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平成30年度 厚生労働省関連の雇用に関する助成金を解説!受給しやすい助成金は?

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雇用に関する助成金制度に注目!

企業にとって事業を継続するためには、資金調達は重要課題です。

資金調達には銀行等から融資を受ける方法もありますが、国や地方公共団体、民間団体が、創業期の企業をサポートする様々な補助金や助成金制度を用意しており、そのような助成金を利用するのも手堅い方法です。

特に創業間もない企業などは資本力が乏しいことが多く、貸付ではない、返済不要な助成金制度はとても魅力的です。

厚生労働省では毎年、国の進めたい政策や方針を企業に推進するために、雇用に関する助成金制度を数多く用意しています。この4月にも、平成30年度の雇用に関する助成金制度の概要が発表されましたので、今回は厚生労働省管轄の雇用に関する助成金について解説していきたいと思います。

厚生労働省関連の助成金の種類は?

厚生労働省関連の助成金にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは一部ピックアップしてご紹介させていただきます。

特定求職者雇用開発助成金

高年齢者、障害者、母子家庭の母など就職機会の確保が難しいとされる方を継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主に対して支給がされる助成金です。

特定求職者雇用開発助成金の主なコースは以下の3種類です。

  • 特定就職困難者コース
  • 生涯現役コース
  • 障害者初回雇用コース

<助成金名:特定就職困難者コース>
(例)高年齢者(60~64歳)や母子家庭の母を雇い入れた場合には、中小企業の場合は1人あたり60万円が支給されます。

<助成金名:生涯現役コース>
(例)65歳以上の離職者を1年以上継続して雇用する労働者として雇い入れた場合には、中小企業の場合は1人あたり70万円(短時間労働者の場合は、50万円)が支給されます。

<障害者初回雇用コース>
(例)障害者雇用の経験のない中小企業が障害者を初めて雇用し、一定要件を満たした場合で一定の基準を満たす場合には1企業あたり120万円が支給されるというコースもあります。

参考:事業主の方のための雇用関係助成金 |厚生労働省

トライアル雇用助成金

職業経験、技能、知識等から安定的な就職が困難な求職者について、一定期間試行雇用した企業に助成される助成金です。

トライアル雇用助成金の主なコースは以下の2種類です。

  • 一般トライアルコース
  • 障害者トライアルコース

<一般トライアルコース>
(例)離職している期間が1年を超えている方や、学校卒業後3年以内で安定した職業に就いていない方を原則3か月間試行雇用した場合などには1人あたり月額最大4万円が最長3か月間支給されるコースがあります。

<障害者トライアルコース>
(例)障害者の方を一定期間試行雇用した場合に1人あたり月額最大4万円が最長3か月支給されるコースなどもあります。

参考:事業主の方のための雇用関係助成金 |厚生労働省

生涯現役起業支援助成金

現在1億総活躍という国の目標が掲げられていますが、まさにその方針を後押しするような助成金がこちらです。
40歳以上の方が起業をした場合に労働者の募集や採用、教育訓練に要した費用が一部助成される助成金です。特に起業をした方が60歳以上の場合、助成率2/3で上限200万円まで受給できます。

キャリアアップ助成金

こちらは助成金の中でも有名なものなので名前を知っている方も多いのではないでしょうか。キャリアアップ助成金は、有期契約労働者や短時間労働者、派遣労働者などのいわゆる非正規雇用労働者の企業内での正社員化やキャリアアップ、処遇改善の取り組みを実施した事業主に支給される助成金です。

キャリアアップ助成金の主なコースは以下の2種類です。

  • 正社員化コース
  • 賃金規定等共通化コース

<正社員化コース>
(例)有期契約労働者等を正社員に転換した場合、中小企業では1人あたり57万円が支給されます。

<賃金規定等共通化コース>
(例)同一労働同一賃金を推進するという国の施策を受け、有期契約労働者等と正社員の共通の賃金規程等を新たに規定・適用した事業主に対して、中小企業の場合1事業所あたり57万円支給されるというものもあります。

参考:事業主の方のための雇用関係助成金 |厚生労働省

両立支援等助成金

従業員の職業生活と家庭生活の両立支援や女性の活躍推進等に取り組む事業主に支給される助成金です。

両立支援等助成金の主なコースは以下の2種類です。

  • 出生時両立支援コース
  • 女性活躍加速化コース

<出生時両立支援コース>
(例)男性労働者が育児休業を取得しやすい風土作りに取り組み、かつ男性労働者に子の出生後8週間以内に開始する育児休業を取得させた事業主には1人目の男性社員の場合で中小企業の場合には57万円が支給されるものがあります。

<女性活躍加速化コース>
(例)女性活躍推進法に基づき自社の女性の活躍に関する一定の目標を盛り込んだ行動計画を策定し、目標を達成した事業主に対して、取組目標を達成した場合には中小企業の場合28.5万円支給されるというものがあります。

参考:事業主の方のための雇用関係助成金 |厚生労働省

助成金を受給できる要件とは?

助成金チェックリスト
助成金の一部をピックアップしてご紹介しましたがでは、どうしたらこれらの助成金を受給できるのかについて説明していきます。

これらの厚生労働省関連の雇用関係助成金の受給には、それぞれの助成金ごとの要件のほか、共通して満たさなければならない要件があります。
雇用関係助成金を受給する事業主は共通して次の1~3の要件のすべてを満たすことが必要です。
特段難しい要件はありませんので以下を参考に進めていきましょう。

(受給できる事業主)
1. 雇用保険適用事業所の事業主であること
2. 支給のための審査に協力すること
(1)支給又は不支給の決定のための審査に必要な書類等を整備・保管していること
※都道府県労働局に提出した支給申請書、添付書類の写し等は支給決定されたときから5年間保存していなければなりません。
(2)支給又は不支給の決定のための審査に必要な書類等の提出を、管轄労働局等から求められた場合に応じること
(3)管轄労働局等の実地調査を受け入れること など
3. 申請期間内に申請を行うこと

また、以下に該当する事業主は助成金を受給することができません。
これらも公正に事業を行ってきている企業であれば特段問題ないことがほとんどですが、助成金によっては条件9で記載のとおり事業主都合で解雇している場合には受給できないものがあります。
助成金の受給を考えている企業については、事業主都合の解雇はできる限り避けておく必要があります。

(受給できない事業主)
1. 不正受給をしてから3年以内に支給申請をした事業主または、支給申請日後、支給決定日までの間に不正受給をした事業主
2. 支給申請日の属する年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納入していない事業主(支給申請日の翌日から起算して2か月以内に納付を行った事業主を除く)
3. 支給申請日の前日から起算して1年前の日から支給申請日の前日までの間に、労働関係法令の違反があった事業主
4. 性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業またはこれらの営業の一部を受託する営業を行う事業主
5. 暴力団関係事業主
6. 破壊活動防止法第4条に規定する暴力主義的破壊活動を行った又は行う恐れのある団体に属している場合
7. 支給申請日又は支給決定日の時点で倒産している事業主
8. 不正受給が発覚した際に都道府県労働局等が実施する事業主名等の公表について、あらかじめ同意していない事業主
9. <助成金ごとに異なる>従業員の雇い入れ等によって賃金の補助を受ける助成金で、対象労働者の雇い入れの前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日(※助成金によって期間は異なる)までの間に、当該雇い入れに係る事業所にて雇用する雇用保険被保険者を事業主都合で解雇をしている

オススメの助成金は?

ご紹介してきた助成金の中でも、「キャリアアップ助成金 正社員化コース」は、比較的受給要件が厳しくなく、受給額も大きいためオススメです。

また、特に創業間もない企業にとっても、創業時に契約社員等やアルバイトで採用した方を正社員に転換するというシチュエーションは少なくないため、スタートアップ企業、ベンチャー企業にも人気の高い助成金です。

更に、この「キャリアアップ助成金」は国から支給されるものですが、実は東京都の事業者限定で、このキャリアアップ助成金の受給が決定された後にさらに東京都からも、一定の要件を満たした場合にキャリアアップ助成金に対象労働者1人につき20万円が加算される「東京都正規雇用安定化支援助成金」というものがあります。

あまり知られていないのですが、こちらの東京都正規雇用安定化支援助成金も、受給要件が比較的厳しくないことに加え、キャリアアップ助成金と合わせて受給した場合、中小企業なら1人あたり77万円が受給できるためかなりコストパフォーマンスが高い助成金です。

厚生労働省関連の助成金を賢く利用しよう!

いかがでしたでしょうか。

厚生労働省関連の助成金にはいろいろな種類があることがお分かりいただけたかと思います。

助成金については、積極的に情報を収集しなければ見逃してしまうようなものも多くあります。
また、申請書類の準備や申請期限などが厳格に設定されており不備があると受給できなくなってしまうこともあります。

ご紹介したキャリアアップ助成金も、東京都正規雇用安定化支援助成金も事前の制度設計、申請書類の作成、また申請期限などが決められていますので、実際の申請には専門家の助けを借りながら申請することが近道であると考えます。

最後に、助成金の不正受給は厳しく処罰されます。不正受給が発覚した場合には受給額の返還に加え、事業主の名称、代表者氏名等が公表される場合がありますので、自社の受給要件に合う助成金を正しい形で選択し、適正な申請を行いましょう。

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初回ご相談は無料ですので是非弊社HPお問い合わせフォームよりご相談ください。
寺島戦略社会保険労務士事務所HP https://www.terashima-sr.com/

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この記事を書いた人

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寺島 有紀

寺島戦略社会保険労務士事務所 所長 社会保険労務士。
一橋大学商学部 卒業。
新卒で楽天株式会社に入社後、社内規程策定、国内・海外子会社等へのローカライズ・適用などの内部統制業務や社内コンプライアンス教育等に従事。在職中に社会保険労務士国家試験に合格後、社会保険労務士事務所に勤務し、ベンチャー・中小企業から一部上場企業まで国内労働法改正対応や海外進出企業の労務アドバイザリー等に従事。
現在は、社会保険労務士としてベンチャー企業のIPO労務コンプライアンス対応から企業の海外進出労務体制構築等、国内・海外両面から幅広く人事労務コンサルティングを行っている。
2020年9月15日、「IPOをめざす起業のしかた・経営のポイント いちばん最初に読む本」(アニモ出版)が発売。 2020年7月3日に「Q&Aでわかる テレワークの労務・法務・情報セキュリティ」発売。第1章労務パートを執筆。 2019年4月に、「これだけは知っておきたい! スタートアップ・ベンチャー企業の労務管理――初めての従業員雇用からIPO準備期の労務コンプライアンスまで この一冊でやさしく理解できる!」を上梓。

寺島戦略社会保険労務士事務所HP: https://www.terashima-sr.com/

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