採用ライティング

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「現実」を伝えてターゲット人材にリーチする

「危険な旅の隊員募集。わずかな報酬、厳寒の地、数か月にわたる暗黒の海、絶え間ない危険、生還の保証なし。成功の暁には名誉と称賛を得る。」

100年以上前、探検家のアーネスト・シャクルトンが、ロンドンの新聞に掲載した有名な南極探検隊員の求人広告です。極めて厳しい条件下で、保証のない名誉と称賛。ネガティブな情報の多いこの求人広告に、5000人以上の応募があったそうです。覚悟なく、興味本位だけで、応募してきた人はいなかったことでしょう。

事実、選ばれた南極探検隊員は、探検の途中で、絶望的な遭難を経験しますが、奇跡的に全員生還しています。

媚びない求人広告を

南極隊員募集のように、メリットもデメリットも伝えることで、読者に信頼感と好感を与える効果。これを、心理学では「両面提示の法則」といいます。

「ハードワーク。でも、子どものためならいつでも休める会社」

「実力主義の会社なので、成果に応じて年収もあがり、昇進も早い段階で実現可能。実際、年収数千万円を実現している方もいます。その分成果には厳しい環境なので、実力が身につきます。」

いずれも会社や仕事の「現実」を隠さず伝えている、「両面提示の法則」を上手に活用した求人広告です。

「現実」を伝えることで、マインドも含め、本当に必要な人材にリーチしやすくなります。

逆に、美辞麗句だけで埋め尽くされた求人広告に、人は「本当だろうか」「怪しい」と違和感を抱いてしまうことも。

「転職サイトには、よい事ばかり書いてあります、当てになるものなのでしょうか?」

実際の求職者の声です。さらに、「ブラック企業ではないか」と質問が続きます。

「経験者も未経験者も歓迎。研修も充実しているので安心してください。」

「休日にBBQや花見、ボーリング大会などのイベントに出かけることも多く、チームワーク抜群」

「やりがいのある仕事。はつらつと元気でフレッシュな方の募集をお待ちしています。」

確かに、転職サイトを見てみると、こうした文章をよく見かけます。
もちろん、これらの文章が悪い、と言っているのではありません。本当にそれが会社の魅力だったとしても、求人広告に、いいことだけしか書かれていなかった場合は、勘違いされる恐れがある、ということに注意していただきたいのです。情報そのものに対する信用はもちろん、会社そのものに対する信用を失いかねません。当然、本当にほしい人材にリーチすることもできず、結果的に、効率も悪くなってしまいます。

相手視点の親切な文章を

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日頃、手紙の講師、キャリアコンサルタントとして求職者側にいる立場から、
「相手を思い、相手の視点に立った親切な文章(応募書類)を書きましょう。」
とお伝えしています。

実は、求人広告にも同じことが言えるのではないでしょうか。

「求職者を思い、相手の視点に立った親切な文章を書きましょう。」

「相手視点の親切な文章」とは、相手が聞きたいと思う情報を、相手が受け取りやすく、わかりやすく伝えている文章です。

採用担当者が、「効率よくいい人を見つけたい」と思うのと同様に、求職者も、「効率よくいい会社を探したい」と思っています。ですから、すでに記載の通り、耳障りのいいことも悪いことも、事前に知っておきたいし、そこも踏まえて、一緒に働きたい会社とは働きたい。そう思っているのです。長くいい関係でいるために、相手の視点に立って、聞きたい情報を提示することが、「親切」です。

求人広告はラブレター

そして、求職者の方は、自分の会社を一緒に作っていく仲間となりうる大切な人材です。
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求人広告は、「大切な人に書くラブレター」と思って、書いてみてはいかがでしょう?人の気持ちをつかむ手紙も、求人広告も、基本は同じ。いかに相手思いの文章であるかどうかです。

そのために、確認することの一つは「具体的であるか」です。

例えば、求める人材に「コミュニケーション力が高い」と書かれている求人広告は多いのですが、「コミュニケーション力が高い」人のイメージや定義は、会社毎に違います。当然、読み手となる求職者のそれも、人により違います。

例えば、ある会社では、

「コミュニケーション力が高い人。具体的には…
・笑顔とあいさつができる人
・初対面の人とでも会話を弾ませることができる人
・自分の言いたいことを言うのが上手い人より、相手の言いたいことをじっくり聴くことができる人」

と書かれていました。
具体的で、採用担当者と読者が、共通のイメージを持つことができます。

貴社の「コミュニケーション力が高い人」はどんな人でしょう? まずは、スタッフの中から、「コミュニケーション力が高い人」を参考に、具体的なイメージ・構成要素をリストアップしていくことから始めてもいいかもしれませんね。

客観的視点も忘れずに

最後に、求人広告は、掲載前に誰かに読んでもらうこともお忘れなく。
誰にだって、盲点はあります。書いた本人以外の第三者に、客観的な視点を持って読んでもらうことで、わかりづらさや、自分が伝えたいことが意図したように伝わっていないことに気づくかもしれません。(それは、こうして書いている私も同じ。)これは、「本音で」言ってくれる人にお願いしたいですね。このひと手間で、より効率よく、必要な人材にリーチする求人広告が磨かれます。

まとめ:
・「現実」を伝えてターゲット人材の心を動かす
・文章は、具体的かつ本音で書く
・求人広告はラブレターだと思って書く
・掲載前に、客観的フィードバックをもらう

この記事を書いた人

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青木 多香子

(社)手紙文化振興協会認定 手紙の書き方マスターコンサルタント/キャリアコンサルタント(CDA)
ミシガン州立大学コミュニケーション学部卒業。現地で編集・ライターの仕事をした後、帰国。広報担当として、日本語と英語で礼状を書くなかで、企業間の潤滑油となる手紙の重要性を体感。2014 年(社)手紙文化振興協会認定 手紙の書き方コンサルタントとなり、講座・企業研修、新聞・雑誌等を通して、手紙の力・言葉の力を広める活動を行う(2017年から現資格)。NHK Eテレ「オトナヘノベル」・FM東京「ももいろクローバーZのSUZUKI ハッピー・クローバー」などテレビ・ラジオ出演、新聞・ 雑誌掲載多数。
また、教育・大学業界で10年以上のキャリア支援・人材育成経験を持ち、学生・ビジネスパーソンを対象として、応募書類の書き方指導を含めたカウンセリングを行っている。相談実績は、10代~70代・900名以上。

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