企業が広報PRを強化する方法は?正社員・PR会社へ外注・業務委託を徹底比較
2018/1/31
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目次
広報・PRをうまく活用し、メディアを味方につけた企業が優勢になってきている
近年、「攻めの広報・PR」の重要性は近年増している。
PR業界全体の売上高(市場規模)は2016年で日本ではじめて1000億円を超え、1016億円となっている。(※一般社団法人日本パブリックリレーションズ協会調査結果より引用)
これには、以下のような背景がある。
●大きなトレンドを広報の力で創っていくことができる、ということの広報の影響力の大きさが認識されてきている。
例: 働き方改革のトレンドによる副業・複業・パラレルキャリア市場の拡大、シェアリングエコノミー、仮想通貨関連 など。その他にも、「豆乳」などの商品カテゴリーも、広報・PRの力によって急拡大されてきたことは有名な事実です。
●予算がないスタートアップでも、「広告費用なし」で、メディアからの取材でメディア露出を増やして上記のようなトレンドを創れる (コスパが良い)
●広報・PRを強化して「ニュース」にした方が消費者からの信頼を得られやすい
(有料の)広告ではないのでメディアの客観的な視点での掲載ができる(信頼性の確保)
当然、広報・PRをうまく活用し、メディアをうまく味方につけて自社のサービス・商品の認知度を高めていった企業が、競合より優勢に事業を進められるようになってきている。
大手企業ではスターバックスなどは広告を殆どしないことで有名だし、スタートアップでもメルカリなどは毎日何かしらのニュースになっている。
企業が広報・PRを強化する3つの選択肢ーPR会社への外注・正社員採用・業務委託の活用
さて、こうした広報・PRを強化し、上記のようなメリットを享受しようとする際は、企業にとっては3つの選択肢がある。
●PRエージェント・PRコンサルティング会社に外注する
●PR経験者の正社員を採用する
●フリーランス・個人事業主のPR・広報のプロに業務委託契約などで依頼する
という3つの選択肢である
この3つの選択肢を、「コスト」、「成果(パフォーマンス)のあげやすさ」、「リスク」の3つの観点から比較してみた。
ご覧の通り、どれを選んでも一長一短があり、「どんなタイプを選べば間違いない」というものではない。
但し、特徴が大きく異なるので、把握しておくことで、自社に合ったタイプを選びやすくなる。
「成果のあげやすさ」をメインに、コスト、リスクにも簡単に触れて、以下説明しよう。
コストは皆さんご存知のとおり、PRエージェント・PRTIMESコンサルティング会社(特に大手)への報酬は企業にとっての負担が大きい。しかし、正社員(経験者)採用も給与支払い以外にも、厚生年金の負担、交通費等の負担があり馬鹿にならない。
フリーランス・業務委託で活躍する広報PRのプロ人材を採用することが最も手軽ではあることは言うまでもない。
しかし、それより注目頂きたいのが、3社(者)のうち「誰が成果をあげやすいのか」という点である。
成果とは、ここでは、「継続的なメディア露出」とし、そのために必要な3つの要因に注目したい。
① メディアの人脈 → 即成果が出やすいか
② メディアのリスト提供の可否 → プラスαの価値
③ 若手の育成や広報体制の構築・支援 → 中長期的な価値
論点① 誰が「多くのメディアとの深い関係性」を構築しやすいか
フリーランスの広報・PRの個人事業主と、PRエージェントは、正社員より広く、深いメディア人脈を構築しやすいという事実がある。
なぜか?
理由は、
「メディアは常にネタを探している。 同じ時間を使うのであれば、ネタを豊富に持っている、つまり複数の企業を担当している個人と付き合う方が、1社しか担当しない正社員より効率が良い」
ということに尽きる。
フルタイムの正社員は、その正社員は所属する1社のみ担当ということから、メディアからするとその正社員の広報担当にコンタクトしてもネタは限られてしまう。
ところが、4社、5社の広報を担当している個人または企業だと、「あのAさんなら、4,5社の広報・PRを務めているから、何かネタを持っているかもしれない」とメディアと良い関係を築きやすいのである。
「PRエージェント」と「広報・PRのフリーランス人材」では、一般的には、メディアの名刺の数の比較では、PRエージェントの方が多い傾向にある。
ただし、どれだけ
「本気でメディアとのつながりを深く構築し、それを担当企業のために役立てようという気持ちがあるか」、
という点では個人事業主の方がPRエージェントの一担当者よりは生活がかかっている(雇用に守られていないので)分、コミットしている傾向がある。
ご参考まで、これまで正社員、PRエージェント、広報・PRフリーランスのいずれも「メディアの方と飲みながら」関係を構築しているスタイルをとる場合が多かった。
メディアにとってもこうした場が貴重な情報源にもなるし、またメディアに勤める一個人としても、飲むことを仕事にできるという趣味的な要素もあるだろう。
現在は新型コロナウイルスの感染拡大や働き方の見直しによって、こうしたスタイルの自粛が余儀なくされている。そんな状況下でも、オンラインでのつながりを新たに構築しているフリーランスのPRのプロが増加傾向にある。
論点② 「メディアのリスト・人脈」も惜しみなく提供できるか
PR・広報分野で活躍する個人・企業にとって、メディアのリストは大切な資産である。
当然、正社員は企業に雇用されているので獲得したリストは提供する義務があるが、フリーランスのPR・広報のプロも、自身の努力で獲得したメディアのリストまでも「提供可」とすることが多い。
※フリーランスのPRプロは一部の方は提供を不可としている個人もいる。
一方、PRエージェントは僕が知る限り、メディアリストを提供する会社はゼロである。
PRを強化したい会社であれば、どこの会社も喉から手が出るほど欲しい、メディアのリスト。
これを提供できるか、できないか、もPRエージェントとフリーランス・個人事業主の広報・PRのプロとの大きな違いの1つである。
なぜ、PRエージェントはメディアリストを提供できないのか。
PRエージェントはメディアとのコネクションに重要な価値を置いており、「契約を継続させる」ことを主目的としているため、「メディアのリストを手渡してしまうと契約を解約されるのではないか」という懸念から通常、リストは死守するのである。
一方、フリーランスの個人は、「PRエージェントとの差別化として融通の効きやすさ」を意識してか、メディアリストも渡してOKという個人が多い。
個人事業主として活躍するフリーランスPRのプロは、一般的にはPRエージェントより安い金額で引き受けているので、契約を解約されるリスクも少なく、安心して(?)リストを渡せるのだろう。
解約されたときのダメージ(機会損失)も少なければ、当然、リストは提供しやすい。
論点③ 広報担当の「若手正社員の育成」や「広報体制の支援」など柔軟な支援が可能か
ベテランの広報・PRフリーランス人材と、経験豊富な広報・PRの正社員であれば、若手社員の育成や広報体制の支援も十分可能であり、そこを強みにしている人材も多い。
一方、PRエージェントはそこまで融通が利く会社を見たことがない。
恐らく「効率性の重視(マンパワーがかかる割りに儲からない)」と、「ノウハウの流出を防ぐ」という2つが理由だろう。
3つのタイプの採用・活用においても「人それぞれ」ではあるが、あくまで傾向として見てみると、「成果の出しやすさ」という観点からは、フリーランスの広報・PRのプロ人材が活躍できる確率が高い。
スタートアップや中小企業のPR・広報の強化には業務委託・フリーランスの活用が最適
上記のようなパフォーマンスを出せる3つの論点を見ても、またコストの比較からも、
スタートアップや中小企業では、
「広報・PRのプロ(フリーランスなど)を業務委託契約で採用し、中長期的には実務遂行と同時に正社員の若手育成をしてもらう」
ことが、メディアとの関係を構築しやすく、メディアリストの提供も可能で、かつ広報体制支援も可能、という観点から、短期的・中長期的にも最も効果が高く、コストもが少なくて済む。
キャリーミーの取引先でも複数の上場企業ですら、このような優秀な広報・PRのフリーランス人材に若手の育成も同時に実施してもらう形でのPR・広報の活用をしている。
この「業務委託でのフリーランスの活用と若手正社員の組み合わせ」の活用方法は、以下もご参照頂きたい。
▼土屋鞄の元役員がはじめて語る土屋鞄の売上、利益が急成長した本当の理由
それでも成果が出なかったら、「ハマれば成果は大きいが、負担もリスクも大きい」PRエージェントへの外注か、「優秀な正社員の採用」を検討すべきだろう。
広報・PRのフリーランス人材を採用する際のリスクとは?
ただし、フリーランスの広報・PRのプロも成果を出せるかどうかは「人それぞれ」であり「スキルが高く、(経験している業種や広報・PRの手法など)最も相性が良く、報酬も見合う」個人を選ばなければいけない。
正直、かなりレベル、手法にバラツキがある。
人によっては、
「戦略広報は得意だがメディア人脈はあまりない」(男性の広報プロに多い)
「メディア人脈は多いが、戦略広報や切り口づくりは不得意で、ネタがないとメディア露出ができない」
「プレスリリースの作成は自身では一切やらない」
「メディア人脈がエンタメ領域など特定の分野に偏っている」
など特徴が様々なため、
その選考には自社の状況に最もフィットする個人を選ぶことが最重要であることは忘れてはならない。
広報PRを強化したい企業が取るべき方法・まとめ
・企業にとって広報・PRの重要性は増している。広報・PRを強化するには、(自社にノウハウがなければ)PRエージェントを活用する(外注)、PR経験者の正社員を採用する、広報・PRのプロ人材を採用する(業務委託)、という3パターンが取り得る選択肢。
・3つの選択肢では、成果をあげるための4つの要因のうち「メディアの人脈を構築しやすい」、「メディアリストも入手しやすい」、「若手の育成や広報体制の確立もしやすい」という3つを満たしやすい広報・PRのフリーランス人材が活用しやすい。
成果をあげるために必要な残りの1つの要因である「戦略広報や切り口探し」では3つのタイプごとには差はなく、属人的である。
・ただし、広報・PRのフリーランス人材は(その他のフリーランスと同様)、スキルのレベル、仕事の方法、得意分野、などが非常にバラツキが多く、この点はリスク。採用する眼が問われる。
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この記事を書いた人
- 大澤 亮
新卒で三菱商事(株)に入社後タンザニア駐在を経て退職し、慶應義塾大学経営管理研究科修士課程入学。
在学中に、日本初の証券会社比較サイトを創業し米国企業に売却、EC事業を設立し(株)サイバーエージェントに売却。卒業後は(株)ドリームインキュベータにて経営コンサルティングと投資業務を担当する。
その後、(株)土屋鞄製造所に移り取締役兼COOとして2年半で売上・利益を2倍とすることに貢献。同社退職後2009年に(株)Piece to Peaceを創業し、代表取締役に就任する。
2016年からマーケティング分野を中心としたビジネス界のプロ契約サービス「キャリーミー」を創業。2023年現在、パーソルホールディングス(株)・本田圭佑氏等から投資を受け、日本企業へのプロ契約の普及に努めている。
著書 「世界をよくする仕事で稼ぐ」 (プレジデント社より出版)新刊「プロに外注」