働き方改革専門家

テレワークとは?テレワーク導入のポイントを解説!

テレワークとは?テレワーク導入のポイントを解説

「働き方改革法案」が2018年6月に可決されました。

すっかり働き方改革という言葉が社会に定着し、より多様で柔軟な働き方を実現させようと奮闘する企業のニュースも頻繁に目にするようになりました。

時間や働く場所の制約を受けずに柔軟に働けるテレワークも働き方改革の一つとして注目度が高く、導入している企業も増えています。

今回はテレワークについて解説していきたいと思います。

テレワークとは?

テレワークとは?

テレワークとは主に労働者が「情報通信技術を利用して行う事業場外勤務」と定義されていますが、業務を行う場所に応じて①在宅勤務②サテライトオフィス勤務③モバイル勤務などに分類されます。

①在宅勤務は名の通り、主に従業員の自宅で行われるもので、良く行われているパターンかと思います。

②サテライトオフィス勤務は企業の本社から離れた場所に設置されたオフィスで勤務してもらう形態です。最近ではシェアオフィスやコワーキングスペースが増加していることもあり会社が各地に拠点を設けて従業員の自宅から近い拠点で勤務してもらうケースなどもあります。

③モバイル勤務については、営業社員が出先のカフェや移動中の新幹線の車内等で勤務をするというような形態です。

次にこうした各種テレワークを導入する際の留意点を解説したいと思います。

テレワークを行う際の留意点

テレワークを行う際の留意点

労災保険も適用されます

まず、基本的なことですがテレワークを行う労働者についても、労働基準法、安全衛生法、最低賃金法、労働者災害補償保険法等の労働諸法令は適用されます。テレワークを行う労働者であっても労働基準法上の労働時間規制などはもちろん対象となりますし、最低賃金の定めも通常の労働者と同様に適用されます。

また労災も当然に適用されるため、在宅勤務中に自宅で転んでけがをしたというような場合でも業務との因果関係があり、労働時間中に起こったということであれば労災保険の給付対象となります。

特に自宅で行われる在宅勤務の場合、労働者が通常生活している空間ということもあり、労災は適用されないのではと誤解されている場合が多いので、念頭に入れておく必要があります。

また、厚生労働省より「VDT作業における 労働衛生管理のための ガイドライン」( VDTガイドライン)というPC作業等を行う場合に留意すべき事項がまとまったガイドラインが発行されているのですが、テレワークの場合でもこのガイドラインに準じた管理をすることが望ましいとされています。
通常、オフィス環境については十分な照明や空気換気、オフィスデスクなど労働者が快適に作業できるような環境が実現されていますが、従業員の自宅についてはそのような環境が十分に実現されているとは限りません。

VDTガイドライン自体は細かい基準があり、詳細はここでは割愛しますが、おおよそテレワークをする労働者に対して

①十分な照明のもと作業が行えるか
②温度湿度管理は不快な状態になっていないか
③業務がしやすい机、椅子の設備があるか
④十分な作業スペースがあるか

など、快適に業務遂行ができる基準が自宅等で満たせているか程度は確認することを、労災予防の観点からもお勧めします。

労働時間管理方法

テレワークを導入する際に経営者や人事担当者の方が一番気になっているのが、労働時間管理方法かと思います。

テレワークであっても、労働基準法は適用されますし、通常の固定的な労働時間制度を利用している場合には、時間外労働がある場合には当然にその時間外労働に応じた割増賃金を支払う必要があります。

なお、テレワークの導入の際に固定的な労働時間制だけではなく、フレックスタイム制や裁量労働制などの柔軟な労働時間制度を適用させるということももちろん可能です。

また、テレワークを導入する場合、事業場外みなし労働時間制を使えますか?という質問をよく受けます。

事業場外みなし労働時間制とは、業務の全部または一部を事業場=会社の外で従事したことによって指揮監督が及ばず、その結果労働時間の算定が困難な場合に、その事業場外の労働については「特定の時間」を労働したとみなすことのできる制度です

この「特定の時間」については所定労働時間の8時間とするというような会社が多くなっています。

つまり、「会社の指揮命令が及ばず算定が難しい労働時間については8時間とみなす」とすることができるのがこの事業場外みなし労働時間制です。

テレワークが適用される労働者に、この事業場外みなし労働時間制を使えるかという点については、

①PC等により使用者の指示に即応する義務がない状態
②随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていない

という2要件を満たしていれば適用可能です。

この状態がどのような状態かというと、たとえインターネット回線が接続されていて、会社のメールやチャットがいつでも届く状態であってもその返信に即時対応する義務がなければ「PC等により使用者の指示に即応する義務がない状態」であると言えます。

また、業務の期限や、そもそもの業務内容の変更の連絡などは逐一業務に対しての指示を行っているとはいえず、こうした基本的な事項の業務連絡は「具体的な指示」とは言えないとされています。

個人的な考えでは、テレワークの実態として、PCやチャットツール等を利用して上司やグループメンバーがなにか指示や突然の依頼をしたり業務命令を行うということが多いように考えていますので、意識的に「テレワークの場合には即応しなくてよい、具体的な業務指示は行わない」というようにしていない限りなかなか事業場外みなし労働時間制を適用するというのは現実的でないように感じます。

経験則ですが、テレワークを上手に活用している企業の多くが、通常勤務者と同様に固定的な労働時間管理を行っていることが多く、ドラスティックな変化を伴わず、就業場所のみ柔軟にするというほうが長続きしている印象です。

長時間労働・未払い残業代対策

また、在宅勤務の導入で気を付けるべき点としては、長時間労働・未払い残業代対策が挙げられます。

これは、どうしても自宅でやっていると夕飯を食べた後に仕事を再開してみたり、週末にPCを持ち帰っているので休日にPCを開いて見たり・・・。「業務の終わり」の区別がつけにくいことから長時間労働になってしまうということがあります。

厚生労働省のテレワークガイドラインにも記載があるのですが、こうした「長時間労働を防止する対策を図ることが使用者には求められる」という旨の記載があります。

たとえば、

①メール送付の抑制(役職者等から時間外、休日深夜におけるメール送付の自粛)
②システムへのアクセス制限
③テレワークを行う際の時間外、休日、深夜労働の原則禁止等

が挙げられています。

長時間労働の抑制もさながら、在宅勤務だと仕事をしているのか他のことをしているのかというのが見えにくくなるのは事実です。

在宅勤務でだらだらと時間外勤務をされた場合に、会社としては気になるというお話をよく伺います。

③テレワークを行う際の時間外、休日、深夜労働の原則禁止等 についてはこうした面でも効果的ではないかと考えています。

少なくとも、時間外労働をする際には事前にメール等で許可を取ったうえで行うことが必要だと考えています。

テレワークを効果的に導入し、柔軟な働き方を実現しよう

テレワークを効果的に導入し、柔軟な働き方を実現しよう

テレワークについては、従業員が育児や介護等との両立のためにも非常に有効ですし、会社にとっても、テレワークを導入することで優秀な人材を確保することができる等の効果もあります。

また、特にベンチャー企業などではオフィススペースが限られていることが多くこうした意味でも従業員が自宅で業務を行ってもらえるテレワークはメリットがあります。

テレワークを導入する際は、社会保険労務士などの専門家に相談の上自社にとって効果的な制度設計を行うことをお勧めいたします。

この記事を書いた人

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寺島 有紀

寺島戦略社会保険労務士事務所 所長 社会保険労務士。 一橋大学商学部 卒業。 新卒で楽天株式会社に入社後、社内規程策定、国内・海外子会社等へのローカライズ・適用などの内部統制業務や社内コンプライアンス教育等に従事。在職中に社会保険労務士国家試験に合格後、社会保険労務士事務所に勤務し、ベンチャー・中小企業から一部上場企業まで国内労働法改正対応や海外進出企業の労務アドバイザリー等に従事。 現在は、社会保険労務士としてベンチャー企業のIPO労務コンプライアンス対応から企業の海外進出労務体制構築等、国内・海外両面から幅広く人事労務コンサルティングを行っている。 2019年4月に、「これだけは知っておきたい! スタートアップ・ベンチャー企業の労務管理――初めての従業員雇用からIPO準備期の労務コンプライアンスまで この一冊でやさしく理解できる!」を上梓。 寺島戦略社会保険労務士事務所 https://www.terashima-sr.com/

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