NPOマーケティングとは?戦略から成功のコツ、実際の事例まで紹介
2024/2/8
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そこで、この記事では、NPOマーケティングの基本から成功のコツまで、包括的に解説していきます。
段階的に理解できるように構成されているため、NPOマーケティング初心者の方でも心配いりません。
NPO法人のマーケティング担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください!
目次
NPOとは
NPO(非営利組織)は、「Non-Profit Organization」の略称で、利益を目的としない団体や組織を指します。
これらの組織は、社会的な目的や公共の利益を追求するために設立されます。
NPOの主な特徴は以下の通りです。
■ 非営利性:
NPOは利益を追求しません。
得た収益は、組織の運営費や目的に合ったプロジェクトに再投資されます。
■ 公共性:
多くのNPOは、教育、健康、社会福祉、環境保護、人道支援など、公共の福祉に貢献する活動を行います。
■ 独立性
政府機関ではないため、政治的な影響を受けにくいという特徴があります。
ただし、政府や民間からの資金援助を受けることもあります。
■ ボランティア活動:
NPOは、ボランティアや地域社会の参加によって支えられることが多いです。
専門的なスタッフを雇用することもありますが、多くはボランティアベースで運営されます。
このようにNPOは、社会的な課題に対処し、地域コミュニティの強化や、より良い社会を築くための重要な役割を果たしています。
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NGOとの違いは?
NPO(非営利組織)とNGO(非政府組織)はよく混同されることがありますが、一般的には以下のような違いが挙げられます。
目的と範囲
活動の範囲
資金調達
ただし、これらの違いは一般的なものであり、特定の組織によってはこれらの特徴が重複することもあります。また、NPOとNGOの共通点と違いについて、外務省はこのように述べています。
「どちらも市民が主体となり、営利を目的とせずに、課題を解決したり、よりよい社会をつくる活動を行う団体のことを指します。日本では、海外の課題に取り組む活動を行う団体をNGO、国内の課題に対して活動する団体をNPOと呼ぶ傾向にあるようです。」
NPOマーケティングの対象は2種類
NPOマーケティングにおける対象は、「受益者」「支援者」の2種類に分類されます。
企業が取り組むマーケティングでは、「消費者」や「顧客」をターゲットに置きますが、企業マーケティングの構図はNPOに必ずしも当てはまりません。
提供する価値やサービスを獲得する「受益者」、資金援助などNPOの活動を支える「支援者」に対するマーケティングがNPOの活動においては非常に重要です。
それぞれの目的や活動の違いについて解説していきます。
受益者向けマーケティング
受益者向けマーケティングの「受益者」とは、NPOのサービスや支援を必要とする個人やコミュニティのことです。
受益者向けマーケティングでは、受益者に対し、組織の提供する価値やサービスを知らせ、関与させることを目指します。
NPOの受益者向けマーケティングは、サービスを単に宣伝する以上のものです。
受益者向けマーケティングのゴールは、受益者のニーズを深く理解し、これらのニーズに合致するサービスを提供することです。
受益者の理解を深めるためには、市場調査やコミュニティとの対話が不可欠であり、組織が提供するサービスが実際にコミュニティのニーズに応えているかを確認することが重要となります。
また、受益者の言語、文化、価値観を考慮した効果的なコミュニケーション戦略を通じて、受益者に組織の使命、サービス、プログラムを明確に伝える必要があります。
加えて、サービスのアクセス性を高めることも必要です。
具体的には物理的なアクセスの容易さ、情報の理解しやすさ、プログラムの利用しやすさが含まれます。
これにより、NPOはその使命を果たし、より大きな社会的影響を生み出すことが可能です。
受益者向けマーケティングは不要な場合もある
補足として、NPOの中には、受益者向けマーケティングが必要でない、あるいは適切でない場合もあります。
例えば、児童養護施設のような組織では、受益者は児童になりますが、児童に直接マーケティング活動を行うことは適切ではないかもしれません。
児童はサービスの受益者であるものの、実際にサービスを利用するかの判断は児童ではなく、保護者などが行うためです。
こうした事例では、受益者自身よりも彼らの保護者、ケア提供者、または関連する政策立案者に焦点を当てたマーケティングのアプローチが求められます。
受益者に向けたマーケティングに取り組む場合は、受益者がサービスを得るまでの過程、その中で関与する人物を明確にし、マーケティングのターゲットを正確に見極めることが大切です。
支援者向けマーケティング
NPOマーケティングにおいて、支援者向けマーケティングは非常に重要です。
支援者とは、ボランティア、スポンサー・サポーター、あるいは政策立案者など、NPOの活動資源を支える個人や団体を指します。
支援者向けマーケティングで重要なのは、組織の使命、価値観、そして資金用途の透明性を担保することにより、支援者の関心を引き、彼らを組織の活動に関与させることです。
信頼の構築も重要であり、特に透明性と説明責任を重視することで、支援者が自らの寄付や支援内容がどのように活用され、どのような影響をもたらしているかを理解できるようにします。
また、個々の支援者や団体に合わせてパーソナライズされたコミュニケーションを行うことで、より関係性を強固にします。
支援者に対するコミュニケーションでは、支援者の価値観や動機を理解し、それに応えることが重要です。
例えば、効果的なストーリーテリングを通じて組織の成果や影響を具体的な話や事例を通じて伝えることで、支援者の感情に訴え、関心を深めます。
さらに、寄付、助成金、イベント、商品販売など多様な資金調達手段を用いることで、支援者に多くの選択肢を提供することも必要です。
このような継続的なコミュニケーションと関与を通じて、支援者との長期的な関係を築くことができます。
支援者向けマーケティングはNPOの持続可能性と成長に不可欠な要素であり、組織の目標達成に重要な役割を果たすことになります。
NPOマーケティングとファンドレイジングの違い
ファンドレイジングとは、資金調達の手段です。単なる寄付集めとは異なり、資金調達だけではなく、社会的な課題の啓発・賛同者の獲得を通じてより良い社会の実現をゴールとします。
近年ファンドレイジングを実施するNPOは増えつつあり、SNSや広告、イベントなどに取り組む例もあります。ファンドレイジングの成功にはマーケティングの知見をふまえた戦略が欠かせません。
そのためNPOマーケティングとファンドレイジングは、しばしば連携して行われます。それぞれ目的やアプローチが異なるため、違いを確認しましょう。
目的と範囲
組織の使命、目標、サービスを広め、その影響を拡大することを目的としています。これには、ブランドの構築、認知度の向上、関係構築、コミュニティエンゲージメントが含まれます。
具体的な資金調達に焦点を当て、寄付、助成金、スポンサーシップなどを通じて、組織に必要な財務的支援を確保することを目的とします。
戦略と対象
戦略にはブランディング、コミュニケーション、公共関係、イベントの企画が含まれます。その対象は支援者だけでなく、受益者、ボランティア、コミュニティメンバー、政策立案者にも及びます。
直接的な収益生成に重点を置き、主に金銭的な支援を提供する個人や組織を対象とします。これにはキャンペーン、イベント、寄付依頼などが含まれ、しばしば短期的な目標達成に焦点を当てます。
成果と影響
組織の長期的な評判や認識を高め、コミュニティとの継続的な関わりを築くことで、組織の目標達成に貢献します。
組織の具体的な財務的ニーズを満たし、特定のプロジェクトや活動の実施を可能にすることに集中しています。
これら二つは密接に関連しており、効果的なマーケティング戦略はファンドレイジングの成功を支え、逆に成功したファンドレイジングは組織の認知度や信頼性を高めることができます。
NPOがマーケティングに取り組む意味
NPOがマーケティングに取り組む意味は以下の7つです。
・認知度の向上
・支持者の獲得と関係構築
・資金調達の促進
・サービスの利用促進
・社会的インパクトの拡大
・組織のブランドイメージ強化
・ネットワークの構築
認知度の向上
認知度を高めることによって、NPOはその使命、価値、および活動を広範なオーディエンスに伝えることができます。
また、NPOの活動や成果が広く知られることで、その影響力が増し、政策立案者や他の重要なステークホルダーに対して強い影響を与えることが可能です。
広範な認知は、組織の信頼性と正当性を高めることにもつながり、人々が組織を認識し、その活動を理解することで、より信頼し、支援しやすくなります。
さらに、認知度が高いNPOは、他の組織や企業とのパートナーシップを結ぶ際に有利になり、共同プロジェクトなど、より大きな影響を生み出す機会が増えます。
支持者の獲得と関係構築
効果的なマーケティングを通じて組織の使命と活動が広く認知されることで、潜在的な支持者の関心を引くことが可能となります。
特に、特定のオーディエンスをターゲットにして、彼らのニーズや関心に合わせたメッセージを届けることで、より関連性の高い支持者を獲得することができます。
また、寄付者やボランティアに対して組織の活動にどのように貢献できるかについての明確な情報を提供することも重要です。
同様にイベント、キャンペーン、ソーシャルメディアを通じて、支持者が組織の活動に積極的に参加できる機会を提供することも、エンゲージメントを促進する上で大切です。
これらのアプローチにより、 支持者の獲得と長期的な関係構築を促進することができます。
関連記事:企業のSNS運用とは?SNS7媒体の運用経験者が事例付きで徹底解説!
資金調達の促進
NPOにとって資金調達の促進は非常に重要です。非営利組織にとって資金はその使命を遂行し、プログラムやサービスを提供するための不可欠なリソースだからです。
効果的なマーケティング戦略により、組織の認知度を高め、より多くの潜在的寄付者やスポンサーに組織の存在を知ってもらうことができれば、資金調達の機会を増やすことができます。
また、特定の資金調達キャンペーンやイベント広告・宣伝において、効果的にマーケティング活動を行うことで、キャンペーンの認知を促進し、より多くの資金を集めることが可能です。
加えて、ソーシャルメディアやオンラインプラットフォームの活用によって、NPOはより広範囲のオーディエンスにリーチし、オンライン寄付の機会を増やすことに繋がります。
サービスの利用促進
非営利組織が提供するサービスやプログラムは、特定の社会的、教育的、または人道的なニーズに対応することを目的としています。
マーケティングを通じてこれらのサービスの認知度を高めることは、より多くの人々がその恩恵を受けられるようにするために重要です。
適切なマーケティングを行うことで、NPOが提供するサービスやプログラムに関する認知を高め、彼らがこれらのサービスを利用する可能性を高めます。
そのためには、どのようなサービスが提供されているか、それを利用するための条件や方法についての情報を明確に伝達することが重要です。
マーケティングを通じて特定のニーズや問題を抱える人々を特定し、彼らに直接アプローチすることで、このターゲットのサービス利用が促進されます。
組織とそのサービスに対する信頼をマーケティングにより構築することで、組織はより多くの人々にサービスを利用させることが可能となります。
社会的インパクトの拡大
NPOの活動は特定の社会的、環境的、または文化的な問題に取り組むことを目的としており、マーケティングを通じてこれらの活動の影響と重要性を広く伝えることができます。
組織の取り組みや達成した成果に関する情報が広がることで、より多くの人々がその活動について知り、社会的な課題に対する一般の理解と意識を深めることが可能です。
効果的なマーケティング戦略は組織の支持者を増やし、寄付の増加やボランティア参加の促進、社会的な問題に対する積極的な行動など、より多くの人々がその活動に参加するよう促します。
さらに、組織の活動と成果を広く伝えることで、他のNPO、企業、政府機関との関係が強固になり、より広範なプロジェクトやイニシアチブを実施するためのリソース確保が可能です。
広範な認知度の向上、支持の拡大、強力なパートナーシップの構築を通じて、NPOはその使命を達成し、社会的な課題へより深い影響を与えることができます。
組織のブランドイメージ強化
ブランドイメージは、組織が一般にどのように知覚されるか、または認識されるかを反映し、信頼、支持、そして影響力を高めるために必要不可欠です。
一貫したブランドイメージは寄付者や支持者、ボランティアとの長期的な関係を築く基盤を形成します。
また、固有のブランドイメージは組織独自のアイデンティティを確立させ、一般の人々が組織を認識しやすくなり、多くの人々がその活動に関心を持つことになります。
こうしたブランドイメージは寄付者や資金提供者に好印象を与えるため、資金調達や、企業・他NPOとのパートナーシップを結ぶ際にも有利です。
ネットワークの構築
NPOにおけるネットワークは、個人や団体、企業、政府機関などの間に築かれる関係を指し、これらの関係はNPOの目標達成において重要な役割を果たします。
広範なネットワークを構築することで、資金調達、知識共有、技術的サポート、団体間コラボレーション、ボランティアなど多様なリソースとサポートが得られます。
また、ネットワークを通じて他のNPOや専門家から学び、情報やベストプラクティスを交換することが可能です。
これによって組織はより効果的な戦略を考案し、新しいアイデアやアプローチを採用することにも繋がります。
加えて、強力なネットワークを有することで、組織の権威と専門性を高めることができ、政策立案者や重要な意思決定者に影響を与え、社会的な問題に対する変化を促進することが可能です。
NPOとコンテンツマーケティングは相性が良い
NPOは通常、限られた予算内で運営されるため、コスト効率の良いコンテンツマーケティングは相性が良く、NPOにとって特に有効なマーケティング戦略です。
コンテンツマーケティングは、価値あるコンテンツを作成し配信することで、ターゲットオーディエンスにリーチし関与を促進するマーケティング手法です。
デジタルメディアを活用することで、広範囲にわたるオーディエンスにリーチすることができます。
具体的には、ブログ投稿やSNS運用、メールニュースレター、動画媒体での発信などは比較的少ないリソースで作成できる効果的なコンテンツです。
さらに、コンテンツマーケティングは組織のストーリーを伝え、共感を呼び起こすことで、オーディエンスとの深い関係を築き、組織のファンを作ることができます。
NPO団体の活動における使命感やストーリーをコンテンツに反映させることで、支持者は組織の目標と価値観により深く関与し、長期的なサポーターになる可能性が高まります。
また、NPOは特定の社会的、文化的、環境的問題に精通していることが多く、この専門知識を活かして高品質なコンテンツを作成することが可能です。
教育的な記事、調査結果、専門家のインタビュー、成功事例の紹介など、役立つ情報を提供することで、オーディエンスに価値を提供し、組織の信頼性と権威を高めることに繋がります。
結論として、コンテンツマーケティングはNPOにとって非常に効果的なアプローチであり、限られた予算の中で最大限の影響を生み出し、サポートするファンを育成するのに役立ちます。
また、高品質なコンテンツを通じて、組織の専門知識と権威を築くことができるため、信頼性の向上とともに、より広範なオーディエンスへの影響を拡大することが可能です。
関連記事:コンテンツマーケティングを外注委託するメリットは?基本の流れや代行先の失敗しない選び方を徹底解説!
NPOマーケティング成功のコツ
NPOマーケティングの成功にはいくつかの重要な要素があります。
ここでは、NPOマーケティングを成功に導くために必要な以下の5つのコツを紹介します。
・明確な使命とビジョンの伝達
・ターゲットオーディエンスの理解
・マルチチャネルアプローチ
・透明性を保つ
明確な使命とビジョンの伝達
NPO組織が掲げる使命は組織の存在理由を示し、ビジョンは将来の理想像を描きます。
これらを通じて、支持者や寄付者が組織の目的に共感し、長期的な関係を築くことができます。
効果的なコミュニケーション戦略を用いて、使命とビジョンを適切に伝達することで感情的なつながりを構築することが重要です。
また、透明性と説明責任を担保することで、権威性および信頼性を高めます。
この二つを効果的に伝達するためには、まず言葉選びが重要です。
使命とビジョンは、簡潔でありながらも、組織の心と魂を表現するようなメッセージでなければなりません。
そうすることで、聞く人に強い印象を残し、組織の目的に対する理解と共感を深めることができます。
また、使命とビジョンを伝達する際には、単に言葉を述べるだけでなく、それが具体的に何を意味するのかを示すことも重要です。
例えば、実際の活動例や成功事例を引用することで、抽象的な概念を具体的なイメージに変換し、よりリアルに伝えることができます。
これにより、支持者は組織の活動により深く関わることを望むようになります。
ターゲットオーディエンスの理解
ターゲットオーディエンスの深い理解は、効果的なマーケティング戦略の基盤となります。
オーディエンスを異なるセグメントに分け、それぞれのニーズや関心に合わせてカスタマイズされたアプローチを展開することが重要です。
そのためには、定期的なフィードバックや市場調査を利用し、オーディエンスの意見や動向を理解する必要があります。
この理解を深めるためには、まずターゲットオーディエンスを特定し、彼らの特徴を明確にすることが重要です。
これには、年齢、性別、職業、教育レベル、在住地、文化的背景などが含まれます。
しかし、これらの基本的な人口統計学的特徴だけでは不十分です。
彼らのライフスタイル、価値観、信念、趣味、関心事など、より深いレベルの洞察が必要です。
次に、ターゲットオーディエンスのニーズと期待を理解しましょう。
彼らは何を求めているのか、どのような問題や課題に直面しているのか、そしてNPOの活動がどのように彼らのニーズに応えることができるのかを把握する必要があります。
これは、アンケート、インタビュー、フォーカスグループ、ソーシャルメディアの分析など、さまざまな方法で行うことができます。
マルチチャネルアプローチ
NPOマーケティングにおけるマルチチャネルアプローチは、組織のメッセージを広く伝え、多様なオーディエンスにリーチするための重要な戦略です。
このアプローチは、異なるコミュニケーションチャネルを組み合わせて使用することにより、より広範な視聴者層にアピールし、メッセージの影響力を最大化することを目指します。
マルチチャネルアプローチで大切なのは、単一のチャネルに依存するのではなく、複数のプラットフォームやメディアを戦略的に活用することです。
これには、伝統的なメディア(テレビ、ラジオ、新聞)、デジタルメディア(ソーシャルメディア、ウェブサイト、ブログ)、イベントや個人的なネットワーキングなどが含まれます。
各チャネルは、それぞれ異なるタイプのオーディエンスにアピールし、異なる種類のエンゲージメントを生み出すため、組み合わせることで全体の効果が増します。
この戦略の成功のためには、まず、組織のターゲットオーディエンスがどのチャネルを使用しているかを理解することが重要です。
例えば、若い世代はソーシャルメディアを頻繁に利用する傾向があり、中高年層のオーディエンスは伝統的なメディアや直接のコミュニケーションを好むことがあります。
このような洞察は、どのチャネルに焦点を当てるべきかを決定する際に役立ちます。
また、異なるチャネル間で一貫性を保つことも重要です。
メッセージ、ビジュアル、トーンは、異なるプラットフォームにわたって一貫している必要があります。
これにより、ブランドの認知度が高まり、メッセージの信頼性が強化されます。
さらに、マルチチャネルアプローチでは、各チャネルの特性を理解し、それぞれの強みを最大限に活用することが求められます。
例えば、ソーシャルメディアはインタラクティブなコンテンツや短いメッセージの発信に適しており、ウェブサイトやブログ投稿はより詳細な情報やリソースを提供するのに適しています。
関連記事:頻出マーケティング用語55選!担当者は絶対に知っておきたい重要語を徹底解説
透明性の維持
NPOマーケティングにおいて透明性の維持は、信頼と信用の構築に不可欠な要素です。
透明性は、組織の活動、財務、成果といった情報を正確かつ明確に公開・共有することを意味します。
この透明性は、支持者、寄付者、利害関係者、そして一般大衆の信頼を獲得し、維持するための基盤となります。
透明性を保つためには、まず組織が行っている活動について詳細かつ正確な情報を提供することが必要です。
これには、実施したプロジェクト、達成した成果、そしてその影響に関する具体的なデータや事例が含まれます。
また、計画中の活動や将来の目標についても共有することで、組織の方向性と意図を明確にすることができます。
活動内容だけでなく財務の透明性も重要です。
寄付者や支持者は、彼らの資金がどのように使われているかを知る権利があり、収入元、支出の内訳、資金の使途などに関する情報を定期的に公開することが求められます。
これは、組織が責任を持って資金を管理し、その使途について説明責任を果たしていることを示します。
さらに、組織が直面している挑戦や困難についても正直に伝えることも有効なアプローチです。
すべてのプロジェクトや活動が常に成功するわけではなく、時には予期せぬ障害や失敗が発生します。
これらの状況についてオープンにコミュニケーションを取ることで、組織は誠実さと責任感を示すことができます。
NPO・NGOマーケティングの成功事例
NPOマーケティングの実際の成功事例として、認定NPO法人FoE Japanの事例を紹介します。
この事例は、NPOがマーケティング手法を用いて、支持者との関係を深め、活動の効果を高める方法の参考になるでしょう。
また、NGOマーケティングの成功事例として、国際環境NGOグリーンピース・ジャパンの事例も紹介します。
同社は、SNSのプロをキャリーミー経由で採用したことで、SNSマーケティングを成功に導きました。
組織内にマーケティング人材が不足している場合、外部のプロ人材のスキルを活用する重要性が理解できる事例となっています。
認定NPO法人FoE Japan
FoE Japan(エフ・オー・イー・ジャパン)は、地球規模での環境問題に取り組む認定NPO法人です。世界70カ国以上にネットワークを持つFoEのメンバー団体として設立。1980年から活動を開始しました。
FoE Japanでは、イベント参加者に関する情報の整理や共有ができない課題がありました。支援者になる可能性のある参加者を把握できず、支援者が集まりにくい状況が続き、財政状況は不安定に。
そこで、同団体は会員・寄付者のデータ分析、イベント参加経験のある4,000人を対象としたアンケートを実施。
その結果、会員・寄付者の属性が視覚化され、訴求すべきターゲットを明確にすることができました。
分析を進めるまで、会員・寄付者は「子どもをもつお母さん」が大半だと思われていましたが、実際は「30代、40代の働き盛りの男性」が多数を占める結果に。ターゲットを正確に把握できていなかった現状が明らかになっています。
アンケートでは多くの人がFoE Japanの提供する情報に信頼を寄せ、活動に共感していることが明らかになりました。
イベントに関する期待として参加者から寄せられたのは、「原発や環境問題について話し合える場が欲しい」という要望です。
これに応えるため、FoE Japanはイベントの後半に意見交換の時間を設けたり、参加者が語り合うセミナーを開催するなどの工夫をしました。
アンケートには具体的な改善提案も多く寄せられ、これにより参加者との距離が縮まったと感じられたとのことです。
FoE Japanは今後も定期的なアンケートを実施し、ニーズの変化を捉え、イベントに反映していく計画を立てています。
この事例から分かることは、支持者の属性やニーズの情報を蓄積・整理・分析し、活動の方向性を確認することの重要性です。
客観的なデータをもとに支持者に対するアプローチを検討することで、ターゲットや施策の読み間違えを防ぐことができます。
また、個々の支持者の意見を定期的にヒアリングすることで、関係強化や活動内容の改善にも役立ちます。
参照:認定NPO法人 FoE Japanのマーケティング導入事例 – Panasonic NPOサポート マーケティング プログラム – サステナビリティ – パナソニック ホールディングス
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン
グリーンピース・ジャパンは、地球環境保護に取り組む国際環境NGOです。オランダ・アムステルダムに本部を持つ国際環境NGOグリーンピースの日本支部として設立し、気候変動や生物多様性問題などに注力しています。
同団体のマーケティングでは、SNS運用に力を入れています。
たとえば、同団体ではInstagramを運用しフォロワーは7.5万人(2024年2月現在)を獲得。キャンペーンなども積極的に企画しています。
SNS投稿キャンペーン「#リユースでラブアース」では、「#リユースでラブアース」のハッシュタグをつけたマイボトルやリユース容器の写真を1ヶ月間募集。その結果100件以上の投稿が集まり、使い捨て容器削減の実現へつなげています。
さらに同団体ではInstagramの運用を強化するため、2020年にSNS運用のプロ人材をキャリーミー経由でアサインしました。
その結果、Instagramフォロワー数は3倍以上になり、投稿の保存が13倍まで伸長。年間のフォロワー目標数もわずか4ヶ月で達成することができました。
もともと同団体ではマーケティング領域の人材が不足し、採用活動を行っても適切なスキルを持つ人材の獲得にはなかなか至らなかったと言います。
そんな中、プロ人材をアサインしたことで、短期間でも顕著な成果を生み出し、マーケティング活動を一層充実させています。
参照:インスタフォロワー数の年間KPIを4ヶ月で達成!海外在住・SNSのプロが国際環境NGOで活躍出来た理由とは?
まとめ
この記事では、NPOマーケティングの基礎的な知識から、成功のコツや実際の事例まで、網羅的に紹介してきました。
NPOマーケティングの多面的な側面とその重要性を理解していただけたことと思います。
NPOとしての使命を果たし、より多くの人々に影響を与えるためにも、ぜひ本記事を参考にマーケティング戦略の実践を始めてみてください。
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この記事を書いた人
- 加来 涼太
3度の事業立ち上げを経験し、これまで2度事業売却した連続起業家。 フリーのプロ人材としても、数社で活躍する現役のWEBマーケター。
2014年、高校3年時にフィリピン留学したことを機に、大学在学中に留学代理店事業を立ち上げ学生起業を経験。WEBマーケティングを独学と実践で学び、WEB経由での集客活動を仕組み化し、同事業を約4年間運営した後に事業売却。新卒後は、海外にある日系ITスタートアップの新規事業プロジェクトに約半年間参画。
2019年、自社ITサービスの開発・WEBメディアの運営事業等を行う株式会社ツーベイスを創業。サイトM&Aプラットフォームサービスの運営開始から約1年後に、自身2度目の事業売却を行う。1年間の運営期間で審査した対象サイトは約200件に及ぶ。現在は、月間最大100万PV越えのWEBメディアを運営したり、留学関連の新規事業立ち上げに従事。過去に立ち上げた累計のサイト数は10を超える。
2023年、自身の会社を経営しながら、これまでの経験を活かし、フリーのSEOディレクター等としても数社で活動している。主な実績:約1年間/週1程度の稼働で、事業会社が運営するサイトへのオーガニックトラフィック数を月間約20万増やし、昨対比で約200%増を達成。同サイトの月間トラフィック価値30,000$以上の向上も実現。