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クライアントの85%を黒字化に導いた税理士が伝授! どんな赤字会社も1〜2年で黒字化できる方法とは?(後編)

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クライアントの85%を黒字化に導いた税理士が伝授! どんな赤字会社も1〜2年で黒字化できる方法とは?(前編)では、どんな赤字会社も1〜2年で黒字化できる方法の基礎をお伝えしました。

おさらいをすると、数値計画を立てるときに重視すべきなのは、以下のポイントでしたね。
・前年の固定費を見直し、無駄な固定費を削減する計画にする。
・明確な粗利益率を設定する。
・社員一人当たりの粗利益月80万以上を目指す。
・経常利益は粗利益の10%以上を目指す。

後編では上記ポイントについて、具体例を交えて詳しく解説していきます。

黒字化するために抑えるべき数値計画のポイント

【前年の固定費を見直し、無駄な固定費を削減する計画にする】

先にもお伝えしたように、黒字化のポイントは固定費の削減からです。

まずは前年の固定費を徹底的に見直し、削減できるものがないか徹底的に洗い出しましょう。厳しい目と覚悟がなければ削減はできません。

まずは目標固定費を立てて、いくら削減が必要かを決めることです。例えば今までの月の固定費が1,000万円であれば、900万円にするという目標を立てる。100万円削減するために必死に洗い出すのです。

「できるだけ削減する」という考え方では、あれもこれも必要と言い訳ばかりが出てきて結局何も削減できません。「〇〇万円削減する」と具体的に決めてしまうことがポイントです。

【明確な粗利益率を設定する】

粗利益率とは売上高-原価=粗利益の売上高に対する割合です。

算式 粗利益÷売上高

会社によって適正粗利益率はあるはずです。

例えば飲食店業であれば、原価が約30%ぐらいなので、適正粗利益率は70%です。
あなたの会社の適正粗利益率を明確に決めてください。これが定まっていないと計画が絵に描いた餅になってしまいます。

例えば、年間売上が1億円の飲食店を経営する会社があったとします。適正粗利益率が70%で計画していても、実際は69%だったら、年間の利益は100万円も変わってしまいます。5%違ったら500万円。

こうなったら、もう固定費をいくら削減しても黒字化が難しくなります。必ず自社の適正粗利益率を定めて、ブレない管理をしてください。

【社員一人当たりの粗利益月80万以上を目指す】

社員一人あたり粗利益

黒字会社というのは社員の生産性が高い会社です。社員の能力が高いというか、少ない人数で多くの粗利益を稼ぎ出す仕組みを構築している会社です。

その基準となるのが社員一人当たり月80万円以上の粗利益を稼ぎ出しているかです。

この基準は業種によって変わるのではないかという質問をよく受けますが、業種で変わることはありません。私が多くの中小企業を分析してきて、月80万以上稼ぎだしている会社はほぼ黒字です。逆に月70万円以下の会社はほぼ赤字です。まれに月70万円以下でも、人件費などの固定費がかなり低い会社は黒字になっているケースもあります。

なぜ月80万なのかは根拠があるのですが、説明は割愛します。
パート、アルバイトはその会社の実態に合わせて、0.5人や0.3人としてカウントしてください。

数値計画では社員数から目標粗利益額を算出し、逆算で目標売上高も算出できます。

先程の飲食店のケースでは、社員数が7名であれば、目標粗利益額は月80万×7名=月560万円となります。目標粗利益額が560万円で、適正粗利益率が70%であれば目標月間売上高は560万÷70%=月800万円となります。年間で月800万円×12か月=年9,600万円です。

このように社員の生産性を意識して目標粗利益額を定めてください。
また、社員を増やす場合も一人当たりの粗利益を意識してください。

現在の一人当たりの粗利益が月70万円であれば、これ以上社員を増やすと、一人当たりの粗利益は下がってしまいます。そのような状態では、社員を増やしても赤字が増加する一方です。社員を増やさなければ仕事が回らないというのであれば、社員を増やすのではなく、そもそもの仕事の仕組みを変える必要があると思ってください。

【経常利益は粗利益の10%以上を目指す】

経常利益はどれくらいが妥当ですか?という質問をよく受けます。
経常利益率10%が必要とおっしゃる専門家もいますが、私の基準は異なります。

※経常利益率=経常利益÷売上高

経常利益率10%は業種によってはほぼ不可能な場合があります。

例えば卸売業の場合。
卸売業はそもそも粗利益率が10%しかありません。
その様な業種で経常利益率10%を目指すのであれば、固定費をゼロにする必要があります。
そんなことはできないですよね。

私の基準は経常利益は粗利益の10%以上を目指すです。

例えば、先に述べた飲食店の場合、粗利益率が70%であれば、経常利益率は7%以上を目指します。粗利益が月560万円であれば経常利益は月56万円以上を目指す。
このように目標経常利益を定めて、固定費をコントロールしていくのです。

事業計画は以上の点を必ず意識して作成してください。

黒字化するためにPDCAを回そう!

PDCAサイクルのP(計画) からD(実行)

これでPDCAサイクルのP(計画)が完成しました。

次にD(実行)です。実行は毎日計画を意識して行動するのみです。多くの会社は明確な目標を持たずに成り行き経営をしています。
行き先が決まっていない旅をするのではなく、目的地が明確な旅をしてください。その旅の地図、行程表が事業計画書です。

PDCAサイクルのC(検証)

次はC(検証)です。実績と計画の差を検証します。これは最低でも毎月行ってください。

中小企業の多くは月次決算を実施していませんが、私は必ず実施することをお勧めしています。また月次決算を実施していても、数字が出てくるのが1カ月後だったりすることが多いです。

ダイエットしている人が体重計に乗って、体重が表示されるのが1カ月後だったら意味ないですよね。できるだけリアルタイムで数字が出る仕組みを構築することが大切です。弊社SMGの場合は翌月2日で数字が出るようにしていますが、お客様の数字は翌月10日には出るような仕組みのサポートをしています。

そして翌月10日に実績と計画の差を検証する際には、必ず以下のポイントを確認してください。
・粗利益率にブレはないか?
・固定費は計画通りか?

この2点は経営者がコントロールできる部分です。これが計画とズレているようでは、マネジメントができていないということになります。

先にも述べましたが、実際の粗利益率が適正粗利益率と1%ずれるだけで、利益は大きく変わります。1%以上のズレが生じた場合は、原因を徹底的に追及してください。

固定費は計画の範囲内に収めるようにして下さい。何度もお伝えしていますが、赤字の原因は主に固定費の使い過ぎです。計画通り実施しているかで経営者の能力がわかります。その際に注意すべきことですが、例外を作らないことです。

計画より固定費が多くなった時に経営者がこのようなことをよくおっしゃいます。
「先月は○○があったから計画より固定費が多くなった。」
と言って、例外扱いをするケースがよくあります。
例外を一度作ってしまうと、毎月例外だらけになって、結局計画が意味のないものになってしまいます。
例外を作らない仕組みも経営者に求められることです。

まだまだ検証すべきポイントはありますが、上記の2点は黒字化のポイントなので要チェックです。

PDCAサイクルのA(改善)

最後にA(改善)です。検証して改善が必要な項目をピックアップして、改善策を具体的に書き出してください。ここでポイントとなるなのが、方針ではなく具体的にです。

例えば、電気代を削減する場合、「できるだけこまめに電気を消す」は方針です。そうではなく、「12時~13時はオフィスの電気を消す」というふうに具体的に書き出してください。

改善策は何をすればいいかすぐにわかるようにすることです。改善とは今までと違う行動をすることですから、曖昧だと誰も行動しません。誰が見てもわかるような具体的な行動を示してください。

以上、私がお客様の85%を黒字化に導いた手法です。
お伝えしていることは、経営者は決めたことをしっかり実践するということです。
ぜひ実践して赤字会社は黒字化を、黒字会社は更なる発展を実現してください。


会社の運命を変える究極の資金繰り

著者名
菅原 由一
出版社
幻冬舎
出版日
2018年8月2日
定価
1,620円

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この記事を書いた人

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菅原由一(すがわらゆういち)

1975年三重県生まれ。税理士。法律、制度を駆使した資金調達のスペシャリストが集まる組織SMGグループのCEOを務める。東京、名古屋、大阪、三重に拠点を置き、中小企業の資金繰りコンサルタントとして活躍。
ブログ『菅原の経営のヒント!』は税理士人気ブログランキング第1位を獲得。菅原自らが塾長を務めるSMG経営者塾は延べ受講者数5,000名を超え、クライアント企業の黒字割合85%を実現する。
TV、専門誌、新聞、各メディアからの取材も多く、ラジオの経営番組ではレギュラーコメンテーターを務め、Google、ミズノなど外資系や上場企業からの講演依頼も多数。クラウド、ビデオ会議システムを駆使して、全国の中小企業に最新の情報を提供し、資金繰り改善のサポートを行っている。
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