経営者の採用に対する本音をインタビュー

自走できない人は不要!世界に向けてイノベーションを起こす経営者の本音とは

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経営者から事業や採用についての本音を直接インタビューするこの企画。第5回は、事業共創プラットフォームの運営や社内ベンチャーや新規事業やオープンイノベーションなどのコンサルティングを行ない、パートナーやクライアントの企業とともにイノベーションをつくっていく株式会社Relicの代表取締役CEOを務める北嶋貴朗さん。日本の企業からイノベーションが起きない理由と課題や、大手からベンチャーまで数多くの企業を裏で支える企業が必要としているプロ人材についてまで、本音を語ってもらいました。

日本の企業はもったいない! 日本の現状を見てRelicを立ち上げた想いとは

新規事業が生まれにくく、育ちにくい日本の現状を変えたい

この企業を立ち上げる前は、DeNAで主にゲーム以外の領域での新規事業開発や、大手企業との共同事業の立ち上げや事業運営の責任者をやっており、その前は新規事業開発に特化した経営コンサルティングファームで大手企業からベンチャー企業まで、様々な企業の新規事業開発の支援を行なっていました。

その中で感じたのは、「日本の企業は新規事業を立ち上げるのが下手」だということです。良いアイディアや熱い想いを持っている方は少なからずいるのですが、実現までに社内で多くのハードルがあってなかなか実現しなかったり、実現したとしても短期的な成果を求められたすぎた結果、まだ可能性がある事業でもすぐにクローズされてしまう場面を何度も見てきました。このように非常にもったいないと思う場面も幾度となくあり、「なんとかしなければいけない」と感じたのが創業したきっかけの一つです。

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そのため弊社では、パートナーやクライアントの企業の方々と一緒に「事業を創る事業」を行なっております。その中でも大きく2つに事業が分かれまして、1つがオープンイノベーションの支援や社内ベンチャー制度・新規事業創出プログラムの設計や運用、新規事業開発コンサルティングやグロース支援、UXデザインやシステム開発などのソリューション事業です。

例えば、大手の企業でベンチャーと同じようなスピード感やアプローチで事業開発を行うのは難しいので、その企業とは別個体でベンチャー同様に動ける組織を作るよう推進・支援したりしています。別組織で大元の企業の名前を隠しながら活動すれば、失敗しても企業ブランドに傷をつけることなく、決裁フローなどを簡略化して事業における意思決定や推進のスピードも大幅に高めることができますし、事業が成功すれば回収して自社の事業として発展させることができます。

このように、リスクを取りつつもその企業のためになるような制度を作っています。その他にも、大手企業とベンチャー企業の共創による事業開発の仕組み作りや、各々の新規事業開発における立ち上げや成長フェーズにおける事業企画からデザイン、サービス設計やシステム開発までを一気通貫で支援しています。

クラウドファンディングでユーザーの声を元にした製品を

もう一つの事業が事業共創プラットフォーム事業で、事業の構想/技術のフェーズから、事業化フェーズ、成長拡大フェーズまでをカバーする複数のWEBサービスやデータベースを提供しています。例えば、事業化フェーズにおけるテストマーケティングやPR/プロモーションを支援する場として使用しているのが、日本経済新聞社などの大手メディアと共同事業で運営する購入型クラウドファンディングのプラットフォーム「ENjiNE(エンジン)」です。

例えば大手企業の場合、合議制の社内会議ではなかなか通りにくいような尖ったコンセプトの商品を、このプラットフォームに出して実際にユーザーの反応を見る場所として活用しています。これにより、可能性のあるアイデアが進捗せずに、世に出る前に消えてしまう事態を防ぐことができます。社内で会議を重ねる前にまずは一度ユーザーの声を聞いてみる、これが既存事業とは異なる、新規事業開発において重要なテストマーケティングです。クラウドファンディングは現代の新しいテストマーケティングの在り方と言えるかもしれません。

日本でイノベーションを起こすために、Relicができることと今の企業に求められることとは

新規事業に必要なのは、しなくても良い「失敗」を防ぐこと

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新規事業の開発においては、確実に成功する法則というものはないためケースバイケースな部分も大きいです。そのため我々でもコントロールが難しい点もあるのですが、「失敗する進め方」「失敗時に取り返しのつかないダメージを追う進め方」は確実にあり、それを事前に防ぐ、新規事業における不確実性のマネジメントは我々が大切にしているところです。先ほどお話した、事業性の確認やテストマーケティングがそれにあたります。

BtoCの事業の場合はクラウドファンディングなどを利用してターゲットの反応を見ることができるため、不要な失敗を防ぐことにつながりますし、BtoBの事業であっても、事業性を検証するためのプロトタイプ制作や、トライアル・テストマーケティングは非常に重要です。

既存の企業文化や評価制度では、イノベーションは生まれない?

評価制度なども含めて、日本の社内組織自体が新規事業を起こしづらい環境ではあると思います。例えば、いままで一般的な企業が新規事業を起こそうとした場合、事業に投資するという判断や決裁に至るまでに、調査に調査を重ねて、導入のリサーチ部分や、企画・検討フェーズにお金をかけたりしていたんですよね。

ただ、どれだけ時間やお金を投資しても、新規事業は既存事業とは異なる、これまでにない市場や事業への挑戦であり、最終的にはやってみなければわからないことや把握できないことだらけの未知の領域ですので、成功確率を高めることはできません。

そのため、ここにお金や時間を大量に投資するのは得策ではなく、まずはやってみて、市場の反応を見る、という実行フェーズと、実行した結果を踏まえて高速でPDCAを回して改善やピボットを繰り返していくフェーズにこそ投資するべきだと、我々は提案しています。事業性を検証するためのKPIやマイルストーンを適切に設計した上で、まずは市場に出してみて、それを達成したら事業化や追加での投資を検討し、もしKPIを達成しなければ開発を取りやめるなど、そもそものプロセスから手を加えています。

他にも大手企業の新規事業開発がうまくいかない理由として、人事の評価制度があります。既存の評価制度では、基本的には売上の大部分を占める既存の事業をしっかりとオペレーションできる人が採用され、評価される仕組みになっているんですね。そのため、既存事業の売上の大きい大手企業ほど、企業内に新規事業開発向きの人材が少ない可能性があります。

社内でエースとして高く評価されている人も、あくまで既存事業に関するエースなので、必ずしもその人が新規事業開発には適していないというケースも多いんですよね。 そういった環境を、その企業にあった方法で改善して支援するのも、我々の役目の一つだと考えています。

1人ひとりが関わる事業に責任を持つ。Relicが求めるプロ人材と目指すチームの形とは

下請けではなく、当事者意識を持ち、自走して動くことがプロ人材には必須

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おかげさまで、最近新規事業開発やオープンイノベーションに注力される企業が増えていて、多くのご相談や引き合いをいただくのですが、それに応えるための人材が足りていません。いま弊社に関わっている人は30名ほどですが、CARRY MEから来ていただいている方含め、業務委託の方にもご協力をいただいています。

業務委託の方に関しても、スキルがあれば誰でもいいわけではありません。指示待ちになったり下請けのように働く方も多く、そういった方は弊社にとってはスキルがいくらあったとしても不要人材ですね。スキルとして足りない部分はチームで補うことができますが、事業に対する当事者意識は他のチームメンバーでは補うことができませんので。

逆にプロ人材という点でいえば、「自分の関わった事業を絶対に成功させるぞ」という当事者意識が一番大事になりますね。スキルは大事ですが、案件によって求められるスキルは大きく異なることもあります。それよりは、その事業のために能動的に考えて自走すること、それにより絶対に成果を残す姿勢の方が大切ですね。これは正社員、業務委託の方同様に求めることです。

お互いがメリットを得ることができるいい関係性を作る

業務委託の方にお任せするメリットとして、1つはハイエンド層の方とお会いできることがあげられます。採用市場にはあまりいないような方に即戦力としてお仕事をお願いできるのはメリットです。他にも、同じ会社に勤めていると人脈やスキルが自然と限られたものになる場合があるのですが、フリーランスの方が他で培った人脈などを活かしたり前の案件で培ったスキルを活用・社内に共有していただけるというのがあり、会社自体の成長にも繋がります。

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その分、弊社からもご依頼する方に成長できる環境は用意するようにしていますね。フリーランスの方ですと、現在あるスキルを切り売りしているだけで自身に成長が見られないという声はよく聞きます。そういった自覚のある方から、弊社の社員と意見交換を行なったりチーム内でインプットを増やしたりできたことで勉強になった、成長につながったという話もいただいたことがあります。

最近ですと、プロジェクトマネージャーとして入られている方が、マネジメントのさらに上流、ビジネス設計の経験などがあまりなかったのですが、足りない部分を弊社のメンバーがマネージャーとして入っていろいろ教えながらチームとして動いていましたね。最初はその方には弊社のメンバーを2人バックアップとしてつけていたのですが、現在はクライアントからの反応も良く、1人でプロジェクトを回してもらっています。

信頼をすることが成果にもモチベーションにもつながる

弊社では業務委託の方が多いのもそうですが、他社と比較して社員の自由度が高いのも特徴です。勤怠管理は特にしていませんし、副業も認めています。そのため、仕事をサボろうと思えばサボれる環境とも言えるのですが、その心配は特にしていません。全員がプロ人材であり、自分の事業やプロジェクトに対して当事者意識を持っているので、それを信頼しています。

実際に私が管理していなくても、みんな頑張って取り組んでいるので、僕としては頑張り方を間違えていないかなど、大枠の部分だけ確認するようにしています。この環境が社員にとっても良いのか、創業して2年半ですが、まだ退職者は1人も出ていないですね。この話は他の企業の代表にはよく驚かれます。

いまRelicが求めているプロ人材と与えられる環境とは?

基本的に我々は自己資本で事業を行なっているので、自由かつ適切にリスクをとり、スピード感を持って動ける、色々なことにチャレンジできる環境は整っています。実際、我々が入らなければ動いていなかった大型の案件も多数あったのではないかと自負しています。それに加えて、基本的に下請け仕事ではなく事業開発のパートナーとして依頼をいただいたり、時には双方でリスクを取って共同事業として開発し、レベニューシェアで展開することも多いので、やらされてる感が全くないのは魅力の一つだと思います。正社員と業務委託の方で関係もフラットなので、主体的に動ける方であればプロジェクトの責任者も任せていきたいと思っています。

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いま現在、どのポジションも人が足りていないのですが、手数ではカバーできないような業務、プロジェクトマネージャーや事業プロデューサーの方は特に必要としています。一定のITリテラシーと事業開発に関わるスキルや経験を持った優秀な方がいないとプロジェクトを回すことができないので、非常に困っていますね。日本発の新規事業を開発して発展させたいという熱い想いがあり、成果にコミットしていける方とぜひ一緒にイノベーション創出に向けて働きたいと思っています。

インタビューした人

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大澤 亮

5度の事業立ち上げを経験し、過去に2度事業売却したシリアルアントレプレナー。
1996年に新卒で三菱商事株式会社に入社、タンザニア駐在経験(ODA担当)を経て、帰国。同社退職後、1999年に慶應義塾大学大学院(経営管理研究科修士課程)に入学と同時に起業、2度売却。(日本初の比較サイトを創業し米国企業に売却、EC事業を設立しサイバーエージェント社に売却)

その後、株式会社ドリームインキュベータに入社し、大手企業とベンチャー企業両方の経営コンサルティング、ベンチャー企業投資も担当。同社退職後、土屋鞄製造所に取締役兼C.O.O.として入社し、2年で売上20億円から45億円、経常利益も2倍以上にして退職。その間、人事担当役員として数百人を面接。

2009年 株式会社Piece to Peaceを創業、2013年にスキルのマッチングプラットフォームshAIR(シェア)を創業し、会員1万人に。2015年には、週2、3回で業務委託契約で働くプロ人材(助っ人プロ)と、人手不足の企業の仲介サービス「CARRY ME」のコンセプトを立ち上げ、1年で黒字化達成。300人以上の経営者や人事担当者から採用の相談にも応じている。
著書 「世界をよくする仕事で稼ぐ」 (プレジデント社より出版)

アカデミーヒルズ(六本木)等での講演多数。

この記事を書いた人

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大澤 亮

5度の事業立ち上げを経験し、過去に2度事業売却したシリアルアントレプレナー。
1996年に新卒で三菱商事株式会社に入社、タンザニア駐在経験(ODA担当)を経て、帰国。同社退職後、1999年に慶應義塾大学大学院(経営管理研究科修士課程)に入学と同時に起業、2度売却。(日本初の比較サイトを創業し米国企業に売却、EC事業を設立しサイバーエージェント社に売却)

その後、株式会社ドリームインキュベータに入社し、大手企業とベンチャー企業両方の経営コンサルティング、ベンチャー企業投資も担当。同社退職後、土屋鞄製造所に取締役兼C.O.O.として入社し、2年で売上20億円から45億円、経常利益も2倍以上にして退職。その間、人事担当役員として数百人を面接。

2009年 株式会社Piece to Peaceを創業、2013年にスキルのマッチングプラットフォームshAIR(シェア)を創業し、会員1万人に。2015年には、週2、3回で業務委託契約で働くプロ人材(助っ人プロ)と、人手不足の企業の仲介サービス「CARRY ME」のコンセプトを立ち上げ、1年で黒字化達成。300人以上の経営者や人事担当者から採用の相談にも応じている。
著書 「世界をよくする仕事で稼ぐ」 (プレジデント社より出版)

アカデミーヒルズ(六本木)等での講演多数。

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