【書評】フリーランスがずっと安定して稼ぎ続ける47の方法
著書プロフィール
同志社大学哲学科卒業後、3年半の会社員生活を経て、2007年にフリーランスとして独立。フリーランスになった当初は900万円もの借り入れの返済に追われ自己破産寸前になったり、うつ病になって2年ほど実家で療養しながら仕事をしていたりしたこともあったが、稼ぐための仕組みを身につけた結果、ずっと1000万円を超える年収を確保している。専門分野は、Webマーケティング。成長スピードの激しいスタートアップや、NPO法人はとくに得意。コンサルティング、広告運用、Web管理の他、自分の所用するメディアからの広告収入、セミナー講師、著者印税、イベント売上など複数軸の収入を持つポートフォリオワーカーでもある。ペンネームの山田案稜としての著書がある。
要約
・これまでの日本の働き方体制は、肉体や精神が健康で、家族関係などにも問題のない男性が有利な構造になっています。そんななか、仕事時間、仕事内容、仕事をする相手など、すべてにおいて自分で選択できるフリーランスは、少子高齢化がすすむ現代において、働き方の多様性を代表するひとつの働き方です。
・自由度の高いフリーランスは魅力的な面もありますが、同時に「収入が不安定」「先行きがわからない」「保障がない」といった不安がついてまわります。そんなときに、どのような働きをすればその不安を解消できるかが、読みやすい文章と著者の具体的な経験からくる確かな説得力で記されています。
・選ばれるフリーランスになるために、自分が何者であるかをよく考えましょう。そのためには、「職業」「ジャンル」「専門分野・得意分野」 という3つの側面から自分の仕事上の武器がなんなのかを探りましょう。
・仕事が途切れないフリーランスになるために、まずは自分のポジショニングを確認しましょう。フリーランスには大きくわけて次の3つのポジショニングがあります。「職人ポジション」「相談役ポジション」「城持ちポジション」。それぞれの特性を考え、今の自分に必要な動きやスキルなどを考えて実行しましょう。この3つのポジションにおいてのスキルをうまく掛け合わせられれば、フリーランスとして、大きな戦闘力を持つことができます。
・ストレスなく安定して稼ぎ続けるための仕事術を手に入れましょう。ストレスの主な原因は、「時間」「顧客」「収入」の3つです。漫然と不安にさいなまれるのではなく、不安を「見える化」して解消しましょう。
レビュー
フリーランスは、満員電車に乗って出勤の必要がなく、お気に入りのカフェや自宅など、好きな場所で働くことができます。働く時間も自分の裁量で自由度がきき、総合的にみて自由な働き方です。カフェで仕事をしているこのような人々を見て、これから就職する学生たちも、フリーランスに憧れを持つ人も増えているようです。また近年、働き方改革、働き方に多様性を持たせることを政府が推進していることもあり、ますますフリーランスという働き方を選ぶ人々は増えていくでしょう。
フリーランスは自由な働き方が魅力的な反面、「収入が不安定」「忙しいときと、仕事がないときがある」「保障がない」などといった、不安はつきません。自由を手に入れたのに、気づけば低価格の仕事に縛られ、会社員時代よりも仕事に拘束された不自由な毎日を送ってしまうはめになったり・・・なんとかしたいと考えても、会社員のように上司や、人事部などが身近にないために、相談できる人や場所もない・・・と余計に不安を感じる人もいることでしょう。
そのような不安を、フリーランス暦10年の著者が、みずからの経験から培ったリアルな智恵を、わかりやすく解説してくれるのがこの本です。職種を問わずに、フリーランスがすべきことや、誰にでも起こりがちな問題についての解決方法やアイディアはためになり、また実際に行動にうつしやすいものばかり。「職種問わずに共通の王道としてやるべきこと」をはじめ、「安定して稼ぎ続けるためのリアルな知恵」をわかりやすく、戦略的に解説し、どう解決していくかの具体的ノウハウが記されています。
参考になる章は、フリーランスが知りたいことのナンバーワンであろうことのトピック、「仕事が途切れないフリーランスになる方法」を、大きくわけて3つのタイプに分けて紹介しています。そのタイプとは、「職人・相談役・城持ちポジション」の3つです。
職人
スキルのレベルが非常に高く、そのスキルからおのずと営業せずとも仕事が集まってくるタイプ。例えば、有名なイラストレーターなどでしょうか。しかし、スキルが高くとも、自らの発信がなければ、そのスキルを知らせることなく、いずれ世間に埋もれていってしまいます。職人タイプは、スキルを磨きながらも、実績などをポートレートやSNSで発信していくことも大事であると著者はのべています。
相談役
お客さまの相談にのっていきながら、問題を解決していくことで、自然に仕事を得られるポジション。自分が相談役ポジションだな、と感じるフリーランスの方も多いかもしれません。そんなポジションは、相談ということで話をききつつ、どこから料金を発生させるかが難しいところです。そのところも、本書で具体的なノウハウがわかります。
城持ち
特定分野のカリスマ。ブログやサイトなどで、発信を続け、カリスマブロガーとして名を馳せ、世間に新しい考え方、生き方など、様々な情報や意見を発信しすることで大量のファンをつくり、仕事をうむポジション。このポジションに憧れる人も数多くいるかもしれませんが、城にはメンテナンスが必要なように、このポジションには手間暇がかかります。自分のことを発信していきながら、時代に乗って表現をし続ける覚悟も必要です。
上記のような3つのポジションを理解し、自分の立ち位置を確認してみましょう。3つのポジションのスキルをうまく掛け合わすことができれば、スキルも大きくなり、仕事を恒常的に得ることができると同時に、自分らしい働き方ができるフリーランスの姿が浮かびあがってくるのです。
ほかにも、営業や集金もひとりでこなさなければならないフリーランスに必要な料金交渉術についての章、そして納期についての駆け引き、忘れてはならない売上ができたときの、様々なお金に関する考え方やすべきこと、などの実践的なノウハウも必読です!
まとめ
著者山田竜也氏は、フリーランスとして、年収1000万円を超える収入を確保し続けられている方です。しかし、前職のつながりもなく独立した当初は、事業をまわすために900万円もの借り入れをし、返済に追われ自己破産寸前になったり、うつ病になってしまい、実家で寝ながら事業を回していたりしたこともあったそうです。そのため、フリーランスの酸いも甘いもかみしめてきた著者だからこそ語ることができたこの書のノウハウは、説得力があり実践的で役立つことばかりです。さらに著者は「『幸せなフリーランス』と『不幸なフリーランス』は紙一重、と記しています。その紙一重の差とは、『時間の自由』『仕事の裁量の自由』『収入の自由』をコントロールできるかどうかにある」といいます。本書を読んで、「やるべき仕事」に追われる毎日から、自分が「やりたい仕事」を追いかけ、自由を手にする毎日を手に入れましょう!
この記事を書いた人
- 中原 玲子
大学卒業後、ファッション系商社を経て、ヨーロッパ系専門商社にてセールス、ブランディングなど経験。 セールス業務では、日本でほぼ無名だった商品の販路拡大に尽力し、入社時から売上を5倍にするなど貢献。 退職後、2児の出産を経て自身のアクセサリーブランドを起業。有名セレクトショップに販路をもつ。そのほか、他企業のマーケティング業務などにも従事。パラレルキャリア形成に関心をもち、日々格闘中。