起業・パラレルキャリア物語

アクアビット航海記「ある起業物語」 vol.25〜自立の願いに暗雲が

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みなさんこんにちは。合同会社アクアビットの長井と申します。昨年の8月からCARRY MEさんに連載している「アクアビット航海記『ある起業物語』」の第25回です。前回は親との別れを経て、親離れした自分を書きました。今回は、逆に家が私を縛り付けようとする話です。

結婚に向けて早くも暗雲が

前回の連載で書いたように、私は親から独立しました。ところが人生とはうまくいかないもの。私の自立への願いは思わぬ方向からストップを掛けられるのです。それは誰あろう妻から。新居を決めるまでのいきさつとは、自分の力で生きたいとの私の晴れやかな願いが危うくされる日々でもありました。新婚生活をどの家で迎えるか。それは私にとっては結婚式の段取りや新婚旅行先を決めることなどよりもはるかに大切なことでした。もちろん、それぞれの価値観があるのでしょうが、私には切実でした。少なくとも私には妻の実家や実家の財産の上で新婚生活を送るつもりはまったくありませんでした。ミジンコのヒゲほどにも。せっかく東京に出てきたからにはすべてを独力で築き上げたい。家を買えないのはもちろんなので賃貸で二人だけの部屋を借りて。それが私にとってあるべき新婚生活だったのです。

ところが、そんな大切なことで、私と妻の間で意見の相違が発生するのです。 はやくも結婚前から暗雲が・・・・。ちなみにここで出てくる妻は、本稿を書いている現在の私の妻と別人、ではないので念のため。

妻のおうちは歯医者さん

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さて、その暗雲は、私と妻が結婚への準備を進めるにつれ、晴れきっていたはずの我が頭上に広がってゆきます。連載の第19回でも書きましたが妻は歯医者です。妻の祖父母も歯医者なら、妻の父母も歯医者。妻の弟くんまでもが歯医者。どこに出しても恥ずかしくない歯医者一家です。世間からはいわゆる資産家と思われても不思議でない。それが妻の実家です。私が無職のまま、情熱のままにアタックした妻の実家とはそんなところでした。ところが、私が妻と出会う数年前に妻の祖父母、そして妻の母は相次いで世を去ってしまいました。残されたのは、祖父母が住んでいた広大な家です。

町田の官公庁が立ち並ぶ一等地。そこにある180坪の敷地。そこは2件の家が建っていました。一軒は木造の2階建て民家。もう一軒は見るからに堅牢な鉄筋3階建ての屋上付きの家。歯科医を営んでいた当時の看板もまだ残っていました。当時、2軒ともに妻の祖父母がなくなった後、空き家になっていたのです。妻の父はそこから徒歩数分の場所に歯医者兼住居を営んでいました。そして、妻と妻の父の意見は、新婚生活はそこで過ごせばいいじゃないか、というものでした。ところが私にはそれが嫌だった。本連載の第18回で私がH君と町田に旅し、そこで妻と初めて出会ったことは書きました。そのときに泊めてもらったのがこの木造の2階建て民家でした。私にはその広さも、駅に近い便利さも十分に知っていたのに、住みたいとは思いませんでした。

上京したばかりの私にもプライドがあります

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なぜなら結婚とは、2人がイチから作り上げるはずだからです。もちろん結婚の形は千差万別。多様なあり方があっていいと思います。ただ、それが自分のこととなれば譲れない一線は出てきます。当時の私はそう考えていました。私は上に書いたとおり自ら立ちあがって生きたいとの理想に燃えていました。ここで妻の実家にお世話になったのでは、自立でもなんでもなく、そもそもなんのための上京かわからなくなってしまいます。それだけは避けたい、と私は抵抗しました。

多分、何も事情を知らない人にとってみれば、私なんぞ幸運な若造に過ぎないのでしょう。ギャクタマを地で行くような。ところが、実情などしょせん当事者にしかわかるはずがないのです。いまさら言っても仕方ないことですが、実際のところ結婚までの半年の間の私の立場はかなり危ういものでした。たとえば、妻の親族とは法事などで集まる機会がありました。そして、まだ入籍前の私もそこに出席するわけです。当然、針のムシロです。いろいろと陰で言われているのも聞こえてきました。籍も入れていないのにどういうつもりか、とか。どれだけ鈍感な私でも気付くぐらいに。はっきり言ってしまえば、私などはギャクタマどころか、金目当てで妻をモノにしたどこの馬の骨とも知らぬ関西からの流れ者。そんな程度の人間としてしか思われていなかったと思います。でも、そう思われても無理もないのです。その当時の私は、歯医者でもなければ、どこかの正社員ですらなかったのですから。東京に出てくるまでは無職の、ようやく派遣社員で働き始めて数カ月の。無理もありません。多分、私が妻の親でも反対するでしょう。妻の親族の皆さんも反対して当然です。逆によく妻の父が結婚を許してくれたなあと思うばかりです。

ところが、私にはその状況がとてもつらかった。そして反発もしました。なけなしの私のプライドに掛けて、妻の実家の財産にはお世話になりたくない。そんなちょっぴりの矜持くらい、私も持っていたのです。新居ぐらい新たに見つけたい。

それだけではなく、その2軒に住むことが私にとって重荷になるのではとの予感も持っていました。その2軒の家と180坪の土地で新婚生活を営むこと。それはそこの管理人になるということを意味します。管理人になることが私にとって、とてもやばい任務になるという予感。後日、その予感は的中します。そして私を何年にもわたって苦しめます。そして苦しめると同時に私をてきめんに鍛えてくれました

次回は結婚のことと、スカパーカスタマーセンターの運用サポートへの異動を描きます。ゆるく永くお願いします。

この記事を書いた人

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アクアビット長井

合同会社アクアビットの代表社員としてIT業界におります。kintoneエバンジェリストでもあります。独学の人生です。 旅行、読書、スポーツ、酒、音楽・映画、その他趣味嗜好は広く浅く持っています。
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