2022年度厚生労働省関連の助成金!昨年との変更点を社労士が解説!
2022/5/9
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新型コロナウイルスによる社会の不安が長引くなか、企業にとって事業を継続するための資金調達は喫緊の課題です。
特に、貸付ではない、返済不要な助成金制度は企業にとってはとても魅力的です。
毎年4月には、厚生労働省管轄の雇用・労働関係の助成金制度が発表されます。
今年は雇用保険財政の悪化もあってか、全体的に緊縮気味ではありつつも、政府が進めたい施策について新たな助成金が創設されるなど、強弱をつけた大きな変更がなされました。
今回は、2022年に要件変更された助成金を中心に解説していきたいと思います!
目次
2022年度に注目すべき助成金をピックアップ!
2022年度は、
・キャリアアップ助成金
・両立支援等助成金
・人材開発支援助成金(人への投資促進コース)
の3つの助成金が変更、発足されました。
今回は、この3つの助成金の概要と、東京都の企業限定の「東京しごと財団の働くパパママ育休取得応援奨励金」についてご紹介します。
2022年に変更された助成金|キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、有期契約労働者や短時間労働者、派遣労働者などのいわゆる非正規雇用労働者の企業内での正社員化やキャリアアップ、処遇改善の取り組みを実施した事業主に支給される助成金です。
例えば、<正社員化コース>では、有期契約労働者等を正社員に転換し3%賃金を上昇させた場合、中小企業では1人あたり57万円が支給されます。
助成金の中でも受給額が大きい正社員化コースは人気のあるコースでしたが、コースの一部廃止や、受給要件の難化など大幅な変更がなされました。
これまでキャリアアップ助成金を受給していた企業も継続して受給するためには賞与や昇給の仕組みの大きな変更、就業規則・賃金規程の見直しが必要になる可能性が高いです。
これまで受給していた企業様は今一度詳細の要件をご確認いただくことをお勧めします。
キャリアアップ助成金の変更点
① 有期雇用から無期雇用への転換コースが2022年4月より廃止
② 正規雇用労働者の定義の変更
正規雇用労働者の就業規則が適用されていることに加え、賞与または退職金の制度、かつ昇給が適用されていることが追加されました。
③ 非正規雇用労働者の定義の変更
転換前の非正規雇用労働者について、正規雇用労働者と異なる雇用区分の就業規則が適用されていることが必要になりました。
申し込み・詳細はこちら:キャリアアップ助成金|厚生労働省
2022年に変更された助成金|両立支援等助成金(出生時両立支援コース<子育てパパ支援助成金>)
従業員の職業生活と家庭生活の両立支援や女性の活躍推進等に取り組む事業主に支給される助成金です。
男性労働者が育児休業を取得しやすい風土作りに取り組み、かつ男性労働者に子の出生後8週間以内に開始する育児休業を取得させた事業主に支給されます。
両立支援等助成金の変更点
こちらも、支給額が昨年度57万円だったところ、20万円へと大幅に縮小されました。
また、昨年まで対象であった大企業は2022年度から対象外になっています。
新たに<第1種>、<第2種>の枠組みが追加され、<第1種>については休業者の業務を代替する労働者を新規雇用した場合は1人につき20万円支給される代替要員加算が新設されています。
<第1種><第2種>の枠組みは以下の通りです。
<第1種>(男性労働者の出生時育児休業取得)
男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境の整備措置を複数実施するとともに、労使で合意された代替する労働者の残業抑制のための業務見直しなどが含まれた規定に基づく業務体制整備を行い、産後8週間以内に開始する連続5日以上の育児休業を取得させた中小事業主に支給されます。代替要員加算:男性労働者の育児休業期間中に代替要員を新規雇用(派遣を含む)した場合の加算があります。
<第2種>( 男性労働者の育児休業取得率上昇)
第1種助成金を受給した事業主が男性労働者の育児休業取得率を3年以内に30%以上上昇させた場合に支給されます。
申し込み・詳細はこちら:両立支援等助成金|厚生労働省
2022年からの新しい助成金|人材開発支援助成金(人への投資促進コース)
「人への投資」を加速化するため国民の方からの提案を形にして2022年度から始まった新しい助成金です。
事業主が労働者に対して訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。
特にデジタルやIT分野の人材育成には高率の助成がなされます。
また、この「人への投資促進コース」を修了後に正社員化した場合は、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の加算対象になることも注目です。
A. デジタル/成長分野(高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練)
高度デジタル人材の育成のための訓練や大学院での訓練を行う事業主に対する高率助成を新設① 経費助成率75%<大企業60%>/経費助成率75%
② 賃金助成額960円<大企業480円>/賃金助成額960円(1時間あたり)
B.IT分野未経験(情報技術分野認定実習併用職業訓練)
IT分野未経験者の即戦力化のための訓練を実施する事業主に対する高率助成の新設(OFFJTとOJTを組み合わせた訓練)① 経費助成率60%<大企業45%>
② 賃金助成額760円<大企業380円>(1時間あたり)
③ OJT実施助成額20万円<大企業11万円>
C. サブスクリプション(定額制訓練)
サブスクリプション型の研修サービスによる訓練への助成の新設① 経費助成率45%<大企業30%>
D. 自発的能力開発(自発的職業能力開発訓練)
労働者が自発的に受講した訓練費用を負担する事業主への助成の新設① 経費助成率30%
E. 教育訓練休暇(長期教育訓練休暇等制度)
働きながら訓練を受講するための休暇制度や短時間勤務等制度を導入する事業主への助成の拡充① 経費助成額20万円
② 賃金助成額6000円(1日あたり)
1事業所が1年度に受給できる助成金の限度額は
・人への投資促進コース(成長分野等人材訓練除く):1500万円(※自発的職業能力開発訓練は200万円)
・成長分野等人材訓練:1000万円
と高く設定されています。
ほかの助成金と共通の受給要件に加えて、
・事業内職業能力開発計画を作成周知していること
・職業能力開発推進者を選任していること
・年間職業能力開発計画を提出した日の前日から起算して6か月前の日から支給申請書の提出日までの間に、特定受給資格者となる離職理由で離職した離職者が被保険者数の6%を超えないこと
などの要件を満たす必要があります。
また、フリーランスなどの業務委託で従事している人に対して、企業が助成金を受け取ることは、「事業者が雇用する労働者」という要件に当てはまりません。
今回ご紹介している助成金の対象となるのは雇用している従業員の施策に対して受け取ることが出来るものですので、注意しましょう。
申し込み・詳細はこちら:人材開発支援助成金|厚生労働省
【東京都の企業限定】東京しごと財団の働くパパママ育休取得応援奨励金
東京都の企業様限定で厚生労働省関連ではありませんが、東京しごと財団の働くパパママ育休取得応援奨励金についてご紹介します。
給付される内容は、働くママコースとパパコースに分かれています。
ママコースは、女性従業員に1年以上の育児休業を取得させ、就業継続しやすい職場環境を整備した中小企業に支給されるものです。
比較的取り組みやすい施策を講じることで125万円と高額な受給金額がもらえる可能性が高く、非常におすすめです。
パパコースも、男性の育児休業取得者がすでに発生している場合や、今後予定されている場合、育児休業取得日数に応じ、25万円~上限300万円まで受給できる可能性があります。
どちらも比較的要件も厳しくなく、取り組みやすいものですので、おすすめです。
申し込み・詳細はこちら:働くパパママ育休取得応援奨励金|東京しごと財団
社員の教育やスキルアップを図るなら、プロ人材の活用もおすすめ
社内の課題解決のために、コンサル会社や代理店に頼るケースもあるかと思いますが、課題解決のためのソリューションや知見が社内に残らないということをデメリットに感じる事も多いのではないでしょうか?
キャリーミーのプロ人材は、直面している課題の解決だけでなく、長期的な社員の教育にも活用されています。
社内の人材のスキルを高めながら、プロ人材のスキルで課題解決も行っていくという方法は、多くの企業でも導入されています。
おわりに|助成金について積極的な情報収集を!
厚生労働省関連の助成金にはいろいろな種類があり、毎年のように新設や変更が加えられます。
積極的に情報を収集しなければ見逃してしまうようなものも多くあります。
また、申請書類の準備や申請期限などが厳格に設定されており、不備があると受給できなくなってしまうことも。
実際の申請には専門家の助けを借りながら申請することが近道です!
最後に、助成金の不正受給は厳しく処罰されます。
不正受給が発覚した場合には受給額の返還に加え、事業主の名称、代表者氏名等が積極的に公表されるなど処罰は厳格化しています。
助成金の本質的な意味を見失うことなく、自社の受給要件に合う助成金を、正しい形で選択し、適正な申請を行いましょう。
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この記事を書いた人
- 寺島 有紀
寺島戦略社会保険労務士事務所 所長 社会保険労務士。
一橋大学商学部 卒業。
新卒で楽天株式会社に入社後、社内規程策定、国内・海外子会社等へのローカライズ・適用などの内部統制業務や社内コンプライアンス教育等に従事。在職中に社会保険労務士国家試験に合格後、社会保険労務士事務所に勤務し、ベンチャー・中小企業から一部上場企業まで国内労働法改正対応や海外進出企業の労務アドバイザリー等に従事。
現在は、社会保険労務士としてベンチャー企業のIPO労務コンプライアンス対応から企業の海外進出労務体制構築等、国内・海外両面から幅広く人事労務コンサルティングを行っている。
2019年4月に、「これだけは知っておきたい! スタートアップ・ベンチャー企業の労務管理――初めての従業員雇用からIPO準備期の労務コンプライアンスまで この一冊でやさしく理解できる!」を上梓。
寺島戦略社会保険労務士事務所HP: https://www.terashima-sr.com/
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