キャリーミーでプロとしてのキャリアが広がる

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第12章 挑戦は続く。誰も見たことのない景色を求めて

大澤亮

大澤亮

1972年、愛知県生まれ。早稲田大学時代に両親から留学に反対され、自腹で米国に留学(カリフォルニア州立大学サンバーナーディーノ校→ U.C.バークレー)
2009年、株式会社Piece to Peaceを創業し代表取締役に就任。2016年、プロ人材による課題解決事業“CARRY ME(キャリーミー)“を創業。

現在でこそ「上位5%」と評されるまでになったが、もちろん、傷ついた組織は一朝一夕に再生したわけではない。内部崩壊の危機を乗り越え、新しいフィロソフィーが浸透し、組織としての足腰がようやく回復してきた頃。
私たちは、次なるステージへ進むための「反転攻勢」の準備を静かに進めていた。

内向きだったベクトルを再び外へ。その最初の狼煙(のろし)となったのが、2023年10月の書籍出版だった。

タイトルは『プロに外注 売上最大化、リスク最小化の新常識』(クロスメディア・パブリッシング)。これは単なるノウハウ本ではない。私たちが9年間叫び続けてきた「プロ人材活用」という新たな経営手法を、改めて世の中に問う挑戦状でもあった。

その反響は、私の予想を遥かに超えた。

ある日、岐阜県で不動産業を営む社長がわざわざ東京のオフィスまで訪ねてきてくれた。

「大澤さん、本を読みました。地方で採用に苦戦していた私たちが求めていたのは、まさにこれなんです」

熱っぽく語るその社長の姿を見て確信した。私たちが灯した火は、東京のベンチャー界隈だけでなく、日本の隅々で課題を抱える経営者たちの元へ確かに届き始めているのだと。

その熱は大手企業をも巻き込んでいった。年が明けた2024年の3月。東京・代官山の蔦屋書店で出版記念イベントを開催した時のことだ。登壇してくれたのは、ゴディバジャパン、プラザスタイル(旧ソニプラ)という、誰もが知るブランド企業の担当者たちだった。

「なぜ、大企業がプロ人材を使うのか?」

華やかな会場で繰り広げられる彼らとの対話は、プロ人材活用がもはや「人材不足の穴埋め」ではなく「企業の成長戦略」へと昇華したことを何よりも雄弁に物語っていた。

かつて名刺を出しても「キャリーミー?引っ越し屋さんですか?」と言われた日々が嘘のようだ。

組織の再生とともに私たちは今、確実に時代の潮目を変えつつある。

蔦屋書店で開催した出版記念イベント。ゴディバ・阿部邦昭様(左)、プラザスタイル・岡芹尚吾様(右)にご登壇いただいた。

最強のカスタマーサクセスチームを作り上げる

その潮目の変化は、単なる知名度の向上だけではなかった。プロ人材の「活用され方」そのものが、劇的な進化を遂げ始めていたのだ。

これまでプロ人材の活用といえば「週に何時間に、この業務をお願いします」という「個」の切り売りが主流だった。だが、ここ数年でその景色は一変した。

「マーケティング部門を丸ごとお願いしたい」
「新規事業の立ち上げをチームで任せたい」

業務委託による「チーム単位」での依頼が急増し、その数は3年前の3倍にも膨れ上がっている。

企業は単なる人手不足の解消ではなく、面倒なマネジメントごとお任せできる「成果直結型の機能」を求め始めているのだ。

この変化に対応すべく、私たちは長年の課題であった既存顧客へのフォロー体制も抜本的に見直した。

お恥ずかしい話だが、私たちは創業以来、新規開拓に追われ、既存のお客様を4〜5年も放置してしまっていた時期があった。その反省から立ち上げたカスタマーサクセス(CS)チームの活躍により、今では1社で20名ものプロ人材を活用し、全社員の10%をプロ人材が占めるという企業まで現れている。

最長で7年も契約が続く事例も生まれ、キャリーミーの経営基盤はかつてないほど盤石なものとなりつつあった。

「伝説のプロ人材」との出会いで通期黒字化を達成

そんな上昇気流の中で、私は一人の「伝説」とも言える男に出会うことになる。

2023年のある日、何気なく開催したプロ人材とのランチ交流会でのこと。人からの紹介で現れたその男性と話した瞬間、私は背筋が震えるのを感じた。

彼はマーケティングの最高責任者(CMO)でありながら、技術の最高責任者(CTO)ものスキルを併せ持つ、極めて稀有な「スーパープロ」だった。マーケティングで市場を読み解きながら、それをテクノロジーで実装し、さらには上場企業の株価対策(IR)まで語れる。

そんな人材は、正社員市場を探してもまず見つからない。

「この人は、本物だ」

私はすぐに彼に協力を仰いだ。彼はキャリーミーのアドバイザーとしてだけでなく、私たちが紹介した先の企業でも圧倒的な成果を出し続けた。彼が他社で活躍すればするほど、エージェントである私たちにも利益が還元される。

ウソのような話だが、キャリーミーが創業以来の悲願であった「通期黒字化」を達成できた決定打は、実はこの一人のスーパープロの爆発的な活躍によるところが大きかったのだ。

たった一人のプロフェッショナルが、企業の運命すら変えてしまう。まだまだ世の中には、私たちの知らない「埋もれた才能」が眠っている。

この出会いは、私に改めて「プロ人材」という存在の底知れない可能性を確信させるものだった。

100億の壁、そして新たな師

時を同じくして、私たちスタートアップを取り巻く風向きも大きく変わり始めていた。ベンチャーキャピタルや経営者の間で「時価総額100億円問題」という言葉が飛び交うようになったのだ。

東証グロース市場において、時価総額が100億円に満たない企業は市場から淘汰されるべきである――。

ざっくり言えば、そんな厳しい基準が突きつけられるようになったのだ。

正直に言えば、それまでの私は「上場(IPO)」そのものをゴールのように捉えていた節がある。株主のためにも、まずは上場すればいいのだろうと。

だが、この「100億円」という数字は私の甘い目線を叩き直してくれた。上場が遠のいたと嘆く声もある。だが私はこれをポジティブに捉えた。単なるスモールIPOではなく、社会に本質的なインパクトを与える規模までスケールしなければ、上場する意味などないのだと、覚悟が決まった瞬間だった。

高い壁を越えるにはより高い視座が必要になる。2025年9月、キャリーミーはそのための強力な羅針盤を手に入れた。

大和証券の元専務・丸尾浩一氏を、キャリーミー経営アドバイザーとして迎えたのだ。

数多のIPOを主幹事として統括してきた彼がもたらしたのは、経営ノウハウだけではない。彼を通じて、私はこれまで出会うことさえ叶わなかった「何兆円規模」の世界を知る財界人たちと席を交える機会を得た。

彼らと話していると、私はある種の「恐怖」に似た感覚を覚える。自分は、経営について何も知らなかったのではないか。このビジネスの世界はどれほど奥が深いのか。見えない世界の広大さに足がすくむ。

だが、それ以上に心の底から湧き上がってくるのは「楽しさ」だ。知らないことがあると知ることは、まだ成長できる余白があるということだ。

経営者歴17年。ベテランと呼ばれる時期になってもなお、私は日々無知を恥じ、学び、脱皮し続けている。私が成長すれば会社はもっと大きくなれる。その確信が、今の私を突き動かす最大のエネルギー源なのだ。

キャリーミー経営アドバイザーに就任した丸尾さんと。

ビジネスで「1億円プレイヤー」を生み出していく

この挑戦の旅路の果てに、私にはどうしても見たい景色がある。

ビジネスの世界から「1億円プレイヤー」が誕生する瞬間だ。

プロスポーツの世界では、トップ選手が数億、数十億円という報酬を得ることは珍しくない。彼らは子供たちの憧れであり、夢そのものだ。ならば、ビジネスの世界にもそんな夢があっていいはずだ。特定の企業に属さず、己の腕一本で企業の難題を解決し、その対価として1億円を稼ぎ出す。

そんな「スーパースター」を、キャリーミーから輩出したい。

そのためには、プロ人材自身も変わらなければならない。「時給」という概念を捨て、自分が企業のどんな深刻な課題を解決し、どれだけの付加価値を生み出せるのか。その「価値」を自ら定義し、堂々と値付けできる本物のプロフェッショナルだけが、この夢をつかむことができるはずだ。

私たちキャリーミーもまた、変わり続ける。挑戦とは、成功するためだけにするのではない。たとえ失敗したとしても、その経験は必ず「魂の成長」へと繋がっている。それを知っているからこそ私たちは恐れることなく、誰も足を踏み入れたことのない荒野へと進んでいける。

「挑戦できる人、挑戦できる会社を増やす」

そのビジョンの先にある、まだ誰も見たことのない景色を求めて、キャリーミーと大澤亮の挑戦はこれからも終わることなく続いていく。

(了)
編集協力・木村公洋