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ISO30414とは?人事注目の国際標準ガイドラインで公開すべき項目を社労士がわかりやすく解説!

国際標準ガイドラインISO30414と人的資本の情報開示の流れとは?

昨今Environment(環境)・Social(社会)・Governance(企業統治)に配慮している企業を重視・選別して行なわれる投資である「ESG投資」が話題です。

また、SDGs(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))も多くのメディアで取り上げられ「より環境・社会に配慮した経営」を行う重要性が認識されています。SDGsは2015年9月に国連サミットで採択され、現在大企業やグローバル企業を中心に経営戦略上の軸として目指すべきターゲットとしても活用されているので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

米国証券取引委員会(SEC)は、上場企業に対して「人的資本の情報開示をヒューマンキャピタルレポートの策定として義務づける」と2020年8月に発表しています。投資家の合理的な意思決定が行われるようにする措置として、大きな話題となりました。

このように昨今人的資本の情報開示を求める動きが、欧米の投資家を中心に加速しています。

日本においても、ESGやSDGsの枠組みは、企業内部の人材管理や労務コンプライアンス面にも反映されています。企業での不当なハラスメントや過重労働の防止、ダイバーシティ―への配慮など「企業で働く従業員が生き生きと働ける労働環境づくりや、健康経営の実現」にも取り入れられ、生かされ始めています。

こうした世界的な潮流の中で、国際標準化推進機構(ISO)が社内外への人事・組織に関する情報開示のガイドラインを創設したことをご存じでしょうか。それが、2018年12月に創設された初の国際標準ガイドライン「ISO 30414」です。

今回は、このISO30414について社会保険労務士の目線から解説します!

ISO30414とは何か?―社内外への人事・組織に関する情報開示のガイドライン


ISOといえば、日本企業でも「ISO9001(品質マネジメントシステム)」や「ISO14001(環境マネジメントシステム)」を取得している企業は多く、聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

ISOとは、非政府機関であるInternational Organization for Standardization(国際標準化機構)の略称で、本部はスイスのジュネーブにあります。

ISOの主な活動は、様々なカテゴリの国際標準規格を制定することです。例えばカードの大きさやカメラのフィルム感度など、製品に規格が設けられる事もあれば、組織の活動を管理する仕組み(マネジメントシステム)にもISOが制定されています。

「ISO 30414」は、この国際標準規格の一つであり、「社内外への人事・組織に関する情報開示のガイドライン」として2018年12月に新設されました。

企業の人事や労務という分野は、これまで各国の労働法規制の内容や労使慣行の違いが大きく、国際的に標準化された運用ルールがありませんでした。

しかし、いわゆる経営資源の3要素と言われるヒト・モノ・カネの「モノとカネ」については企業の財務諸表でかなり細かく示されています。ヒトに関する企業の取り組みや数値も公表すべきという金融市場からの声の高まりを受け、整備されました。

海外ではすでにISO30414が浸透しており、日本国内でも大企業を中心にこれに対応する動きが始まっています。

では、ISO30414で示されている社内外に公開すべき項目とは何でしょうか。

具体的には下記のような11領域(さらに細分化された49項目)が示されています。

1. コンプライアンスと倫理
2. コスト
3. ダイバーシティ
4. リーダーシップ
5. 組織文化
6. 組織の健康、安全、福祉
7. 生産性
8. 採用、異動、離職
9. スキルと能力
10. 後継者育成
11.労働力確保

なお、企業はこれらの全ての項目について公開することが求められているわけではなく、自社が属する業種・業界・企業規模等を鑑み、判断することができます。

これらの項目は、客観的なデータを伴って説明することが求められています。ISO30414に対応するためには、今後はHRTech等を利用したデータに基づく人的管理が不可欠になってくると考えられます。

日本のISO30414各項目への取り組みと柔軟な働き方との関係は?


日本の政府や法制においても、人事に関する取り組み数値の公表を企業に求める流れは高まっています。

例えば、金融庁は2021年6月、コーポレートガバナンス・コードの改訂を行いました。
主なポイントとしては、以下の3点が挙げられています。

1.取締役会の機能発揮
2.企業の中核人材における多様性の確保
3.サステナビリティを巡る課題への取り組み
金融庁HPより

このメディアの読者の皆様は「柔軟な働き方」や「社員以外のメンバーの活用」など、新しい人材活用の取り組みにご関心をお持ちの方も多いと思います。そこでご紹介するのが「2. 企業の中核人材における多様性の確保」です。

ここでは「上場企業は、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等、中核人材の登用等における多様性の確保についての考え方と自主的かつ測定可能な目標を示すとともに、その状況を開示」するよう求めています。
「コーポレートガバナンス・コード」より

多様性の確保に向けた人材育成方針・社内環境整備方針をその実施状況とあわせて公表すべきとも記載されており、いわゆるダイバーシティについての人的資本の開示についても言及されています。

厚生労働省では、2021年4月より、常時雇用する労働者が301人以上の企業は「直近の3事業年度2の各年度について、採用した正規雇用労働者の中途採用比率」を、求職者が容易に閲覧できるかたちで公表することを義務化しています。

なお「直近の3事業年度」とは、事業年度における正規雇用労働者の採用活動が終了し、正規雇用による中途採用者の状況を「見える化」することができる状態となった最新の事業年度を含めた3事業年度のことです。

参考:厚生労働省HP

現在、ダイバーシティ確保を経営目標として掲げられている企業が多くなっています。今後は、より多様な人材が働きやすい柔軟な働き方の整備や人事制度に向けて自社がどう取り組んでいるのかを社外に公表していくことが求められる機会も増えると考えられます。

同時に人的資本や人材管理についての取り組みとして、先ほどご紹介したようにHRテクノロジーを活用しながら客観的データで見える化していくことが強く求められてくるものと推測されます。

ISO30414の各項目をチェックして、多様な働き方に対応した人事管理の在り方を考えよう


いかがでしたでしょうか。
解説してきたとおり、今後、企業は経営戦略と同様、人材に関する戦略の在り方についても見直しが迫られているといえます。

より多様な人材が働くことができる、労働時間制度や人事制度の改定も求められてくるでしょう。

新型コロナウイルス感染症への対応に伴い、社会全体がニューノーマルを模索している今、変化に対してスピード感をもって対応していく企業と、従来のやり方に固執する企業とはますます差がついていくものと考えられます。

企業で働く従業員の働き方についてもまさにニューノーマルの模索が続いており、企業においてはこうした人事管理の在り方について今一度見直す時期に来ているのかもしれません。

この記事を書いた人

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寺島 有紀

寺島戦略社会保険労務士事務所 所長 社会保険労務士。
一橋大学商学部 卒業。
新卒で楽天株式会社に入社後、社内規程策定、国内・海外子会社等へのローカライズ・適用などの内部統制業務や社内コンプライアンス教育等に従事。在職中に社会保険労務士国家試験に合格後、社会保険労務士事務所に勤務し、ベンチャー・中小企業から一部上場企業まで国内労働法改正対応や海外進出企業の労務アドバイザリー等に従事。
現在は、社会保険労務士としてベンチャー企業のIPO労務コンプライアンス対応から企業の海外進出労務体制構築等、国内・海外両面から幅広く人事労務コンサルティングを行っている。
2019年4月に、「これだけは知っておきたい! スタートアップ・ベンチャー企業の労務管理――初めての従業員雇用からIPO準備期の労務コンプライアンスまで この一冊でやさしく理解できる!」を上梓。

寺島戦略社会保険労務士事務所HP: https://www.terashima-sr.com/
2020年9月15日、「IPOをめざす起業のしかた・経営のポイント いちばん最初に読む本」(アニモ出版)が発売されました。
その他: 2020年7月3日に「Q&Aでわかる テレワークの労務・法務・情報セキュリティ」が発売されました。代表寺島は第1章労務パートを執筆しています。