4月より成人年齢が18歳に引き下げ!人事労務が知っておきたいポイント
2022/4/7
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近年、選挙権の年齢も18歳に引き下げられるなどの改正があったことも記憶に新しいのでは?
世界的にも18歳以上を成年として扱うのが標準的であり、わが国においても適当ではないかという議論がなされた結果、成人年齢が18歳に引き下げられることになりました。
なんと明治時代から約140年日本での成人年齢は20歳と定められていたものが、今回変わることになります!
今回は成人年齢引き下げによってどのようなことが変わるのか、労務への影響などをご紹介します。
成人年齢の引き下げで変わるもの・変わらないものとは?
未成年の場合、各種の契約には親の同意が必要となります。
もし未成年者が親の同意を得ずに契約した場合、その契約は「未成年取消権」というものにより取り消すことができます。
しかし、成年になると親の同意がなくとも契約ができるようになり、またこの未成年取消権によっては、契約を取り消すことができなくなります。
成人年齢の引き下げで変わるもの・変わらないもの 一覧
18歳になったらできること | 20歳にならないとできないこと (これまでと変わらないこと) |
---|---|
親の同意がなくても契約が可能に ・携帯電話 ・ローンを組む ・クレジットカードを作る ・部屋を借りる等 |
飲酒 |
10年有効のパスポート取得 | 喫煙 |
国家資格の取得 | 競馬、競輪等 |
結婚(女性の結婚可能年齢が16歳から18歳に引き上げられ男女ともに18歳に) | 大型・中型自動車運転免許の取得 |
※政府広報オンラインより一部抜粋して作成
また、成人年齢の引き下げにより18歳から20歳の方と企業が業務委託を行う場合も、特段の親権者の同意が不要になります。
法改正により、今までよりも若い世代とビジネス的に繋がる機会が増えるため、若いスキルを求めている企業もあるのではないでしょうか?
契約はいついかなる時も慎重に行う必要があります。特に、契約や実務経験が少ない若い年齢層と契約する際は、詳しい説明を怠らないように注意しましょう。
労務への影響は?
実は今回の成人年齢引き下げとは関係なく、労働基準法上では、以前より18歳未満への保護規定が多く存在していることをご存じでしょうか。
– | 年齢区分 | 労働について |
---|---|---|
児童 | 満15歳の年度末までにある者(中学生以下) | 原則として、労働させることができない ※映画の製作・演劇事業等のみ例外あり ・学校長の証明書、親権者・後見人の同意書が必要 |
年少者 | 満18歳未満の者 | 労働させることはできるが、就業制限あり ・年少者の年齢を証明する書面(住民票記載事項証明書当)の備え付けが必要 ・時間外・休日労働・深夜(深夜のみ、交代制で働く16歳以上男性は可能)可、変形労働時間性の適用はできない ・坑内労働の禁止 ・危険有害業務は不可(重量物の取扱い等) ・帰郷旅費の支給(会社都合で解雇された年少者が、帰郷旅費がないため、雇用され続けることを防ぐため、使用者に帰郷のための旅費を負担させること) |
労働基準法ではもともと満18歳未満の者への保護法制は強かったものの、18歳以上については通常の労働者への保護規制とほぼ変わりありません。
例外として、企業が未成年と雇用契約を締結する場合には保護者の同意が必要という規制があります。これは、先述した民法上の契約の規制(未成年の各種契約には親の同意が必要となる)に関連しているものです。
ただし、労働基準法では、未成年者が労働契約を締結する際に、その労働条件が労働者にとって不利な場合には、保護者や労働基準監督署が代わりに契約を解除することができるという規定があります。
そのため、成人年齢引き下げにより、今後19歳、20歳の方はこの定めが適用されなくなります。
企業としては、これまでと変わらず法律を守った適正な労働契約を締結していれば特段の労務トラブルはないかと考えますが、若年者については雇用契約締結に際しご不安な気持ちをもつ方も多いと思います。
企業と雇用者で認識のズレが生じないよう、引き続き真摯な労働条件の説明等を含め適正な労働契約締結を心がけていくとよいでしょう!
そのため、今回成人年齢が引き下げられることに伴い、労務上での大きな変更点としては下記の一つかと考えます。
まとめ|成人年齢引き下げについて、企業も労務の見直しを!
いかがでしたでしょうか。
成人年齢引き下げがもたらす労務への影響は、そこまで大きくはないものの、親権者の同意を取得する範囲を18歳未満とする運用に変更するかを含め企業では決定する必要があります。
特に飲食・小売業等のサービス業の企業様においてはこの年代の方が多く活躍されていることと思います。
今一度自社が年少者等の対応が適切かを含め、運用を見直してみるきっかけとしてみてはいかがでしょうか。
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この記事を書いた人
- 寺島 有紀
寺島戦略社会保険労務士事務所 所長 社会保険労務士。
一橋大学商学部 卒業。
新卒で楽天株式会社に入社後、社内規程策定、国内・海外子会社等へのローカライズ・適用などの内部統制業務や社内コンプライアンス教育等に従事。在職中に社会保険労務士国家試験に合格後、社会保険労務士事務所に勤務し、ベンチャー・中小企業から一部上場企業まで国内労働法改正対応や海外進出企業の労務アドバイザリー等に従事。
現在は、社会保険労務士としてベンチャー企業のIPO労務コンプライアンス対応から企業の海外進出労務体制構築等、国内・海外両面から幅広く人事労務コンサルティングを行っている。
2019年4月に、「これだけは知っておきたい! スタートアップ・ベンチャー企業の労務管理――初めての従業員雇用からIPO準備期の労務コンプライアンスまで この一冊でやさしく理解できる!」を上梓。
寺島戦略社会保険労務士事務所HP: https://www.terashima-sr.com/
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