土屋鞄の元役員がはじめて語る土屋鞄の売上、利益が急成長した本当の理由

堀江氏の「人材のシェアリング」は言い換えれば、個人のスキルの「お裾分け」 ~「副業」を社会で広めるための施策案~

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ここまで人材のシェアリングは進んでいる!

「すずかん、ホリエモンが語る、人材もシェアリングする未来」

という記事が話題になっている。
未来ではなく、現在、既に人材はリアルに、シェアされている。

今回の記事では、「プロ人材のシェアリング」を2015年から進めている弊社が、
・シェアリングがどこまで進んでいるかの現状、
・その理由・背景(企業と個人側の理由)、
・企業と個人の対策案 (そうした時代の中で企業と個人の対処すべき具体的アクション)

を記事にしてみたい。

キャリーミーでは、「プロ人材のシェアリング」サービスを2015年から手掛けている。

主に業務委託契約で成果を出せる個人事業主、子育て中のキャリアウーマン、起業家が月間200人増ペースで、約1800人(2018年3月時点)集まり、個々が企業で業務委託契約をベースに週1~4回の「出社」と「在宅」を組み合わせながら稼働している。

こうしたケースはここ1年で相当急増した感じがしたが、調べてみると、個人の登録者数も取引先数も1年間で5~6倍に急増し、取引先数は350社を超えている。

早速、プロ人材のシェアリング事例を見てみよう。

1. 30代半ば男性が起業準備の傍ら週2回月50万円で、Webメディアの開発・支援会社を支援!

こちらのWebメディアの開発・支援会社では、「コンサルティングができ、Webマーケティングもできる方を推薦して欲しい」という難しいリクエストを頂いた。

推薦する個人を見つけることは難しい状況だったが、1人、外資経営コンサルティング会社での経験があり、WebマーケティングのプロとしてはDeNA等で幅広く経験を積んでいた、こちらのプロ人材が登録していたため、即決定となった。

ちなみに、このプロの個人は、週2回このような形で稼働して収入を確保しつつ、土日含めた残りの週5回で個人のサービス開発を進める、という「起業を視野に入れた働き方」をしたいとの個人だった。

2. 60代男性が「レンタル営業部長」的に週2回月20万円で大活躍中!

こちらの個人の方は、IT系外資での営業マネジャー経験が豊富で、IT、営業両方に精通したプロだった。企業側(SESを主要業務とする企業)で、「レンタル営業部長」的な関わり方で業務委託契約を締結、大活躍中である。

ちなみに、同社には、同様に週2,3回働くプロの個人を3ヶ月で5人も採用頂き、事業責任者からは「皆さん本当にプロで、仕事が嘘のように進む進む・・・」とのコメントを頂いている。

他、

・弊社からの紹介だけで1人で4社も広報・PRを担当している広報PRプロの女性
・週3回営業のプロとして稼働開始1ヶ月後には成果を出し業務委託契約ながら「マネージャー」に昇格した男性
・リクルートでの数々のWebメディアの運用経験を活かして、Webマーケティングのプロとして、1社には月1,2回のアドバイザー的な役割で参画、もう1社には週1,2回のオウンドメディア構築・運営の責任者として参画している女性(いずれもITスタートアップ)

など様々なプロ人材のシェアリングがいたるところで行われている。

個人の報酬額もスキルや個人の希望、企業の予算などによってバラバラである。

人材のシェアリングとは、個人にとっての「スキルのお裾分け」だ! 副業解禁より「お裾分け歓迎」の空気の醸成を!

さて、「人材のシェアリング」というと、人も自動車や、スペースのシェアリングのように、「物のように扱っている」とお叱りを受けることもあるが、人材のシェアリングは、個人側の視点からすれば、いわば「スキルと経験のお裾分け」である。

個人が複数の企業など法人に対しスキルのお裾分けを実施すると、

・個人は、報酬アップ、更なるスキルアップ、やりがいと人脈増強を獲得でき、
・企業は、人材不足解消、社内でのノウハウ蓄積というメリットを享受でき、
・社会としても、子育て中の女性や、フリーランスなどのリソース配分の最適化がなされるため、より豊かな社会になる

と、いいこと尽くしである。

余談になるが、企業も「副業」などという言い方をするから、ネガティブなニュアンスが伴い、大手企業ではなかなか広まらない、と個人的には思っている。

「副業解禁」などと呼ばず、「お裾分け歓迎!」と呼ぶ方が、「自分が培ったスキルや経験の一部を世の中に還元していきましょう」という空気が醸成され、広まりやすいのではないか。

副業、というと、殆どの会社が自社への申請を条件としていて、個人は罪悪感を感じやすいのではないか・・・

もう、副業解禁の流れは止まらない。

どうせ、副業が一般的になるのであれば、ネガティブなニュアンスで一般的になるより、「お裾分け」的なポジティブな社会への還元という要素をもって広まった方が企業も個人もお互い気持ちよく働ける。

さて、話を戻すが、なぜこのような「プロ人材のシェアリング」が現実に広まってきたのか。

以下、企業側の事情を考えてみよう。

企業側の事情:採用時に高度な要件を求める結果、「人の採用」より「スキルをピンポイントで採用する」方法が人気に

1. 企業が採用時に人材に求める要件が高度化し、結果、人より「スキル」の採用という傾向に

2017年8月に『経営者・人事役職者のための「未来の戦略的採用」を考える』というテーマでの一橋大学教授の守島先生の勉強会に参加した。

そこで、興味深かったのは、

「企業が採用時に、人材に求める要件が高度化してきている(だから余計に採用しにくくなっている)」 

というお話だ。

確かに、「オウンドメディア立ち上げの経験があって、SEOにも詳しくて、編集業務の経験もある30代。B向けオウンドメディアの経験があると尚良い」
といった高度な要件を求める正社員募集の求人は増えている気がするが、一方で、「本当に正社員で採用できるのか」という疑問もある。

(そんな正社員がどれだけ転職市場にいるか、という確率の課題と、仮にいたとして年収1000万円クラスになるそうした人材をどれだけの企業が採用できるか、という企業予算の課題がある。)

こうした求められるスキルが複数あり、ハードルが高い場合に、「人」というより、ピンポイントで「スキルを採用する」、つまり業務委託契約で業務の一部を切り分けて(労働ではなく)個人に発注する、という形が増えているのである。

2. VUCAの時代に日本での雇用、特に終身雇用は企業にとってはリスクが大きい

※VUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)という4つのキーワードの頭文字から取った言葉で、現在の経営環境や個人のキャリアを取り巻く状況を意味している。

このような不確実性が高い時代に、人材を雇用し、解雇できないという日本のシステム上では特にリスクが高いという事情がある。

3. 転職の流動性は相変わらず低い上に、労働人口減

皆さんご存知の通り、労働人口は急減していく。

そもそも転職の流動性が低い日本で、2060年までに2000万人の労働人口がいなくなるという、人口構造上、人口急減がほぼ確定した未来予想の中で、企業は「雇用以外の選択肢」も探らなければいけない時代にきている。

4. これからは「人、人、人」の時代

経営コンサルタントであり実業家でもある大前研一氏がよく話しているように、これからは「人、モノ、カネ」ではなく、「人、人、人」の時代になっている。(モノやカネはいくらでも調達できる時代になってきている)

人を採用する選択肢の1つとして、正社員や派遣といったこれまでの枠組み以外でも考えなければいけない、ということである。

個人側の事情は、別の記事で詳細掲載するが、やはり、上述の通り、スキルのお裾分け、複数社でスキルや経験を提供していると、報酬も高くなり、スキルも更に向上し、やりがい・人脈も増える、という一石二鳥も三鳥にもなることが大きい。

こうしたスキルが高いプロ人材が、勤めてきた会社を退職し、複数社で稼働する、言い換えれば、複数社からの仕事が集中することは、極めて自然なことであろう。

さて、こうした背景、現状を踏まえて、企業はどうすべきか。

企業が、人材の採用の前に考えるべき3つのこと/まずは「本当にその業務に正社員が必要か」疑うことが重要

企業は、人手が足りないから「すぐに正社員の採用を!」と考えて、採用の施策にいきなり手を出す前に、考えるべきことが3つある。

1. 自社でまず優秀な人材の採用の前に、自社の業務を整理すること

正社員を採用する前に、「本当に正社員を採用する必要があるのだろうか」と疑い、業務や要件を整理することが必要だ。

何でもかんでも正社員にやらせては社員は業務過多で疲弊し、企業もブラックだという噂が広まり、採用が更に難しくなり・・・と負の連鎖となり、良いことは一つもない。

・「他社に効率よく外注すべきこと」
・「派遣社員で対応すべきこと」
・「フリーランスや個人事業主等のプロの個人にオフラインで業務を委託すべきこと」
・「クラウドソーシングで対応すべきこと」
・それから「正社員が対応すべきこと」

といったように業務を切り分ける必要がある。
この分け方については、別途記事化していきたい。

このように自社の業務を整理し、どの業務をどういう人に仕事をしてもらうか、という観点が必要だ。

2. 自社で「働く人にとっての魅力」をどこに置くかの設計、「どう伝えるか」を徹底的に考えること。

人、人、人の時代であれば、優秀な人材が集まるよう、自社の魅力を伝えることが何より重要となる。

特にスタートアップは大手企業ほど採用予算もかけられないはずなので、正社員でもフリーランスでも優秀な人材を惹きつけようとするのであれば、

「何が魅力なのか」もしくは「これからどういう魅力にしていくべきか」を考え、採用のために「どう伝えていくか」の2点を徹底的に考え抜かなかければいけない。

この2点を徹底的に磨くことによって優秀な人材を各段に確保しやすくなり、かつ、安く活用できるようになる。

「どういう業務内容や企業であれば、優秀な人材はスキルのお裾分け(スキルの提供)をしたいと考えるか」という視点で考えるべきであろう。

実は、同一人物の、同じ時間を活用するのでも、単価が違うことが、よくある。

プロ人材も「この業務であれば魅力的なので、小遣い程度でも是非携わりたい」というケースと、「この業務は●●万円以上でないと時間を使う価値がありません」というケースがあり、業務の魅力によって企業にとってはコストが変わってくるのである。

業務委託契約をベースに働く個人事業主やフリーランスも、報酬を貰えるからといってどの企業にでも「自分の大切なスキルのお裾分け」をしたいと思うわけではなく、優秀なプロ人材ほど「企業や業務を選ぶ時代に」なってきている。

個人のスキルのお裾分けとは、言い換えれば、個人の時間のシェアリングでもある。

時間の価値観が高くなってきている時代に、「自分の時間をどこに割くべきか」、ということを優秀なフリーランス・個人事業主も考え始めてきている。

3. 「採用はマーケティング」と捉え、人事部採用担当の役割と、配置を見直すこと

企業の人事の方は、「真面目でしっかりと業務はこなすが、自社の魅力を考え、適切な候補者にうまく魅力を伝えていくことには不向き、という方が多い。

採用業務はますます企業にとって重要な役割であり、「採用はマーケティングである」、ということを考えると、これまでの「人事」の枠組みから離れて、自社での人材の配置も見直す必要があるだろう。 

人事経験があるから人事部に配属、ではなく、マーケティング出身、営業出身のスタッフを人事に配置することも考えるべきだと思う。

これまでのやり方を踏襲し、なんとなく求人媒体にのせるだけでは優秀な人材を獲得できないのは明らかである。

一方、個人側がこうした時代に対処すべきことは、VUCAの時代、人材のシェアリングが進む時代には、いつリタイアしても稼げるように、スキルや経験を「高い報酬でお裾分けできる」、つまり部分部分で、スキルの切り売りをできるように準備しておくことが大切だ。

このあたりは、別の記事でも沢山コメントしてきたので今回は割愛したい。

まとめ

・プロ人材のシェアリング、個人のスキルの複数社への「お裾分け」が広がっている
・「個人のスキルのお裾分け」的なニュアンスが広がると、副業もより一般的になる。
・VUCAの時代、プロ人材のシェアリングが当たり前になる時代に企業が採用を考える際にすべきことは、以下:
①自社でまず優秀な人材の採用の前に、自社の業務を整理すること
②自社で「働く人にとっての魅力」をどこに置くかの設計、「どう伝えるか」を徹底的に考えること。
③「採用はマーケティング」と捉え、人事部採用担当の役割と、配置を見直すこと

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この記事を書いた人

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大澤 亮

新卒で三菱商事(株)に入社後タンザニア駐在を経て退職し、慶應義塾大学経営管理研究科修士課程入学。

在学中に、日本初の証券会社比較サイトを創業し米国企業に売却、EC事業を設立し(株)サイバーエージェントに売却。卒業後は(株)ドリームインキュベータにて経営コンサルティングと投資業務を担当する。

その後、(株)土屋鞄製造所に移り取締役兼COOとして2年半で売上・利益を2倍とすることに貢献。同社退職後2009年に(株)Piece to Peaceを創業し、代表取締役に就任する。

2016年からマーケティング分野を中心としたビジネス界のプロ契約サービス「キャリーミー」を創業。2023年現在、パーソルホールディングス(株)・本田圭佑氏等から投資を受け、日本企業へのプロ契約の普及に努めている。
著書 「世界をよくする仕事で稼ぐ」 (プレジデント社より出版)

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