税、印紙税
注意点・コメント
固定資産税や自動車税などは、事業で使用している分のみ按分して経費計上が可能です。また、所得税や個人住民税、相続税等は、事業ではなく個人にかかる税になるので計上してはいけません。
国民健康保険は事業経費にはできませんが、「社会保険料控除」という別項目で控除対象として申告可能です。
6.水道光熱費
対象例:電気代、ガス代、水道料金
注意点・コメント
自宅が事務所となっている場合、按分が非常に難しい項目ではあります。電気代の場合、自宅にいて電気がついていた時間から事業をしていた時間分だけを按分して計上可能なようですがガスや水道はそれが認められないケースも多々あるようです。ガス代や水道料金を経費に計上したい場合は所管税務署または税理士に相談してみると良いでしょう。
7.接待交際費
対象例:取引先との食事代、取引先へのお中元・お歳暮代、手土産、慶弔費
注意点・コメント
取引先との打ち合わせを兼ねた食事などに使用する経費項目ですが、自分の事業規模に対してあまりにも接待費が大きいなどの不自然な点があれば税務調査の対象となります。
あくまでも常識の範囲内で申告することが大切です。
また、慶弔費など領収書のでないものについては、交通費の時と同じく出金伝票などで処理すると良いでしょう。
個人事業主が申告時に役立つであろう経費7選をご紹介してきました。経費はどんなに細かいものでも出金台帳や領収書の管理を徹底し処理を行うことで、きちんと節税ができます。年明けには申告シーズンです。申告前に慌てないようきちんと整理をして、適切な経費計上を行い、賢く節税をしましょう!
この記事を書いた人
- 渡部 梓
大学卒業後アパレルメーカーで販売、ディストリビューター(在庫管理、換金計画策定等)、店舗支援を担当する。結婚退職後、転居し地方公務員へ。個人住民税課税業務に従事。第一子育休中に再転居により公務員を辞し、無職での保活と子連れの再就職活動を経験する。その後アパレルメーカーでのディストリビューター業務の傍らCARRY ME経由でライティング活動を開始。現在は某企業の社内広報業務を行いながらCARRY MEにてライティング関係の業務委託案件を請け負うパラレルキャリア実践者。プライベートでは二児の母。