CARRY ME代表 大澤亮 特集

人材の採用が困難になってきた本当の理由 〜労働人口減だけが理由ではない!転職者も経営者も知るべき採用難の3つの理由〜

大澤亮

人材の採用が困難になってきた本当の理由

ほとんどのビジネスマンが意識しているように、多くの企業が採用に苦戦している。

ところが、その原因については、「労働人口が減っているから」の一辺倒で、現在、「なぜ採用しにくくなってきているのか」という原因を理解していないため、正しい対処策ができていない。

一方、個人も、「今後、労働人口は減り、売り手市場が続くから、転職も簡単に違いない」と現状の採用状況を正しく理解していないと、必ず痛い目に合う。

今回は、経営者、人事等のビジネスマン、転職やフリーランスを考えている向けに採用しにくくなってきている本当の理由を以下3つに整理してみた。

これから、転職を考える個人や、スキルがより重要になってくるフリーランス・個人事業主にとってもご参考になれば、と思う。

採用難の理由1. 各業務が高度化し、採用に求める要件が高度化している

2017年の一橋大学の守島教授にお話をお伺いした際、以下教えて頂いた。

「企業が人材に求める要件が高度化していることが、余計に採用を困難にしている」

例えば、「Webマーケティング業務において、SEOとオウンドメディアの構築とリスティング広告の運用、それぞれ1年以上の経験を持つ個人」という募集をしていないだろうか。
更に、日本企業の場合は年齢25歳から35歳まで、や大学名などもMARCH以上など意識し、それで年収は650万円程度だと、「それで本当に採用できるのですか?」と疑問を投げかけたくなる。

では、なぜ、採用で人材に求める要件がどんどん高度化しているのだろうか。
最も大きな理由は、「自社で足りない部分を、なんでもかんでも、全て正社員でまかなおうとし過ぎているから。」である。

言い換えれば、業務整理ができていない、もしくは、なんでも正社員にさせるという慣習から抜け切れず外部リソース(外部のフリーランスや、外注、クラウドソーシング等)を使い慣れていないからである。

さて、こちらを転職する側、もしくはフリーランスとして仕事を獲得する側の個人に置き換えるとどうなるのだろう?

「高度なスキルを持たない人材は不要である」ということでもある。しかも、転職や場合は中途入社として即戦力を期待され、フリーランスの場合はプロとしての高いレベルの業務を期待されるため、上記のとおり、複数のスキルが必須となることが少なくない。

今は、単なる人材不足ではなく、「優秀な(高度なスキルを複数持つ)人材不足」なのである。これは、正社員でもフリーランスでも共通することで、高度なスキルを持つ個人であれば年齢がいくつになっても転職もできるし、フリーランスでも仕事は引く手あまた、である。

採用難の理由2. 転職候補者の個人の価値観の多様化

私が新入社員だった1996年当時は、ほぼすべての社会人が、「大企業に入って、そこそこの報酬と終身雇用に守られた安定を求める」という価値観が当たり前だった。これは学生も、そのうえの世代も全て同じだった。
が、20年後の今、価値観は多様化している。

「自己実現・やりたいことを重視する人」
「自分の成長・スキル獲得を重視する人」
「働き方を優先したい人」
「職場での人間関係や雰囲気を重視する人」
「短期的な報酬重視の人」
「企業ブランドや安定を求める人」

など働く価値観が本当に多様化してきた。

個人の価値観が多様化してきたにもかかわらず、そこを理解せずに、採用戦略を立てずに、企業側の採用方法・告知方法がこれまでと変わらなければ、優秀な人材を採用できるわけがない。

「採用はマーケティング」と言われているがその通りで、環境の変化に対応できていなければ、採りたい人材は採れない。
採用担当者もこれまでの人事業務に向いているタイプの一辺倒では対応しきれず、むしろ営業でエース級の活躍をしてきた人材や、マーケティング部署にいた優秀な人材を投入する、もしくは配置転換を図るべきだろう。

本当に、現代の働く個人の現状を価値観まで踏まえて理解できているだろうか?
手前味噌で恐縮だが弊社は、毎月2,3回採用説明会を開催しているが、20代~30代の働き盛りの優秀な人材から、ひっきりなしに応募がある。

「CARRY MEという自社媒体があるのだから当然じゃないか」と思われるかもしれないが、そうではなく、他社媒体も活用し、そこでは全社中「上位3%」に入る健闘ぶりである。ここ2週間だけでも働きざかりの20代、30代から、50人以上の応募がある。

(上位には、メルカリや、串カツ田中、UUUM、クルーズ、一休など有名企業も並んでいるので、弊社の知名度のなさを考えるとかなり健闘していると思う。ちなみに掲載料は1か月3.5万円程度、とコストは抑えている!)

それは、現在の個人の価値観のパターンを理解し、自社はどういう価値観の個人を採用したいかを明確にし、その個人に対してのメッセージ、ストーリーをきちんと創っているからである。
その工夫している点については、また別途記事化していく。

採用難の理由3.副業解禁という時代の流れにより、個人は外部との接触機会が増え、人材の流出を招き、さらに採用難を加速させる

多くの経営者や人事責任者は、「自社でも副業を認めれば、採用はしやすくなるし、自社の社員も満足度があがり離職率が下がるだろう」と考えるかもしれないが、そんな単純なものではない。

以下、某IT系メガベンチャーの経営陣から聞いた話である。
「世の中の流れに逆らえず、副業解禁した結果、優秀な人材が他社で週1,2回や土日などで働き始めた。結果、『他社のほうが面白い』、『より高い報酬で転職に誘われた』、などで離職率が上がってしまった」とのことである。

副業という選択肢はもはや、自社の魅力の1つとしてどの会社も提供せざるを得ないだろうが、一方で、副業とは「外部との接触機会を増やすこと」でもあり、自社の社員の流出も招きやすくなる、というところにジレンマがある。

「副業解禁」といった制度としての、いわばテクニック的な魅力ではなく、本質的な自社の魅力を磨き続けないと優秀な人材の確保・採用は難しくなるだろう。

さらにもう1つ重要な点がある。
副業やパラレルキャリアが当たり前になると、自社の社員の他社への転職という機会を増やすと同時に、退職者の転職「以外」の進路の多様化も加速化させる。つまり、より、流出させやすくなる。

フリーランスや個人事業主になる、という新しい進路はその典型であり、今やフリーランス人口は1000万人を超えている。フリーランス以外の選択肢としても、起業や友人に誘われて創業者の一員になるという選択肢、留学や大学院、NPO立ち上げ、など様々な選択肢がある。

そして、より重要なことは、徐々に副業という流れが当たり前になってきている中、このフリーランスやパラレルキャリアの流れは加速するだろう、ということだ。

以下のような声もよく聞くようになってきた。
「副業していたら、その収入が正社員としての収入を超えたのでフリーランスになりました(起業しました)」

収入だけでなく、副業やパラレルキャリアの面白さ、自己の成長など、「これまで知らなかった世界」に気づくと、この流れは止められない。

1度他の世界の面白さ、やりがい、あるいは外部からの自己の評価などを知った個人を、これまでのように自社1社で閉じ込めておくことは、もはやできない。

他社等で働く自由を認めたうえで(ある意味個人を解放し)、自社の魅力、本当のストーリーをきちんと磨き続け、伝え続け、継続的に惹きつけておくことがより重要になってきている。

以上が、「労働人口が減っている」(もしくは好景気)といった理由以外の、多くの企業が採用難に陥っている本当の理由である。

「では、企業側はどうすれば採用できるのか」
上記にも一部ヒントは記載したが、これについては長くなりそうなので、別途記事化していきたい。


■本記事「人材の採用が困難になってきた本当の理由」のまとめ

【転職者】
個人は、「売り手市場が続く」と胡坐をかかないで、「現在は高度なスキルを持つ優秀な人材に関してのみ売り手市場」だと理解し、副業でも正社員でも転職でもフリーランスでも、どこでも活躍できるよう、スキルを選んで磨き続けることが必要である。

【経営者・採用担当者】
①採用時に人材に求める要件が高度化になりすぎている場合は、スキルの高い外部の個人(フリーランス等)など適宜外部リソースを活用することで、「なんでも正社員に任せる」体制、慣習から抜け出す必要がある。

②フリーランスになりたい、副業したい、報酬より自己実現、など個人の多様化している働く価値観を理解し、自社ではどの価値観を持っている人を積極的に採用すべきで、その個人に対してはどんなメッセージを強化していくか、を考える必要がある。現在は、かつてのような「有名企業で高い報酬をもらい、安定した職業に就きたい」という一辺倒の価値観だけではない。

③副業解禁やフリーランス増加、パラレルキャリアなどの働き方の多様化は人材の一層の流出につながることを理解したうえで、(制度などテクニック的な魅力ではなく)自社の本質的な魅力を磨き続ける必要がある。

CARRY MEでは優秀な広報・PR、Webマーケティング、法人営業を中心にプロ人材(業務委託・フリーランス)が2,000名以上登録しています。広報・PRやプロ人材の採用にご興味ある経営者、人事の方は以下までご連絡ください。
info@carryme.jp
可能な範囲で大澤が直接お会いしてお話します。

この記事を書いた人

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大澤 亮

5度の事業立ち上げを経験し、過去に2度事業売却したシリアルアントレプレナー。
1996年に新卒で三菱商事株式会社に入社、タンザニア駐在経験(ODA担当)を経て、帰国。同社退職後、1999年に慶應義塾大学大学院(経営管理研究科修士課程)に入学と同時に起業、2度売却。(日本初の比較サイトを創業し米国企業に売却、EC事業を設立しサイバーエージェント社に売却)

その後、株式会社ドリームインキュベータに入社し、大手企業とベンチャー企業両方の経営コンサルティング、ベンチャー企業投資も担当。同社退職後、土屋鞄製造所に取締役兼C.O.O.として入社し、2年で売上20億円から45億円、経常利益も2倍以上にして退職。その間、人事担当役員として数百人を面接。

2009年 株式会社Piece to Peaceを創業、2013年にスキルのマッチングプラットフォームshAIR(シェア)を創業し、会員1万人に。2015年には、週2、3回で業務委託契約で働くプロ人材(助っ人プロ)と、人手不足の企業の仲介サービス「CARRY ME」のコンセプトを立ち上げ、1年で黒字化達成。300人以上の経営者や人事担当者から採用の相談にも応じている。
著書 「世界をよくする仕事で稼ぐ」 (プレジデント社より出版)

アカデミーヒルズ(六本木)等での講演多数。

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