新型コロナウイルス関連の助成金を社労士がまとめて解説!
2020/5/15
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目次
新型コロナウイルスの感染拡大で受給できる助成金とは?
新型コロナウイルスの感染拡大は依然として続いており、いまだ先行き不透明な状況が続いています。
日本を訪れる外国人観光客の数が減り、観光地ではホテルの大量キャンセルが発生し、廃業を余儀なくされた企業も出てきています。
日本経済全体が、先行き不透明感による自粛ムードなどで不安定となっており、不景気の影響は観光業にとどまらない状況になっています。
新型コロナウイルスによって、売り上げ低下に悩んでいる・・・という企業も多くなっているのではないでしょうか。
今回は新型コロナウイルス関連で企業が受給できる助成金情報をピックアップしてお伝えします。
コロナウイルス関連助成金①:雇用調整助成金
雇用調整助成金は新型コロナウイルス発生の前から存在している助成金であり、景気の変動等に伴う経済上の理由で事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的に休業や教育訓練、出向を行い労働者の雇用維持を図った場合に休業手当、賃金等の一部が助成されるという助成金です。
通常会社都合により会社を休業する場合、従業員にとっては働く機会が奪われてしまうわけですので、労働基準法上平均賃金(ざっくり言えば給与月額)の60%を支払う必要があります。(これを休業手当といいます。)
この雇用調整助成金はこうした休業時に会社が支払った休業手当の一定割合を助成してくれるものです。
具体的には、休業を実施した場合の休業手当(教育訓練を実施した場合は賃金相当額、出向を行った場合は出向元事業主の負担額)相当の2/3(大企業は1/2)が助成されるもので
対象労働者1人1日当たり8,330円が上限(令和2年3月現在)として支給されます。
一方、通常雇用調整助成金については受給の前提条件として通常下記の要件があります。
1. 売上高または生産量などの事業活動を示す指標の最近3か月間の月平均値が前年同期に比べ10%以上減少していること
2. 雇用保険被保険者数および受け入れている派遣労働者の最近3か月間の月平均値が、前年同期と比べ、大企業の場合は5%を超えてかつ6人以上、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上増加していないこと
今回この要件が新型コロナウイルスが原因の場合については、大幅に緩和され、
1は、最近3か月が1か月に短縮されることになりました。つまり前年の同月比で売り上げが10%低下していればOKということになっています。
また、2の要件は新型コロナウイルス関連ではそもそも要件が撤廃されています。
さらに、助成の対象となる労働者もこれまでは「雇用された期間が6か月未満の労働者は対象外」であったところ、その要件も撤廃され雇い入れから6か月未満の方も対象となっています。
飲食店等でそもそも店舗の営業日を減らすため従業員を休ませるといった場合や、製造業などで、部品納期が間に合わず工場自体を閉鎖する場合で従業員を休ませる場合などにマッチした助成金です。
※なお雇用調整助成金にはその他にも細かい要件がありますので、詳細は厚生労働省HPをご覧ください。
コロナウイルス関連助成金②:小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援に関する助成金
これは、メディアでもかなり報道されているものですので目にしている方も多いと思いますし、お子さんを育てながら働いている方からは特に関心が高いところだと思います。
この支援策は、新型コロナウイルス感染症に関する対応で小学校等が臨時休業した場合など、子どもの保護者が会社を休まざるを得ない場合に、会社が正規・非正規雇用問わず、労働基準法上の年次有給休暇とは別に、有給の休暇を取得させた企業に対する助成金です。
主な内容は下記の通りとなります。
◆支給額:休暇中に支払った賃金相当額 × 100%(大企業・中小企業共通)
※8,330円を日額上限とする。◆対象となる休暇:
令和2年2月27日 ~ 令和2年3月31日の間に取得された休暇◆申請期間
令和2年3月18日 ~ 令和2年6月30日まで
なお、これは当初は労基法上の年次有給休暇を取得していたものを、事後的に特別休暇にした場合でも対象となることが支給要綱に明記されていますので、従業員の方から人事・労務担当者に「この助成金を利用して特別休暇として処理できないか」ということのご相談があるかもしれません。
本助成金は就業規則などに特別休暇の記載などがなくても助成金の対象となることも明記されていますし、支給申請の用紙や添付資料等をみても、他の助成金に比べシンプルで申請がしやすい方式となっています。
従業員の方からご相談があった場合、積極的にこうした助成金を活用していくと、働く方にとっても喜ばれるでしょう。
なお、こちらは企業を通して申請するものですので、従業員個人の方が申請することはできませんのでご注意ください。
コロナウイルス関連助成金③:事業継続緊急対策(テレワーク)助成金
この助成金は新型コロナウイルス感染拡大に伴い東京都から発表された助成金で、「新型コロナウイルス感染症等の拡大防止および緊急時における企業の事業継続対策として、テレワークを導入」する都内の中堅・中小企業等に対して、その導入に必要なPCやソフトウェア等の経費が上限250万円まで助成されます。
3月6日から5月12日までに申請し、支給決定以後6月30日までの取り組みでないと助成されないため、申請・支給決定前に今すぐにモバイルPCを購入したとしても対象になりませんが、従業員のリモート推進のためPCを拡充などを予定していた企業についてはこれをきっかけに拡充するのも一案かもしれません。
詳細は下記のとおりです。
なお本助成金は発表直後からかなり申請が込み合っているそうですので考えている企業はお早めに申請することをお勧めします。
◆対象事業主
1. 常時雇用する労働者が2名以上999名以下で、都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業等
2. 都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」(外部サイトへリンク)に参加していること◆助成対象経費※助成事業の支給決定通知日から6月30日までに完了する取り組みが対象
1. 機器等の購入費(例:パソコン、タブレット、VPNルーター)
2. 機器の設置・設定費 (例:VPNルーター等機器の設置・設定作業費)
3. 保守委託等の業務委託料(例:機器の保守費用)
4. 導入機器等の導入時運用サポート費 (例:導入機器等の操作説明マニュアル作成費)
5. 機器のリース料(例:パソコン等リース料金)
6. クラウドサービス等ツール利用料(例:コミュニケーションツール使用料)◆助成率
100%(上限額250万円)◆申請の受付期間
3月6日から5月12日まで。
※申請書類は郵送で提出詳細は下記から:
https://www.shigotozaidan.or.jp/koyo-kankyo/joseikin/kinkyutaisaku.html
【寺島戦略社会保険労務士事務所 書籍紹介】
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この記事を書いた人
- 寺島 有紀
寺島戦略社会保険労務士事務所 所長 社会保険労務士。
一橋大学商学部 卒業。
新卒で楽天株式会社に入社後、社内規程策定、国内・海外子会社等へのローカライズ・適用などの内部統制業務や社内コンプライアンス教育等に従事。在職中に社会保険労務士国家試験に合格後、社会保険労務士事務所に勤務し、ベンチャー・中小企業から一部上場企業まで国内労働法改正対応や海外進出企業の労務アドバイザリー等に従事。
現在は、社会保険労務士としてベンチャー企業のIPO労務コンプライアンス対応から企業の海外進出労務体制構築等、国内・海外両面から幅広く人事労務コンサルティングを行っている。
2019年4月に、「これだけは知っておきたい! スタートアップ・ベンチャー企業の労務管理――初めての従業員雇用からIPO準備期の労務コンプライアンスまで この一冊でやさしく理解できる!」を上梓。
寺島戦略社会保険労務士事務所HP: https://www.terashima-sr.com/
2020年9月15日、「IPOをめざす起業のしかた・経営のポイント いちばん最初に読む本」(アニモ出版)が発売されました。
その他: 2020年7月3日に「Q&Aでわかる テレワークの労務・法務・情報セキュリティ」が発売されました。代表寺島は第1章労務パートを執筆しています。