広報PRのKPIを決める方法とは?具体的な事例と広報の仕事内容をプロ人材が解説
2022/3/17
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自社のブランディングや商品・サービスの認知拡大に、広報PR活動は欠かせません。しかし、広報PRは地道な活動が多く成果を測りにくいがゆえに、予算や人員を十分に投資できない、あるいは広報の効果を感じにくい企業が多く見られます。そこで今回は、長年広報PRとして活躍するプロ人材に、業務委託による広報PRの成功事例をお聞きしました。各社で課題となっている広報PRのKPIを設定する方法、社外広報施策のアイデアなどもご紹介します。
このプロ人材に聞きました!
- M.O.さん
高校卒業後、モデルやVIP向け受付対応業務などを経て広報PRに転向。PR会社での正社員勤務経験を経て、自身の会社を設立し10年継続中。
大手からベンチャーまで幅広いクライアントのPR経験と、マスメディアを含む多くのメディアリレーションを持つことが強み。PR戦略立案、メディアキャラバン、プレスリリース作成、取材対応、PRイベント企画および運営まで幅広く対応可能。
目次
広報・PRとは?
広報とPRは同義的に使われることが多く、「意味の違いがわからない」という方も少なくないでしょう。
広報とは、「情報発信を通じてステークホルダーと良い関係を築くこと」を意味します。一方PRは広報よりも広義で、「社会の人々との良い関係・信頼関係を築くこと」を指す言葉です。
広報はPRの活動の一部で、PRの信頼関係構築の一つの手段として考えられています。
社内広報・社外広報の2種類に分けられる
広報PRの種類は、社内広報と社外広報の2つに分けられます。
社内広報は、社内に向けて自社理解やコンプライアンス等の理解を深めるために行います。社内報の発行や社内イベントの企画などが具体的な活動事例です。社外情報発信も見据えた自社情報のハブを担う役割もあり、業務には部署間の連携が欠かせません。
社外広報は、企業、商品、サービスなどについて社外に知ってもらうために行うものです。株主向けの広報(IR)と、消費者や企業など一般向けに対する広報に分けることができます。
IRは経済系メディアに対するプレスリリース発信、株主総会の開催などが主な仕事です。
一般向けの社外広報は、記者発表会、メディアキャラバン、自社コンテンツ制作など活動内容は幅広くあります。情報の内容によって発信するメディアも変わり、様々なメディアとの関係づくりが重要になります。
広告と広報PRの違い
広告と広報PRの違いは、かかる費用です。
広告は企業が広告費を支払って打ち出すものですが、広報PRは情報発信に費用がかかりません。広告は多額の費用を出せば、知らせたい情報を大々的に発信することもできます。一方で、広報PRはメディアや世の中が関心を持つ内容でなければ、広く発信することは困難です。
広告は企業側が比較的自由に発信したい情報を伝えられますが、広報PRはメディアに刺さるフックを作らなければ報道されません。どうしても社外に発信したい情報がある場合は、広報PRではなく広告の利用を検討すべきでしょう。
広告と広報PRでは、情報の信用度も異なります。広告は企業の一方的な情報になりがちですが、広報PRはメディアの第三者目線が入るため、企業の社会的信用度を上げながら認知を広げられます。
広報PRと広告は、どちらか一方だけを展開するよりも、両方を上手く組み合わせることで大きな利益を生み出します。それぞれの特徴をふまえ、状況や目的に応じて使い分けましょう。
▼詳しくはこちらの記事もご覧下さい
現役の広報プロが教える!広告と広報の違いと広報活動の種類とは?
広報PRの業務委託を検討すべきタイミング
近年は広報PRを外部に委託するケースが珍しくありません。特に大手企業のほとんどは、PR会社と契約して広報PRを行っています。
広報PRは内製化できない仕事ではありませんが、地道に積み重ねていかなければ結果が出ない大変さがあります。メディアリストの作成や、メディアへの売り込みにも時間や労力がかかるため、専門企業や個人へ業務を委託する企業様が多いようです。
自社の広報部門の育成をプロ人材に依頼する企業様もあります。自社、商品、サービスをどんな切り口で紹介すればニュースになるのかがわからない、プレスリリース・ニュースレターを作成できない、など基本的なノウハウを得たい場合にもプロ人材は役立ちます。
業務委託はPR企業へ依頼しても、個人に依頼しても、仕事の内容にはあまり変わりはないと思います。
大きな違いは費用です。大手のPR企業へ依頼すると100万円以上はかかりますが、個人への業務委託ならコストはもっと抑えられます。予算に余裕がない場合は、プロ人材への業務委託が有用になるでしょう。
参考記事:広報は業務委託した方が効果的?|費用相場とメリット・注意点を徹底解説
広報のKPIはどのように決める?
広報PRの目的は企業、商品・サービスイメージの向上や浸透という曖昧なものなので、KPIの設定に悩まれることは多いと思います。
広報PRのKPIは、活動により得られた様々な反響を指標にするのが一般的です。最も多く用いられる指標は、メディア掲載数やメディア露出を広告換算した数値です。その他にもSNSのアカウントフォロワー数、コーポレートサイトのPV数、契約件数、採用応募者数なども指標になります。
反響の結果だけで判断できない場合は、結果に至るまでの過程や活動内容をKPIの指標に加えるといいと思います。たとえば、プレスリリースを作成したら5ポイント、そこからメディア掲載を獲得したら3ポイントなど、業務内容ごとにポイントを付与するやり方もあるでしょう。
広報のKPI・社外広報施策を立案する際のポイント
私が広報PR支援を行う際は、現状の課題分析を大切にしています。分析ではクライアント様の社会的な認知度を客観的に評価するようにしています。
自社、または自社商品・サービスの「知名度は高い」と思い込んでいるクライアント様は少なくありません。世の中でほとんど社名や商品・サービスが知られていない場合は、正直にその現状を伝え、認知を広める施策から着手するよう提案しています。
現状課題を整理したら、具体的な施策を検討します。施策を考えるポイントは、ニュースを作るということです。メディアや社会の関心を集め、発信する情報を「世の中ゴト」、「自分ゴト」と感じてもらえる企画を検討します。
クライアント様が発信したい情報は、ニュース価値に乏しい内容になりがちです。クライアント様が保有している情報と、メディアが求めている情報のギャップをどれだけ埋められるかが、広報PRの腕の見せ所になります。
業務委託のプロ人材による社外広報の活動事例
たとえば、あるクライアント様の案件では、同社が運営する情報サイトの利用者数アップに向けて、以下のような施策を提案しました。クライアント様の社名や業務内容の認知度がそもそも低かったため、企業やサイトを知ってもらえるような仕掛けづくりを意識して、施策を検討しました。
■プレゼントパブリシティ
「情報サイトオープン記念」と銘打ったプレゼント企画を提案しました。読者プレゼントをフックにすることで、通常のパブリシティより露出するメディアの幅を広げることができます。手っ取り早くメディア露出を増やせる方法とも言えるでしょう。
■調査パブリシティ
世の中の関心事につながるような調査を実施し、メディアへニュースの話題として提供する方法です。プレスリリースで流せる話題がなかなか見つからない場合に取り組みやすい手法だと思います。
実施する際は、導き出したい調査結果に合わせてアンケートを作成します。調査結果を単に並べただけの内容ではメディアは取り上げてくれません。
メディアが関心を持ちそうな結論をまず設定し、その結論へ誘導するように設問を設定する必要があります。一方通行の調査報告にならないよう、話題性のある情報に加工することが大切です。
■川柳募集
サイトと関連する川柳を募集する企画です。サイト上で募集・発表することで、サイト誘因を創出できます。第一生命の「サラリーマン川柳」などのように恒例化され、世相を反映する企画として認知されれば、ブランディングにもつながります。
■記念日制定
メディアへのPRのフックとなるような記念日を制定する方法です。プレゼントパブリシティと同時に実施し、話題を作る企画を提案しました。
以上の施策を提案・検討した結果、調査パブリシティを実施することになり、過去最高のメディア露出を記録することができました。
実はこのクライアント様は広報部門をもともと持っていたのですが、十分な成果が出ず、部署間で広報部門へ意見を伝えることもできない状況でした。業務委託でこれまでにない成果が出たことで、これまでの広報部門のあり方を変えていこうという機運も生まれたそうです。
優秀な広報PRのプロ人材とは?業務委託人材と契約する前に見極めたい能力
広報PRのプロ人材には3つの能力が求められると思います。
第一に、クライアント様の立場に立って情報を発信できることです。クライアント様がどんな情報を届けたいのか、何を課題としているのかを正確に捉えることは、業務の大前提になると思います。
第二に、クライアント様からメディア、そして情報の受け取り手への橋渡し役を担うことです。
広報PRは、クライアント様の立場に偏りすぎてはいけません。メディアの視点、メディアを見る一般の人々の視点から、発信する情報を評価・加工するセンスが必要です。それぞれの間を取り持つ中間管理職のような存在になれるとベストだと思います。
情報を発信する場所やタイミングを見極める技術も大切です。ニュースは鮮度が命です。タイミングを逃せば広報PRの内容はどんどん古くなってしまいます。
また、情報の内容に合わせて最適なメディアを選択することも必要です。豊富なメディアリストやメディアリレーションを活用できるかどうかも重要なスキルと言えるでしょう。
広報PRは企業様の将来の財産となる重要な活動です。広報PR活動の改善・継続に不安がある企業様は、業務委託のプロ人材の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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この記事を書いた人
- 西岡 日花李
1987年生まれ。神奈川県出身。大学在学中から取材執筆活動・テレビ番組制作を開始。大学院でジャーナリズムを専攻後、ミニコミ紙に入社し、社会・文化など幅広いジャンルのニュース・インタビュー記事を執筆する。現在は家事子育てとの両立のため、フリーとして活動。東北の地方都市で生活しながらも、リモートをフル活用しライティング業を継続中。