マーケティングを大衆化する!「プロ人材」と「自社ツール」を融合する、新しい組織の形とは?
2018/11/19
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500社以上の採用の相談に応じているキャリーミー代表の大澤が、先鋭的な採用や人事制度に取り組んでいる企業の経営者に、採用の本音をインタビューする本企画。第12回は「Webマーケティングの大衆化」をビジョンに掲げ、事業を展開する株式会社ベーシック。日本最大級のWebマーケティングメディア「ferret」をはじめ、ITサービスの比較メディア「マケスト」、オールインワンマーケティングツール「ferret One」などを提供しています。
今回は株式会社ベーシックの代表取締役社長の秋山勝さんに、プロ人材を生かす組織の在り方やキャリーミーのプロ人材を採用した率直な感想、自社で取り組まれている新しい働き方について伺いました。
—まず始めに、ベーシック社の事業概要について教えてください。
Webサービスで社会の課題解決するための事業を行っている会社です。
「Webマーケティングの大衆化」を目指して、SaaS事業としてオールインワンマーケティングツールの「ferret One(フェレットワン)」とメディア事業であるWebマーケティングポータルの「ferret(フェレット)」やマーケティングSaaSサービスの比較メディア「マケスト」などの運営を行っています。
—具体的にどのようなサービスを提供していますか?
ferret One(フェレットワン)は、どんな組織でも簡単にマーケティングが行えるツールです。いざ、マーケティングをしようと思ったときにいろんなツールを使いこなさないと実現できないという世界になってきていて。
現状ではマーケッター自体の生産性も高いとは言えない状況の一方で、求められる成果というのは、どんどん高くなっています。このギャップを埋めるために、少ない人員で高い成果が出せるようなマーケティングツールとして「ferret One」というのを展開している、それが一つですね。
メディア事業で最近力を入れているのが、「マケスト」です。マケストは、クラウドサービスやITツールを比較するメディアです。
そもそも、数多あるマーケティングサービスからどれを選んで良いのか分からない、という声もすごく大きくなっていたことを認識していたことから、このメディアを立ち上げることにしました。
—次に、御社の事業が社会のどんな課題を、どのように解決されているか教えていただけますか?
マーケティングを大衆化するという大きなビジョンがありますが、その背景にあるのが、労働人口の減少です。少子高齢化の影響など社会的な外部環境が変化する中で、人手不足を解決していく必要があるにもかかわらず、それに対すると取り組みを積極的に行っていない、行うことができない企業が多いことも事実です。
そこで、我々が先陣を切って挑戦することで、そのロールモデルになれればと考えています。
それは、マーケティングのツールを提供することもそうですし、我々の組織自体を変えていくことも指しています。
—ロールモデルになるために、どんなことに取り組んでいるのでしょうか?
少ない人員で大きい成果を出すためには、レバレッジが必要です。大きなレバレッジを生むための仕組みづくりが重要だと考え、それを作っていきたいと考えています。
それぞれが持つ役割に特化した組織を作るため、副業人材を活用するなどして、一人ひとりや各拠点が持つミッションにフォーカスすることで、労働人口が減少する中でも成果を高めていけるような組織づくりを目指しています。
—次に現在、御社が抱えている課題を教えていただけますか。
ビジョンと、それをもう少し具現化した青写真はあります。ですが、足元の部分がまだ、追い付いていない状況です。
それは、社内の教育や提供するプロダクト、マーケティング上のコミュニケーションも、それぞれのピースが、まだ完全にはまっていないなと思っていて。そこは、課題に感じています。
—そこで必要なのは何だと思われますか?労力が不足しているのか、特殊なノウハウが必要なのか。
我々が実現しようと思っている世界によって、明確に利益を享受しているクライアントの数が、まだ足りていないと。ここが、僕はポイントだと思っていて、どういった企業が、どういうふうに成功をしているのかというのが見えてくると、一気に効果が出てくると思います。
—今までマーケティングに取り組んでいる会社が、御社のサービスを利用する必要がある理由はなんですか?
マーケターの生産性が低くなるという環境からですね。今までの組織の作り方は、人がいる、人を増やせる。という前提で作られているんです。しかし、この先の未来というのは、人は絶対に増えないわけです。
これからマーケティングに力を入れて行こうという会社が、「環境を整えて、人も手に入れて、しっかり成果を出していきましょう」となったときに、どっちもおぼつかないわけですよね。果たして、本当にそれで良いんでしたっけと。
—他にも課題はありますか?
もう一つは、人材の育成です。特にマネジメントクラスですね。
そもそものマインドセットや、プロ人材に特化していくのであれば、プロ人材の定義も決めなければならないなど、やらなければならないことがたくさんあります。現状はその解決のための設計に着手している状態ですね。
—ちなみに、御社にとってのプロ人材とはどういう定義ですか。
我々が定義するプロ人材とは、「成果を出すのに必要な裁量とリソースをお渡しして、成果にこだわる自走する人材」です。スキル面では、それぞれの領域ごとに一定の水準を求めています。
—具体的にはどういった人物像でしょうか?
簡単に言うと「やり抜ける人」ですね。コミットしたことをやり抜くことは、言うは易しですが、多くの人ができるわけではありません。
すごく身近なところで言うと、ダイエットや筋トレもそうですよね。決めたことをやる。しかも、その上で成果を出すというのが、当然ながら、それがプロだと思っています。
世の中的に言われるプロは、基本的に、厳しい世界で働いているじゃないですか。プロ野球選手しかり、スポーツ選手なんてまさにそうですけど。料理人やカメラマンもそうですよね。
良い写真が撮れずに、「僕なりに頑張ったんですけど、ちょっとぼけちゃって…」なんて言い訳は通じません。「でも、たしかに現場で頑張っていたもんね。」と、誰も言いませんよね。
下手したら頑張らなくても良いから、求めている成果物さえ上がってくればいい。プロとはそういう世界だと思います。そういう意味では、やり抜くということだと思いますけどね。
—会社として、プロ人材の定義を明文化していたりするんですか?
そうですね。当社では、3つのコンピテンシーを求めています。
一つ目が成果にコミットするために、常に成果から逆算で業務設計すること
二つ目が仮説検証を実施し、常に方針や施策が改善されていること
三つ目が仲間やチームと共闘できること
端的に言うと、一つ目が逆算思考で、二つ目はPDCAが回せること。どの会社でも挙げられることだと思います。そして3つ目が、チームでワークできるかということですよね。
この「共闘」というところは、当社の人間もそうですけど、外部から関わる人こそ、僕は重要なことだと思っています。
—フルタイムのメンバーではないからこそ?
そうですね。共闘するというのは、非常に次元の高い行為だと思うんです。外部のメンバーは、コミュニケーションコストはあまり掛かりませんが、その分、文脈や意図を読み取らなければいけないことも多いはずですよね。
—なるほど。そうするとより求められるのは、自分の本来のスキルに加え、コミュニケーション能力や、一緒にやり抜く力だと。
はい。理解力や咀嚼力というは相当、高次元で求められていくだろうなとは思いますね。外部のメンバーにはしがらみがない中で、シビアにいけるわけじゃないですか。
簡単に言うと、ダメなら契約を終了してしまえばいいんですよね。そういった意味で、正社員で働いていればある程度、雇用は守られるし、少しの失敗なら挽回できます。正社員ほど優しいことが多いなって思います。
その点、プロは厳しい。平均点よりやや高めのアウトプットを出せる人なんだけど、コミュニケーションコストが無駄にかかるからもう一緒に仕事はしたくないとか。そういう意味で、プロ人材にとってもコミュニケーションというのは、今後、とても重要になってくると思っています。
—弊社で言うと、時間で働くのではなくて、成果を中心に働ける人をプロ人材というふうに定義しています。今のところ、御社で複数名採用をいただいていますが彼らの状況は、いかがですか?
今のところ、総じて良いと思いますね。それこそ、コミュニケーションコストはほとんどかからないのに、出てくる成果物が高いです。その点、すごく満足しています。余計な時間やストレスも掛からないので、そういう意味で非常にやりやすいなと。
—具体的な成果などありましたら教えてください。
当社が提供するWebマーケティングでお困りのお客様へのコンサルティング業務を一緒にやっていただく方を探していたんです。結論から言うと、まさに、「助っ人」という形でご活躍いただいています。
また、皆さんそれぞれに、スキルが違うんですよ。Webマーケティングを専門分野に起きつつ、制作の領域が得意な方や分析が得意な方などがいて。
制作が得意な方は、制作のプロジェクトに入っていただいたり、分析が得意な方には、ferret Oneのレポーティングや要件定義のところから入って頂くなど、彼らの強みが生かされた結果、当初想定していた範囲と異なる領域までアサインされたと。そういう事例はありましたね。我々のお客さん先に同行も頂いて、専門的見地から的確なアドバイスもしてくださいますし。
適所適材の考え方でプロ人材の力を借りて役割を分けることにより、アカウントマネジメントチームが複数案件をかかえることができ、事業をスケールさせる体制構築ができる、という点で大変ありがたく感じていますね。
—例えば今回だったら、制作に強みがある人だったり、分析に強みがある人が入ったりすると、たまたま御社にいらっしゃらない領域に得意分野を持つ人が入ったことで、割とうまく回っていますというところなんでしょうか。
専門分野を持つ人を選べるのも良いですよね。どうしても社内だけを見ると、今の人員の中から、アサインせざるを得ないこともあるじゃないですか。もし、はまらないんだったら、「採用」という選択肢しかなかったりしますよね。
でも、それはナンセンスなんではと。この時代の流れの中でいくと。教育コストがかからない専門性という、プロ人材の働きやすい働き方で担保してもらって、それで補完できるんだったら、お互いハッピーで良いことなんじゃないかなと思いますね。
—それはすごいですね。あと、ちょっとお聞きしたかったのは、なぜ弊社に依頼をいただけたのかなと。例えば、完全にどこかの会社に外注という手段だとか、あるいはどこかから正社員で、多少、人件費は高いかもしれないけど、どこから専門スキルのある人を、正社員の採用で持ってくるとか。方法は、他にもあったかなと思うのですけれども。どうしてプロ人材の助っ人を?
これは、さっきのビジョンと青写真に繋がっているんですよ。僕らがferret Oneの事業でやりたいことというのは、マーケティングを大衆化していくことなんです。つまり、多くの会社がマーケティングできるようにしていきたいんですよね。
そこで一番重要なのが、「外部のスペシャリストの力を借りる」こと。どういうことかというと、再現性のあるソリューションというのを提供しないことには、大衆化していかないですよね。
今まさに、キャリーミーさんのマーケティングのプロ人材の力をお借りして、「ferret One」を使って頂いているお客様のコンサルティングをしているわけです。私は、まさにキャリーミーさんが取り組まれているような、様々なプロ人材がアサインされるような、そういう世界を作りたいんですよ。
いま、副業人材が増えている中、新しい働き方をするマーケティングのプロの力を借り、ferret Oneというツールを通じて、企業の支援ができたらと思っています。
—なるほど。プロ人材だったり、フリーランスだったり、あるいは副業だったりという人材でも、十分活かせますよということを、ロールモデルとして示していければ、より説得力が出ると。ちなみに、優秀であっても、こんな人は採用したくないというNGなケースというのありますか?
スキルはあるんだけど、ミッションやビジョンででミートしない人でしょうか。
—やっぱり、スキルがあってもビジョンが合わないというので。
違う方向に進んでも、組織は回るわけですよね。でもそうすると現場が混乱するんです。
方向性が違うんだけどスキルがない場合は、難しいと思うんです。
でも、優秀な人が違う方針を示し始めてしまったら、ブレーキになる可能性も秘めていますし。簡単にお別れできないわけです。
—そうですよね。簡単に解雇はできない。働く人も基本的に、長く働こうと思ってきているから。
そのためには入口でしっかりとこだわる。我々はプロか、プロになりたい人とやりたいし、この方向に向かっていきたいんだ、と。そこにちゃんと本当に合意できるかということは、しっかり見極める。逆に言うと、進みたい人たちが集まれば推進力は、ぐっと上がるわけじゃないですか。
—貴社の社員がより活躍できるような人事制度や仕組み、工夫している点はありますか?
副業制度ですね。若手ですと2年目から役員陣まで幅広い層が副業をしています。
これからの世の中の流れ的に、パラレルな働き方は当たり前になっていくだろうなということで。
もちろん、当社にもキャリーミーに登録されているような、副業ワーカーの方にも参画頂いています。我々自身が、副業ワーカーと一緒に働くことで、結果的に、組織の競争力が上がるなと思ったんですよ。実際に、双方の知識や経験、人脈などが有機的につながりだし、新しい価値が出てきている実感はありますね。
—他にも取り組まれていることがあると伺いました。
あとは、地方サテライトオフィスの活用と、海外新卒採用の推進を実施しています。今後首都圏のみで、優秀な人材を確保し続けていく事の難易度はますます高まっていきますし、報酬が高くなれば採用する時代でもなくなってきているという背景もありますね。
当社では山形と宮崎にサテライトオフィスを設置し、 山形で4人、宮崎は8人ほど常時働いてくれている状況です。
現状では、テレワークというよりも集まってワークをしているんですが、家庭の事情で仕方なく実家に戻るとか、どうしても地元で働きたいとか、一人ひとりにストーリがあるわけですし、全国で優秀な人たちが集められる拠点があれば、全国どこでもサテライトオフィスを作って働ける環境を作ることも採用競争戦略上重要だと思っていますね。
また、エンジニア採用において、毎年ベトナムに出向きイベント開催から、1か月のインターンシップを現地で実施しています。そこから、毎年3人~4人程度の新卒を採用できていますね。中途も含めるとベトナムだけで7名の社員がいます。
彼らは、本当に真面目で優秀です。ferret Oneのサービス開発においても難しい課題を、日々解決してくれています。
今後も、首都圏以外の人材活用や海外の人材活用をはじめ、副業人材・業務委託人材の活用など進めていきたいと思っています。
—実にさまざまな取り組みをされていて、驚きました。今後も御社のように多様な働き方ができる企業が増えていくといいですね。本日はありがとうございました。
インタビューした人
- 大澤 亮
新卒で三菱商事(株)に入社後タンザニア駐在を経て退職し、慶應義塾大学経営管理研究科修士課程入学。
在学中に、日本初の証券会社比較サイトを創業し米国企業に売却、EC事業を設立し(株)サイバーエージェントに売却。卒業後は(株)ドリームインキュベータにて経営コンサルティングと投資業務を担当する。
その後、(株)土屋鞄製造所に移り取締役兼COOとして2年半で売上・利益を2倍とすることに貢献。同社退職後2009年に(株)Piece to Peaceを創業し、代表取締役に就任する。
2016年からマーケティング分野を中心としたビジネス界のプロ契約サービス「キャリーミー」を創業。2023年現在、パーソルホールディングス(株)・本田圭佑氏等から投資を受け、日本企業へのプロ契約の普及に努めている。
著書 「世界をよくする仕事で稼ぐ」 (プレジデント社より出版)新刊「プロに外注」
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この記事を書いた人
- 青野 祐治
編集者/プランナー青山学院大学経済学部卒。広告会社やフリーランス、スタートアップ企業にて、Webメディアの立ち上げや編集/ライティング、コピー/スピーチライティング、PR、マーケティングなどを経験。ローカルメディアやコミュニティづくりなどの活動も行なっている。 Twitter:@yuji_blfd