土屋鞄の元役員がはじめて語る土屋鞄の売上、利益が急成長した本当の理由

赤字・借金状態から1.5年で脱却!キャリーミーが創業2年で黒字化し、粗利益10倍にできた理由

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キャリーミーは、2015年に、「週2,3回出社して稼働できるプロの個人と、人手不足の企業をマッチングさせ、日本の【埋没労働力】を解消しよう」というコンセプトで稼働を始めた。

キャリーミーというWebサイトをローンチしたのは2016年6月。そこから、1年5か月後の2017年11月には単月で黒字化し、2018年の決算(8月決算)では通期でも黒字化することができた。

ゼロから、ではなく、マイナスからのスタート(以下説明の通り負債を負った状況)であり、準備も2週間程度で済ませた超即席ローンチだったので、これから起業する方やまだ赤字の起業家には参考になるのでは、と考え、今回の記事を執筆することとした。

なぜ、1.5年で赤字から脱却し月間黒字にでき、創業2年で通期でも黒字にできたのか

キャリーミーの売上は2017年から2018年にかけて7倍、粗利益では10倍となっている。売上も利益も数値としては現段階では公表できるほどの立派な数字ではないが、急成長していることは実感している。

2018年9月現在、プロの個人の登録者数は3000人(広告ゼロで200人増/月ペース)、取引先企業数(求人ベース)は450社となった。
月次利益と案件数の推移

現段階ではまだまだ、であるが、立ち上げ当時2016年の状況※から考えると、スタートとしては上出来だと考えている。

※2015年時点までは、異なる事業をローンチしており、創業者大澤が個人として約1600万円近く貸し出し(キャリーミーとしては借金)返済の目途が立っていない、など大変な状況だった。

なぜ、1.5年で赤字から脱却し月間黒字にでき、創業2年で通期でも黒字にできたのか。これから独立する個人のために、また、自分自身の振り返りも含め、「なぜ」と「どうやって」

という観点から、以下6つのポイントに分けて説明してみる。

ポイント① 準備(ニーズと競合他社、ホワイトスペースの確認)

通常であれば、起業や新規事業には6か月程度の準備をお勧めするが、とにかく早く黒字化しなければならない緊急の事態だったため、以下の2点、「ニーズの確認」、「競合他社の確認」だけを実施した。

(ア)ニーズの確認

 1.「文系でスキルがある個人の週1回から4回で働き、正当な対価を得たい」(が、ツテなどなくできない)という強いニーズ、課題の確認

アンケートなどではなく、フリーランスや子育て中の女性、起業準備中の個人などに実際のヒアリングを行い、「週数回、業務委託で働きたい」という強いニーズと課題を確認できた。

背景としては、クラウドソーシングの低い単価では仕事したくない、派遣社員では高い成果を求められずやりがいを感じない、かつキャリアが構築できないから避けたい、という課題があった。

 2.「優秀な人材を採用したい(が、採用できない)」というニーズ、課題の確認
一方、企業側からは、2015年当時でも、「優秀な人材は採用できない」という課題の兆候は十分にあった。 

では、「週2,3回、業務委託で、正社員の代替となり得るか」となると、スタートアップや成長企業では、「成果を出してくれるのであれば、週2でも3回でも良い。むしろ成果に貢献できない週5フルタイムの正社員は要らない」と考える傾向が確認できた。

(イ)競合、ポジショニング、ホワイトスペースの確認(ブルーオーシャンの発見)

「非エンジニア領域」である、広報PR、法人営業、Webマーケティング、人事、経理といった事業側の領域では、競合はゼロだった。競合のリサーチも2週間程度で実施した。

「個人事業主と企業のマッチング事業」という定義での競合は、当時は
  ・「(シニアを紹介する)顧問紹介」と
  ・「エンジニアのフリーランス紹介」、
  ・「クラウドソーシング」
の3タイプがそれぞれ急成長していたが、

「非エンジニア領域、コンサルではなく実務を出社して実行できる30代中心の若手個人事業主と企業のマッチング事業」という領域では競合はゼロだった。つまり、完全なブルーオーシャンだった。

直接の競合はなかったが、「将来の競合」について以下の3点を考えた。

①今後、競合の同市場への参入はあるか
当然、競合は出現するだろうが、大手、特に人材系の大手企業が参入してくる可能性は極めて低い、との判断だった。

理由は、通常の人材系の大手企業が実行するには一見、割に合わない(細かい業務が多い割に、収入源も細かく、一般の人材紹介や採用媒体での広告収入の方が大きい)からだ。参入があるとすれば、新規のスタートアップや中小企業からの参入であろう。

②参入障壁はあるか、なければ構築できるか
参入障壁はない、構築することもほぼ不可能、との判断だった。また、早く開始して先行優位性が効く、というビジネスでもない。

③では、どう戦い、(将来の競合に対して)どう勝っていくか
以下にあるとおり、「KSF」と「自社の得意な領域」を中心に考えた。
助っ人プロ図

ポイント② KSFを考え、僅かなリソースをまずは1点に集中

当時は特に、リソース(資金と人手)が本当になかった。繰り返しになるが、なんせ、1600万円以上の負債を抱えている状況である・・・とはいえ、事業を立ち上げるのに、なんらかのリソースは割かなければならない。

サイト立ち上げ(システム構築)、個人事業主の集客、法人営業、ブランディング、広報活動などやりたいことは無数にあった。

リソースを分散させては絶対に事業はうまく立ち上がらない。

重要な点(KSF)を見極め、自社の得意な領域をかけあわせる、得意でない領域は他から調達する、というプロセスが極めて重要だ。

検討した結果、初期、特に最重視したのが、「優秀なプロの個人を集め、多くのプロに登録してもらうにはどうすべきか」という課題解決であり、そこにリソースを集中した。

具体的には、数ある施策案から、「優秀なプロの個人で、ツテを探している個人は、絶対にググるはず」とSEOを強化することに特化した。

Webマーケティングについてはそれまでの経験(初回の起業やDI、土屋鞄など)から、上流部分での知見はあり、「この分野に集中すれば勝てる」という感覚はあった。

それが、SEOだ。

といっても、大澤個人にSEOのノウハウがあるわけではなく、また外注する予算も、正社員を採用する予算もなく、SEOのプロでありサイト設計のプロ(ディレクター)を1名、プロ人材として採用した。

話は脱線するが、その個人の方も、4人の子育て中のキャリア志向の女性で、chatwork等でやりとりは日々しているが、ほとんどリモート作業で、実際に会うのは打ち合わせベースで月数回程度。何よりスキルのある個人の働き方を柔軟にできるキャリーミーの事業にコミットしたいという想いがあったので、当時、少額の報酬でも引き受けてくださった。(現在はキャリーミーのCMOとして活躍中)

その後、SEOだけでなく、キャリーミーに登録している優秀なオウンドメディアの編集長、ツイッターのプロなどWebマーケティング分野は次々とプロ人材を採用し、結果、広告費ゼロで月200人/月増につなげている。
CARRY ME登録者推移

また、これは嬉しい誤算だったが、登録者など多数が好意でキャリーミーのことをブログで好意的な記事を書いてくれた。おそらく数十人にのぼると思う。特に、以下の方のブログからは今でも毎月登録者がおり、大感謝、である。

▼【週1日OK】パラレルキャリアと相性抜群の転職サイト「carry me」に未来しか感じない件。
https://travelife100.com/entry/2017/03/16/160933

なぜこうした記事を書いてくれたかというと、おそらく、他社がやっていないニッチとも言える小さい市場に絞ったから、である。(以下4番目のポイントに記載)

ポイント③ 固定費を抑える

当たり前のことだが、売上があがり、費用が抑えられれば利益はあがる。しかし、キャリーミーの事業の特徴として「どうしても手間、つまり人件費がかかる」という課題があった。

対処策として、法人営業、Webマーケティング、個人面談など、個々の業務に対し、自社に登録している「ある分野のスキルを持つプロ人材」(弊社では助っ人プロと呼んでいる)に業務委託契約で依頼してきた。

こうすることで、自分ではできない(時間的にも、スキル的にも)分野をプロに依頼し、かつ、固定費ではなく変動費化することでコストを抑えた。

結果、2018年9月現在は正社員1名採用したがそれまで正社員ゼロ、残り約15名は全員業務委託で、十分体制として成り立ち、それぞれがモチベーション高く、KPI(弊社の場合は成約数)に向けて活動できている。

ポイント④ ニッチな市場に専念、市場を「狭く」刈り取ることに集中

巨大な「人材関連市場」の中でも、「業務委託で週数回稼働できる個人事業主」に特化した。さらに、その中でも、最も当時他社が稼いでいた「顧問」「エンジニア」市場を避け、「30代中心の非エンジニア市場」に特化。さらに、その中でも、初期は、「広報・PR」に絞って活動していた。

広報PRに絞った理由は、

・中小企業やベンチャー企業には広報PRは必要だが、正社員で1人採用するほどの業務量がなく、かつ、外注するにはコストが高すぎる、という意味でフリーランスが稼働するにはちょうど良い塩梅だったから、であり、

・優秀な広報PRのプロ・フリーランスは多く存在していることは確認しており、彼らは稼働できる先を探していた(が見つからない)

という領域だったからである。

領域が絞られていたので、対法人も、個人もマッチングさせやすかったという利点があった。

ポイント⑤ タイミング(時の運)

社会の大きい流れとして、「個人の働き方が変わるタイミング」と「企業が採用に苦戦し始めたタイミング」という2つが重なるタイミングだった。

個人側は、「人生100年時代の働き方として、稼ぐ力をみにつける必要性」に個人が気付き始めたタイミングであったし、企業側は、いよいよ本格的に「20代、30代の労働確保ができない」と痛感するタイミングだった。全て計算済か、といわれれば、このあたりは仮説レベルに過ぎなかったので、「時の運」があった、ともいえる。

ポイント⑥ 自身・自社の「得意な進め方」で事業を構築、不足している部分はプロ人材への依頼で賄うことができた

基本的に、自分がすべきこと、得意なことに集中して事業を進めるべきで、できないこと・不得意なことは他のプロに任せるべきだ、と考えている。

そして、このようなプロ人材が欲しいと思ったときは、正社員ではなく、業務委託という形で柔軟な働き方を用意することも重要である。そうすることで、弊社のようなベンチャー企業やスタートアップ企業であっても、正社員では採用できないようなハイレベルな人材を短期間で社内に迎え入れることができるからだ。

私個人のことで手前みそで恐縮だが、「自分の得意なこと」の1つに、「人を巻き込んで、新しい事業を進めていく」ことがあった。これは2つの分野で大きく活きた。

取引先の開拓

1つは、取引先の開拓である。
基本的に人との出会いをきっかけに、いろんな「縁」、特に経営者を中心とした縁を構築することができている。もちろん、「サービスに対しての強いニーズ」があってこその結果だが、取引先も急増し、2年間で450社(業務委託の求人獲得ベース)となっている。

業務委託のプロのマネジメント

もう1つは、業務委託のプロのマネジメントに活きた。
業務委託契約のプロは、自律心が強く、その分スキルも高い。だから、完全に任せて、ほぼ在宅で仕事を依頼しているが、そのマネジメント法には活きていると思う。

一方、自分が不得意な分野(不得意なことが殆ど)は、上記のとおり、全て正社員と外注の間ともいえる、「個人事業主への業務委託という形で賄えた」ことが大きい。

上記以外にももちろん、ビジネスモデル・収益源などで多少工夫したことはあったり、キャリーミーは前事業のピボットで構築した形なので、その気づきなどもあったが、大きくは上記の6点が特に事業構築、早期黒字化には有効だった。

次回は、今回にもまとめきれなかった、「起業(5度以上の事業立ち上げ、2度売却)、ドリームインキュベータ、土屋鞄役員などでの経験から学んだ新規事業の創り方」こちらを記事にしたいと思う。

もし経営者や事業企画、経営企画、もしくは人事の方がこちらをご覧頂き、「固定費を抑え、変動費化させて利益を最大化させる」ことに共感され、出社もできる業務委託で稼働可能なプロを採用したいと感じたら、以下よりご相談頂きたい。
私はまだ法人担当を続けているので、場合によっては私がお伺いさせて頂き、他社活用事例などもお話できるかもしれない。

キャリーミーはマーケティング・広報領域を中心にプロ人材を紹介しています!

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この記事を書いた人

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大澤 亮

新卒で三菱商事(株)に入社後タンザニア駐在を経て退職し、慶應義塾大学経営管理研究科修士課程入学。

在学中に、日本初の証券会社比較サイトを創業し米国企業に売却、EC事業を設立し(株)サイバーエージェントに売却。卒業後は(株)ドリームインキュベータにて経営コンサルティングと投資業務を担当する。

その後、(株)土屋鞄製造所に移り取締役兼COOとして2年半で売上・利益を2倍とすることに貢献。同社退職後2009年に(株)Piece to Peaceを創業し、代表取締役に就任する。

2016年からマーケティング分野を中心としたビジネス界のプロ契約サービス「キャリーミー」を創業。2023年現在、パーソルホールディングス(株)・本田圭佑氏等から投資を受け、日本企業へのプロ契約の普及に努めている。
著書 「世界をよくする仕事で稼ぐ」 (プレジデント社より出版)

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